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幼児教育

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今回ご紹介するのは、ニューヨークで幼児教育のスタートアップを立ち上げ、経営する中澤英子さん。
元々はソニーでお仕事をしていた中澤さんがなぜアメリカで起業することになったのか?!
また教育熱心なママが多いというニューヨークでの最新の子育て事情についても伺いました!

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プロフィール

・氏名:中澤英子 (なかざわえいこ)
・会社名:Dearest, Inc
・職種:Founder & CEO
・簡単な経歴:慶應義塾大学法学部卒業後、ソニー(株)に入社し、営業、海外マーケティング、海外新規事業立ち上げなどを経て、スタンフォード大学にて経営学修士を取得。2011年にニューヨークのソニーアメリカに赴任。2015年にダイニングアプリの会社をコロンビア大学のインキュベーターで起業。2016年12月にDearestを起業。
・居住地:アメリカ、ニューヨーク
・お子様の年齢:2歳半
・ワークスタイル:フルタイム

 

 現在のお仕事の内容を簡単に教えてください。

Dearest (www.dearest.io)という幼児教育のスタートアップをニューヨークで経営しています。0−8歳児を対象に、幼児教育に特化した少人数制のクラスや保育を提供しています。現在約300人の先生達とともにマンハッタンで暮らすご家庭をサポートしています。また、データや最先端の研究を活用し、子供達が将来活躍する際に必要となる力を育成していくことを目標にしています。

 

平日1日のスケジュールを簡単に教えてください。

8:30  息子と同じ年齢のフランス人の女の子と、先生兼保育士さんが家に到着するのを待ち、出社。
保育士さんが、2人を公園、図書館、美術館などに連れて行ってくれます。また、Dearestの音楽、アート、幼児教育の専門家の先生が家に来てクラスを開き、その際には近くに住むお友達も参加しています。

9:00 オフィスに到着。
小さなスタートアップなので、マーケティング、開発、営業、人事、財務、経理まで、ほぼ全ての活動にハンズオンで関与しています。また、関係者が多く、スタッフ、先生達、社外のメンター、投資家、提携会社の方々と打ち合わせをしている間に1日が終わります。

19:00頃 帰宅。(イベントや会食がない場合)
夜は可能な限り家族みんなでご飯を食べ、子供と本を読んだり遊んだりしてからお風呂に入れて、寝かせます。その後、残った仕事を片付け、就寝というスケジュールです。

 

 出産して、ご自身の内面では何が一番変わりましたか?

今まで以上に機会損失を意識するようになりました。子供との時間は私にとって大切なものであり、敢えてその時間を別のことに使うのであれば、自分にとって意義のあること、大きな価値を生み出すこと、本当にやりたいことに割きたいという気持ちが強くなりました。

 

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ご主人との家事・育児の分担はどうされていますか?

今は、夫の方が家事と育児の負担が大きいと思います。子供がいるライフステージで起業をするということは、家族全員に負担がかかることであり、夫の理解と助けが不可欠だと考えています。夫は、資産運用の仕事をしていて、最近も出版http://www.tomonakazawa.com/book.htmlしており、彼も仕事と家庭の両立に日々奮闘しています。

 

ワーママとして育児&仕事をしていて良かった~!と思うhappyなエピソードを教えてください!

海外から移住したばかりで、子供が幼稚園に馴染めず苦労していた母親から相談を受けました。先生達と相談し、その子に合ったプログラムを提供したところ、徐々に自分に自信を持ち、楽しんで幼稚園に通うようになりました。その母親からは、心のこもった感謝のメールを頂き、社内で共有したところ、その内容に涙するメンバーもいました。起業家ワーママとして、育児と仕事を両立するのは本当に大変です。それでも、こういった形で一人一人の子供にインパクトを与えることができる今の仕事に、大きなやりがいと手応えを感じています。

 

 育児&仕事をしていて一番大変なことは?

どうしても子供と過ごす時間が限られてしまうので、色々な場面で罪悪感を感じることがあります。息子は、人前でシャイになってしまうことが多く、自分が注ぐ愛情が足りないからなのではないかと悩んだこともあります。生後5年間で、脳の9割が形成されるという研究もあり、自分がしてあげられていないことばかりに目が行きがちです。また、それが仕事で成果を出さなければいけないというプレッシャーにもなっていると思います。

 

それをどうやって解決していますか(していこうとしていますか)?

アメリカでは、Mother’s Guilt(母親の罪悪感)という言葉がよく使われます。様々なライフスタイルのママ友の話を聞いていても、それぞれが自分なりの罪悪感と戦っているのだと感じます。おそらく愛情が深いからこそ、「もっとしてあげたい」という気持ちが強くなるのだと思います。それを理解した上で、出来なかったことに執着せず、一緒にできたことや息子の成長などポジティブな面に目を向けるように心がけています。

息子が大人になる未来には、技術の進化により、人間に求められるスキルが大幅に変化すると考えています。そこで、機械にはできない価値を生み出していくためには、リスクをとって新しいことに挑戦したり失敗を乗り越えていく強さが不可欠になると思います。そんな中、息子にとってはポジティブ思考を持ったチャレンジャーママでいたいと思っています。

 

子育てをしながらNYで起業するというのはとてもハードルが高く感じてしまうのですが、大手企業を辞めて起業するに至ったきっかけ、経緯について教えてください。

ソニーでは、やりがいのある仕事を任せていただいていたので、不満はありませんでした。ただ、社内の留学制度でスタンフォードの大学院に行き、ゼロから新しい事業を創り上げている起業家達に出逢い、いつか自分も起業したいという気持ちが芽生えていました。留学後、ニューヨークに赴任し、その思いを実現すべく、現地の友人と一緒に週末を使ってビジネスプランを練っていたところ、コロンビア大学のインキュベーターに選ばれました。散々悩みましたが、起業したいという思いが勝り、辞める決意をしました。1社目は、レストランアプリの会社でした。あまりうまくいかず、ビジネスモデルのピボットを考えていた時期に息子が生まれました。生まれてすぐに預ける先が必要だったのですが、ニューヨークでのデイケアやナニーの質に愕然とし、自分のように働き続けたい親達が安心して預けられる、幼児教育の専門家達を集めたサービスが必要だと考えました。調査を重ねた結果、大きなビジネスチャンスにもなると確信し、2社目のDearestを一人で起業しました。

 

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教育熱心なニューヨークのママ達が今特に高い関心を持っていることは何だと思いますか。

特に熱心な親達の間では、今まで人気があったモンテッソリーやレッジョのような伝統的なアプローチから、子供の興味を中心にした学び方を尊重するプログレッシブなアプローチにシフトしていると思います。興味を持ったことについて調べたり、問題を提起して解決方法をデザインしたりするためのスキルの育成、マインドフルネスやグロースマインドセット等への関心も高まっています。

 

サイトをご覧の皆様(ワーママ仲間)にメッセージをお願いします!

幼児教育の仕事をしていて、改めて、子供達の個性の強さ、そして学び方や興味の持ち方の幅広さを実感しています。忙しく働きながら子育てをする過程で、私も含め、他の人と比較して焦ることや罪悪感を持つワーママは多いと思います。しかし、幼児期には、平均値をとった尺度はあまり意味を持たず、一人一人に最適な学び方やペースがあると考えます。また、働くママだからこそ子供にしてあげられていることも沢山あると思います。アメリカでは、小さい頃にワーママに育てられた娘の方が、そうでない女性よりも仕事の収入と地位が高いという興味深い研究結果も発表されています。男女平等に近づく未来に向けて、日々仕事と家庭を両立しているワーママの皆様に刺激を受けながら頑張っていきたいと思っています。

また、ニューヨークにお越しの際、ベビーシッティングやクラスにご興味がありましたら、お気軽にこちら(eiko@dearest.io)にメールください。ワーママトークをさせて頂けるのを楽しみにしております。

 

インタビュー:小泉加奈子、構成:柴田広夢

2018年7月4日 0 comment
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