今回ご紹介するのは、ストップ風疹の立役者であり、4月のパワーママモーニングのゲストにも来ていただいた海野由紀子さん。
9月には、パワーママコアスタッフの椿とともに、ad:tech tokyo2014の公式セッションにも登壇されています。
知識と経験と感性と全てを持ち得ているように見える海野さん。回答いただいている内容には、どれもハートフルで感動してしまいます。
プロフィール
海野由紀子(うんの ゆきこ、42歳)
長男11歳、次男6歳。夫44歳。
夫婦ともにテレビ局勤務。
現在のお仕事の内容を簡単に教えてください。
フルタイム勤務のテレビ局の職員です。現在は国際協力を担当しています。
海外の放送局との窓口としての仕事が主で、交渉、共同プロジェクトなどを進めるリエゾンオフィサーをしています。
今、出張先でこれを書いていますが、1~2か月に一度くらい、海外出張があります。また、ご来局する外国要人の対応なども担当です。
今の仕事は今年で3年になりますが、その前はドキュメンタリーやニュース企画を中心とする報道番組制作のディレクターをしていました。
報道から国際協力、社内転職のような感じでしたが、実は今の仕事は自分がとてもやりたかった分野の仕事の一つでした。
新しいことに挑戦するのは楽しいです。
平日1日のスケジュールを簡単に教えてください。
朝5時半起床
家事をしながら、メールチェック、テレビ体操、夕飯の支度、子どもたちのケア、家事
8時半 家を出る
9時半 出勤 仕事、仕事、仕事
18時過ぎ 退勤 (おおかた渋谷センター街をダッシュ)
19時 次男保育園迎え
19:20 帰宅
長男の学校の様子を聞く
宿題をみながら夕飯準備
子どもら入浴
20:00 夕飯、子供たちの要望諸々
21:30 子どもたち就寝
片付け
22:30 テレビ、ネットチェック、勉強、入浴、翌日準備
25:00 就寝
旦那様との育児家事分担などはどうされていますか?
基本的にやれる時にやれる方がする。ざっくりとは下記の通りです。
育児→一緒に。夫の方が子供の扱い上手。
出張等の際のやりくり→お互いさまand夫方の祖父母サポート。祖父母は電車で一時間ほどの距離に住む。
料理→私(ただし、夫が夕飯買う場合も多)
掃除→私3 :夫3: ルンバ3: 外部1
洗濯→スイッチ押すまで私、 干す&取り込む&たたむ=夫と息子
皿洗い等→食洗機、夫、私
★ワークライフ”マックス”のいま
夫も同じ局でドラマ番組技術として忙しい仕事をしていますが、こうして書き出してみると育児家事は率先してやってくれていることを実感します。
夫は最近は週末に長男の野球部のコーチも引き受けていて、自由時間はほぼ家族のために使っています。
夫婦ともにワークライフバランスというより、「ワークライフ”マックス”」。
子供が小さな頃は大人の生活に合わせられますが、成長して子供も活動を広げる過程には、こんな時期もあるかなと思っています。あまりにハードスケジュールで夫の体調管理がやや心配ですが、一緒に育児家事をすることを厭わないパートナーであることは非常に重要だと思いますし、感謝しています。
息子たちには次世代男子として父親からいい影響を受けてほしいです。
ワーママとして育児&仕事をしていて良かった~!と思うHappyなエピソードを教えてください。
皆さんそうだと思いますが、子供を持って、働く意味がよりはっきりしました。
こうして子ども達と一緒にいる時間を短くしてでも働いている理由は、働くことで、微力ながらも社会をよりよくできればと思うから。そうでなければ、働く意味がない。
今の仕事が彼らの未来のためになっていると思えることは喜びですし、子どもたちにもわかりやすい仕事をしているので、働くことは大変だけれど楽しそうだということは理解してくれているのではと。
だから、よりメリハリを持って、積極的に働けるようになりました。
それから、育休中に得た生活者の目線というものは大事な収穫だったと思います。平日の日中に地域では何が起きているか。近所のママたちとのつながり。言葉や思想だけではない、自らのリアルな経験。メディアの人間はその影響の大きさから自身を勘違いしがちですが、地に足を付けた生活感覚がとても重要。
私にとって、子供を通じて関わる地域社会や出会う問題というのは、私を40代の普通の社会人として育ててくれる場所でもあります。
いつまでたってもよくわからない”男子の育児”ですが、
疲れて帰ってきた日でも、「ママだいすきだよ」「ママかわいいよ」と毎日のように息子が手紙をくれたり、ささやいたりしてくれることはこれは何にも代え難いのではないか!!(おそらく、夫は同様に子供に接しているにも関わらず、こんなうまみは体験してない)
大変だったり疲れたりするのは息子達も同じはずなのですが、子どもは本当に本来前向きな生き物なんだろうなと思います。なるべくその前向きな思いに応えるため、最近栄養ドリンクに助けてもらってます(笑)。
育児&仕事をしていて一番大変なことは何ですか?
時間が足りない。
夫も私も子供も皆充実すればするほど、マルチタスキングは当たり前。
大人はそれでいいけれど、子どもの理解や成長というのはじっくりと膝をつきあわせて関わる時間が必要なこともある。
その葛藤の連続です。
それをどうやって解決していますか?もしくは、解決していこうとしていますか?
ひたすらスケジュール調整。
例えば、今月は夫が二週間ロケで出張。その直後に私も10日間海外出張。
夫は他の人の仕事を余計に引き受けた分、私の海外出張中に代休をまとめてとれるよう仕事を調整したようです。私のスケジュールを見て、夫が自分の仕事のスケジュールを周囲と相談して調整していく能力はかなり高く、助かっています。
なかなか難しいですが、お互いに先の予定が早くわかるということは持続可能な共働きライフには大事な前提条件だと思います。
子ども達もだんだん慣れてきてこんな状況でも、「へぇ」くらいに平然としていることには感謝です。
実は我が家は祖父母以外の外部パワーをほとんど使わずにこの11年間仕事と育児の両立をしてきました。
私はシッターさんなどの外部パワーを使うことに賛成でしたが、夫が「外部パワーを使うくらいなら、自分がやる」と言うので、夫婦&祖父母で乗り切ってきました。
今でも、シッターさん使おうよ、と思う時はいくらでもあるのですが、11年以上たってみて思うことは、実は共働きにとって子どもとの時間というのは朝夕毎日1-2時間程度でとても少ない。
しかし、この10年間の日々の細切れ時間の子どもとの時間の積み上げは、子どもとの関係においても、自分が納得できる”持続可能な育児と仕事の両立”という観点でも、大切だったのかなと。
私はワーカホリックタイプだったので、外部パワーを使うと私が際限なく仕事に没頭してしまうという危機感が夫側にはあったのでしょう。
何が正解というわけではありませんが、様々な幸運な条件が重なって、我が家はそういうスタイルでここまでは来ました。
10歳も過ぎると、土日は自分の活動(我が家の場合は野球)が始まって親の都合優先ではなくなっていきます。
子育ての時期というのはあっという間だと感じています。
育児と仕事、それぞれで一番大事にしていることは?
その時を一生懸命に。メリハリ。臨機応変。
伝えたいことはその場で伝えきる。
子どもたちといられる時間は宝物。思いっきり楽しむ!
今もっともご興味のあることは何ですか?(仕事でも育児でも可)
仕事:「メディアの未来」「リーダーシップ」「2020オリンピック」「英語」・・・テレビとネットの世界の次のステージとは。海外要人と接して勉強。大きな決断、実行ができるリーダーとは。東京オリンピックで日本は世界に何を示せるのか。英語はとにかく日常的に勉強し続けるもの。
自分:「ジャズを歌うこと」・・・今、子どもの野球部の関係で今は時間がなくて中断していますが、去年はライブハウスでステージにも。再開したい習い事。一生もの。
子ども:「やりたいことを思いっきりできる環境を整える」・・・何か一生懸命打ち込めることを親として応援する。言うのは簡単ですが、大変。例えば、長男の所属する野球部は土日も早朝から暗くなるまでまるまる練習か試合。親もコーチや当番あり。これを始めるにあたっては正直親の方が勇気がいりました。でも、3年生の終わりに書いた「しょうらいのゆめ」という作文がきっかけでした。野球選手になりたいが、今は忙しくてチームに入れていない、と書いてあったのです。親が忙しいことで彼の機会を奪ってはいけない、とそこから夫婦で話し合ってハードな人生を突き進む(!)ことにしました。来年は6年生で大変ですが、地域にも知り合いがたくさんできて、親も一緒に楽しませてもらっています。
国際協力のお仕事に就かれていらっしゃいますが、子育てでもグローバルを意識して工夫されていらっしゃることはありますか?
仕事の内容や出会った外国の方について、できるだけどんな人だったか(具体的に)と国の位置について説明します。また、テレビなどを見ていて海外の話題が出てきたら、なるべく自分が関係したことや会った人につなげて話すようにしています。
先日、韓国の放送局とソウルでの会議があったのですが、出張の前日、次男が韓国の放送局の人に渡して、といって手紙をくれました。
そこには韓国と日本の旗、その放送局の名前や好きなキャラクターなどの絵をかいた子どもなりの手紙がかいてありました。会議の場で先方にその手紙を渡すと大変喜び、ビデオレターで息子にメッセージをくれました。そのメッセージを見て息子はとても喜んでいました。6歳でもこうして今いろいろなツールを使って国際交流をすることができるのだと感心しました。
また、私がかつて留学していた米国に住むホストシスターの家に子連れで泊まりに行き来もしています。去年のクリスマスも行きましたが、今は言葉が多少わからなくても今の時代はゲームがあれば一気に子ども同士の距離が縮まる。面白いなと思いました。
ストップ風疹など、社会を動かすムーブメントを作ってこられた海野さん。巻き込み力の秘訣や、逆風に折れずに継続する秘訣などを教えてください。
自分の力なんて、本当に小さい。でも、優秀な才能が集まれば、難しい社会課題にもなんらか知恵が集まり、実現への道が開ける。
だから、もちろん自分もベストを尽くすけれど、徹底的に人に頼ります。
そして、それが彼らの目標の達成や新たな経験の一つになることも大事。take ばかりではなく、give すること。自分が何か得るのではなく、透明人間かのように軽く、縦横自由に動いて、人をつなぎ、大きな目標を皆で達成できたららいい。そのように思いました。自分がしていることは自分だけのためではなく、ある何か大きな目標のため、と思えば、小さな事は気にする必要はなくなりますし、壁や逆風もむしろ「気にしてくれてありがとう」くらいにしか思わなくなります(笑)。
逆風、というのは女性はもう誰でも慣れていると思うし、逆風の渦巻きの中にこそ、変革できる要素やタイミングがあると感じています。
言葉にすると偉そうですが、風疹のことを聞いた時には、自分の中に、動かないという選択がありませんでした。今すべての力を合わせてやらなければ、と思った時に、優秀な仲間たちと出会うことができ、彼らが自分から動いてくれたことの結果が大きな力になりました。悔しいと思うこともいろいろありましたが、笑い飛ばせる仲間がいたからこそ、大きな目標に向かって進むことができたのだと思っています。
社会課題に対してこそ、さまざまなメディアの力が生きる。
そして、それを動かすのは人。人が動く力を信じていますし、いざという時に信じてもらえる人間になりたいです。
最後にメッセージをお願いします!
働く女性の環境は絶対これからよくなり続けるはず。
私は介護も育児も両方経験していますが、法が整備されたおかげで辞めずに働き続けることができました。
これからはキャリア一辺倒のスーパーウーマンじゃなくても働き続けられる、はず。
子どもや家族との時間も大事。仕事も自分の人生において大事。
貪欲にやりたいことをやればよいのだと思います。そして、試行錯誤。
「石は投げてみないと池にどんな波紋ができるのか、わからないだろ」
迷った時にいつもアドバイスをくれる父から言われた言葉です。
お互いに頑張りましょう!
インタビューby高村