今回ご紹介するのは、スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社でPR担当をしている都築美央さん。
いつも自然体で笑顔な美央さん、その源について聞いてみました。
出産、育休を通して、職場での変化、旦那さんの変化、娘さんの母に対する思い、そして働く母としての心の移り変わりがほっこりと伝わってくる、等身大インタビューです。(椿)
プロフィール
・氏名:都築美央(つづき みお)
・会社名:スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社
・役職名:PRマネージャー(育休前)
・職種:PR
・簡単な経歴:米国の大学卒業後、外食企業を経て、スターバックス コーヒー ジャパンに入社。マグカップやタンブラー等のマーチャンダイズ商品の開発や店外イベントの企画運営等を経験し、2009年よりPRを担当。2010年に第1子を、2016年3月に第2子を出産して、現在、2度目の育休中。
・居住地:東京都世田谷区
・ご自身の年齢 :39歳
・お子様の年齢 :6歳と0歳
・ワークスタイル:フルタイム
現在のお仕事の内容、ワークスタイルを簡単に教えてください。
コーヒーやフラペチーノといった、スターバックスの商品や店舗、サービス等を様々なメディアを通じて、消費者に発信する仕事を担当しています。チームのマネジメントに加え、プレスリリースの作成や新商品発表会の開催など、報道関係者へのプロモート活動や取材対応がメインです。
平日1日のスケジュールを簡単に教えてください。
【育休前のスケジュール】
7:00すぎ 起床、朝食準備
8:00 朝食
8:30 家族みんなで家を出る。私は駅に直行、夫は保育園に立ち寄り
9:30 出社(店舗での取材応対など、早めに出社する日もあり)
18:10 退社
19:10 保育園のお迎え
19:20 帰宅、夕食の準備 (だいたいこの時間帯に夫も帰宅)
20:00 夕食→娘と遊ぶ→お風呂
~21:30 娘の寝かしつけ
23:00頃 再度起きて残りの家事の片づけ、残務処理、ちょっとのんびり録画したドラマを観るなど
24:00~25:00就寝
※育休中の現在は、数時間前倒し、家事も夫がかなりやってくれています。
出産して、何が一番変わりましたか?
ライフスタイルが一変しました。「子育て」という生涯かけて立ち向かわなければならないNo.1ミッションができたことで、今まで仕事や自分の興味中心だった人生の優先順位が子供に乗っ取られました。(と6年前は思っていました。)
ちょうどやってみたかったPRの仕事に異動して間もなく、妊娠が発覚。あまり心の準備ができていないまま、「ハイ、あなたの担当です!」という感じで、娘が家族に加わったようで、もちろん娘はかわいいのですが、初めて子育てをしてみて、「これほど先が見通せないことがあるのか!」と当初は落ち込みました。
ワーママとして育児&仕事をしていて良かった~!と思うHappyなエピソードを教えてください。
たくさんの働くママ達と出会えたことです。最初は子供がいることや時間に制約があることをメディアの方や取引先の方々に公言することはマイナスになるかな、と思って避けていたのですが、話してみると同じ境遇の記者さんだったりして悩みを共有して元気をもらったり、ママ向け媒体の方とは何となく世間話をしたことが掲載につながったりと、仕事でもポジティブな効果がありました。今は機会があれば話すようにしています!
また、保育園を中心とした地域のママ友もたくさんできました。子育ての話題だけでなく異業種のならではの話を聞けたり、私が体調不良の時には手作りのお惣菜を届けてくれたりと、両実家が遠方の我が家には心強い支えができました。(サプライズでさんまの塩焼きを持ってきてくれて本当に涙がでました!
育児&仕事をしていて大変なことはありましたか?それは何ですか?
やはり時間的な制約があることでしょうか。PR は相手のスケジュールに合わせて対応しなければならないことがほとんどなのと、元来、人に頼るのが苦手で、自分でなんでも把握したい性分なので、第1子出産後1‐2年はやりたいことができないジレンマが常にありました。
それをどうやって解決していますか?
復帰後、2年ほどして(遅いのですが)やっとリズムが確立してからは、時間を言い訳にしても仕方ないのでその中でどれだけやるかが大事、という風に考えられるようになりました。それも、周りのサポートにも大いに助けられ、同じ会社で働く夫とチームメンバーの協力があったからこそです。
まず、夫がほとんど残業をしない働き方に変えてくれました。元々、夫はわたしよりも効率的に働くタイプで、スケジュールも担当業務の特性上自分でコントロールしやすいため、長時間労働を止めました。きっと短気な私の性格を考えても、その方が家庭運営がうまくいく、と徐々に感づいたのだと思います。私がどうしても保育園の預かり時間外の仕事に対応しなければいけない場合は、夫が娘の世話を引き受けてくれます。また、毎日夕食を家族で一緒に取り、子供を見てくれている間に片付けが終えられるというのは精神的にもずいぶん救われます。世の中の女性がハッピーになるにはこの解決方法がベスト!と思います。
また、私の所属する広報・PRの部署は、同世代の子供を持つパパも多いのと、スターバックスは多様性を尊重し、人の役に立ちたいと考える人達がたくさん集まった会社なので、自然と手を差し伸べてくれる上司と同僚のおかげで、早朝や夜の仕事などもチームでやりくりすることができました。
育児と仕事、それぞれで一番大事にしていることは?
育児では、子供には将来「自己実現できる」人になってほしいと思っています。世の中には様々な人がいて、いろんな環境下があることを知ってもらいたく、親子キャンプなど子連れ参加できるイベントや職場でもあるスターバックスのお店に連れて行くなど、身近なところから新しい人や場所と出会える機会を増やすよう心がけています。また、まずは自分で考える癖をつけて欲しいので「いつもあなたはどう思うのか?」と聞くようにしています。(時々、「だから、ママの意見を聞いてんの~~」と怒られますが・・・。
仕事では、やはり風通しの良いチームであることが、日々の業務の進捗や結果にも影響するので、感謝を忘れないこと、共通の目的をもっているか意識してすり合わせるようにしています。
いつも自然体で笑顔なみおさん。外資のPRマネージャーはとても忙しそうなイメージですが、ご自身で決めていること、譲れないことなどあれば教えてください。
常にSmall gesture(小さなこころがけ)を示すことと全力を尽くすことでしょうか。店舗のパートナー(スタッフ)や社内外の協力者に対してきちんと仕事の段取りを組んだり、お礼を伝えたりといった姿勢はPRパーソンとして当たり前ではありますが、忙しいと雑になってしまいがちなので、特に留意しています。あと、やはり子育中はイレギュラーなことが起こりうるので、普段から何事も誠意を持って取り組み、一定の成果を出すというのは信頼関係で成り立っている仕事の上では大切なことだと思っています。
また、チーム運営という面では、以前の上司に、「みんな同じようにできなくても、ジグソーパズルのように、それぞれの強みがあってそれが上手く組み合わせられたらチームとして成果がでるんじゃないかな」と言われたことがあります。ひどく共感して、それ以来は、それぞれメンバーの強みを生かするにはどうすればよいか、という風に考えるようになりました。これは、家族運営でも同じだと思っています。
育児や家事は、(ご家族やアウトソースなど)どのようにやりくりされているのですか?
まさに前述の質問に通じるのですが、夫と互いの強みを生かして分担しています。きっちりと決めたわけではなく、6年間の共働き生活の中で自然とそうなったのですが、互いの得意分野で、例えば料理は私、掃除は夫という風にざっくり半々になりました。2人目が生まれさらに忙しくなった今、多くを語らずとも上手く家事の役割分担ができているのも、長時間労働をしないようにしている夫の働き方の上に成り立っています。
二人目を産もうと踏み出したきっかけがあれば教えてください!
何もかもが初めての娘の育児と仕事の両立で「二人目なんてとんでもない!」と何年か思っていましたし周りにも宣言していたのですが、娘が5歳前後になったころから、これは年中年長女子あるあるの第一次反抗期かな、と感じたことがありました。どうしても平日はあわただしいので、夫も私も週末は娘に甘くなりがちで、なんでもわがままが通ってしまいます。このまま一人っ子でもいいけれど、兄弟がいたなら、彼女の家庭の中の立ち位置も変わるかな、と何となく考えられる余裕ができてきて、幸いなことに、第2子を授かりました。
二人目の育休。みおさん流、育休の過ごし方を教えてください!
年齢も第1子の時よりもずいぶん取ったので(苦笑)、息子が寝ているからと言って家事を詰め込まず、アクティブ×リラックスのバランスを取りながら過ごしています。赤ちゃん連れでできる習い事を探しては、積極的に出かける方だとは思います。
5年半ぶりに育休を取って感じるのは、離乳食のレシピや授乳室の場所を探せるアプリなど、便利なITサポートツールがたくさんできましたし、ヨガやエアロビ、フラワーアレンジメントなど親子で参加できるものも格段に増えたように思います。ほとんどは、子育て経験がある先輩ママが自らの実体験からママたちのリフレッシュを想って創り上げたもの。先人達の努力に感謝するばかりです。
育休中だからこそ養われる、生活者視点。
皆さんも実感されていると思いますが、育児をすることで、生活者視点がより養われます。お恥ずかしながら、DINKS時代は、野菜の値段を重視したり、暦の上での風習を気にしたりすることもありませんでした。今この育休中に、昼間の街に出かけると税金を使ってどんなイベントが行われているのか、公共の交通機関は弱者の味方となる機能性があるかなど、今まで仕事に追われている中だと認識できない、俯瞰的に社会を見られるからこその気づきが多くあります。スターバックスは、お客様にとって身近で親しみやすいブランドでありつづけたいですから、そういうインプットは、仕事の面でも自分自身の視野を変化させてくれるいい面があると思っています。
今後の目標やプランを教えて下さい!
子育てに関しては、6年経ったと言えど、まだまだ新米です。日々試行錯誤しながらではありますが、娘と息子の自主性を尊重し、長い長い自立までチャレンジをし続けられるよう手を差し伸べていきたいです。
仕事の面では、女性が多い職場なのでこれからワーキングマザーになるだろう世代に対してわずかでも、私(と夫)の働き方がヒントになればうれしいです。そのためにも、復職後は2人の子育てで変化しているだろう自分の価値観を生かし、より多角的になったスターバックスの魅力をPRできるよう、きちんと業務面でのパフォーマンスもあげていかなくてはいけないと責任も感じています。
最後に、メッセージをお願いします。
一人目の時に、「今が一番かわいいときね」とか「毎日あっという間ね」と他人に言われても「いやいや一瞬一瞬必死ですから、そうは思いません!」と心の中でつぶやいていました。それが、経験がものをいうというのはこのことか、また立派な戦力である娘と夫、ママ友のおかげで本当にストレスフリーな育休生活を送ることができています。今この時期の息子や娘と触れ合うことは実は短い、ということに第2子を生んで6年越しでやっと気づき、私も少しは母親らしくなれたのかもしれません。(本当に遅いですが!)
娘の書く手紙には「いつもおしごとがんばってるね!」と書かれているのですが、先日娘が七夕に書いた短冊は「ママが、はやくおしごとにもどれますように」でした。6年間、「ママはほんとうにお仕事ばかりね。。」とずっと思わせていたのか、ちょっと反省はしたのですが、育児が一ビジネスウーマンとしての私の世界を広げ、成長させてくれたと感じる6年でもありました。そういう風に考えられるようになった「気持ちの余裕」をくれた2人目である長男の存在と働き方を調整してくれた夫に感謝しつつ、これからも自分なりのチャレンジを続けていきたいと思います。
悩みやハプニングの尽きない、育児×仕事生活、一緒にがんばりましょう!(くどいようですが、男性の働き方改革&意識改革、これ大事です!)