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療育

清水さん

今回ご紹介するのは、療育しながらエンジニアとして働く清水さん。

なかなか外に発信されることが少ない療育のお話をシェア頂きたくて、下記の記事を拝見し、さらに聞きたい所をお聞きしました。

「困ったことを相談できる先」が幸福度を高める 私が「誰しも、息をしているだけで価値がある」と思えるまで

清水さんのインタビューを通して、療育の理解が広がることも願っております!(インタビューby椿)

 

清水さん

清水さん

プロフィール

・氏名:清水陽子
・職種:ITエンジニア
・簡単な経歴:
2000年4月 日系IT企業A入社/大学入学
2003年3月 日系IT企業A退社
2005年3月 大学卒業
2005年4月 日系IT企業B入社
2011年10月 第一子出産/育児休業
2013年4月 復職
2013年5月 介護休業
2013年7月 復職

・居住地:東京都
・ご自身の年齢 :36歳(1981年)
・子どもの年齢 :5歳(2011年)

 

現在のお仕事の内容、ワークスタイルを簡単に教えてください

泥臭く仕事をするのが好きなインフラ系ITエンジニア。担当している技術のことが大好きです。
ワークスタイルは仕事没頭型です。
ドラマ「逃げ恥」をご存知の方は、津崎さん沼田さんのやっている仕事のイメージが、ざっくり似ています。

時間、場所に制約のある中での自走可能な組織づくりに関心があり、ストレングスファインダー(http://bizacademy.nikkei.co.jp/business_skill/tsuyomi/list.aspx?page=1)によるコーチング活動や、NECワーキングマザーサロン(http://jpn.nec.com/community/ja/resources/mother.html)の活動をボランティアにて行っています。

 

平日1日のスケジュールを簡単に教えてください。

※以下は出勤時の例。週7日中、2〜3日は終日療育。

6:00 起床(自分・夫)、身支度、保育園準備
6:30 子ども起床
6:40 子ども朝食
7:05 保育園送り(自分または夫・子ども)
7:25〜 出勤(自分)
8:40〜 仕事 退社時間は17:35〜23:40と幅あり。以降17:35の場合。
19:15 保育園お迎え(仕事次第で週1〜4ファミリーサポートさんにお願い。残りを私と夫で分担)
19:30 帰宅(自分または夫・子ども)
20:00 夕食(自分または夫・子ども)
20:45 自宅向け子ども療育(自分または夫・子ども)
21:00 お風呂(自分または夫・子ども)、与薬、寝かしつけ
22:45 家事/自己学習
24:00 就寝

清水さんとお子さん

清水さんとお子さん

出産して、何が一番変わりましたか?

徹底的に自分の主体性で物事を行うようになりました。限られた時間だからこそ、自分の時間も相手の時間も心から大切にするようになりました。

ワーママとして育児&仕事をしていて良かった~!と思うHappyなエピソードを教えてください。

自分が困った時に相談できる先が増えたことです。子どもがかわいい、仕事にやりがいを感じる、のエピソードももちろんありますが、子どもや仕事のことだけでなく、私個人が困った時に相談できる先が増え、Happyが増えました。
詳細はハフポストにも転載された以下文章を是非読んでいただきたいです。

 

「困ったことを相談できる先」が幸福度を高める
私が「誰しも、息をしているだけで価値がある」と思えるまで
http://laxic.me/special/2017/08/spe12

育児&仕事をしていて大変なことはありましたか?それは何ですか?

子どもの生命危機や仕事での大きなミスなどその時々でありましたが、事象の大小より、意思や理屈ではなんともならないことがある、というところが、大変だと感じています。病気1つとっても、寝かしつけ1つとっても、大変でもあり、新たな気づきをもらえる機会でもあります。

それをどうやって解決していますか?

まず面白がることにしています。
面白がってから、さてこのゴールは何かな、そのためには何ができるかな、と進めています。

とはいえ意思や理屈では解決できないもの多々あります。
特に産後1年間と、復職後1年間の記憶はほぼなく、記録頼りです。ままならない時は、とりあえず今を必死にやりきる、を、ただ繰り返す日々があってもよいと考えています。

 

メモ整理中の清水さん

メモ整理中の清水さん

育児と仕事、それぞれで一番大事にしていることは?

育児は、子どもと自分が別個の生き物である、という前提。
仕事は、優先順位をつけ、自分にできることを1つずつやること。

 

障害児の親の就業率は、健常児の7分の1とのことですが、療育しながら働くことについて、教えてください。

※療育とは、障害のある子どもたちの社会的自立を目的に治療と保育・教育を行うことです。

療育という言葉自体に馴染みのない方向けに、2つ、お話ししたいことがあります。詳しい方は私の理解が至っていないところも多いので、是非この機会にお教えください。

1つ目は、健常児の保護者にとっても、療育の研究や理解が進むことは有意義だということです。なぜなら、一人ひとりの子どもの発達に応じて、どんな子でも生活への不自由をなくすように行なっていく専門的な教育&ケアが「療育」だからです。

療育は医療、保育・教育それぞれの専門性の掛け合わせで行われています。保育園、幼稚園それぞれの課題を解決するための幼保一元化の動きのように、縦割りであったものを横断的にみることで、双方の課題解決ができることがあります。
教育の例としては、オルタナティブ教育の1つであるモンテッソーリ教育は障害児教育から始まっています。障害児教育の研究、事例は、健常児へ応用できるものもあり、最近の例としては「お支度ボード」の広まりもありました。

まずは、より多くの方に、療育というよりよい医療、保育・教育が行えるように試行錯誤をしている人たちがいること、そこでわかることは障害児だけでなく健常児にも応用できる場合があることを知っていただけたら嬉しいです。

2つ目は、療育しながら働く選択肢、療育に専念する選択肢、その間のグラデーション含めた選択肢、いずれもがある社会を共に作っていきたい、ということです。

治療と保育・教育を扱う療育は、日常的なケアを要することがほとんどです。専門機関への入所、通所も場合によってありますが、親が担う部分は少なくありません。

私は今、子どものケア時間と、私個人として働く時間と、どちらももつことができていますが、環境や周囲に恵まれたこと、運が良かったことが大きいです。

ケアしながら働く選択肢も、ケアに専念する選択肢も、ケアする、しないを時系列で行き来する選択肢もある社会をつくっていきたい。実現できた社会は、療育を必要とする子の家族だけでなく、多くの家族が生活しやすい社会だと考えています。

幸福に相関があることとして「困ったことがあるときに相談できる人がいること」に非常に共感されている件について、教えてください。

1つ失敗をお話しさせてください。

復職直後のある日を境に子どもが寝付かなくなりました。試行錯誤しても寝かしつけがうまくいかず。積み重なって、夫も私も睡眠時間が3時間台になっていました。
当時は積み重なる前の、20%、40%くらいで、「最近寝られていないので今日は定時に帰らせてほしい」と相談してみる、という考え自体が浮かびませんでした。2、3時間の細切れ睡眠になる時もあるよね。自己管理ができていない自分がダメなだけ。なんとか自己管理しなければ、と思い込んで、職場に相談できていませんでした。結局、自分の100%をこえてしまい、風邪をこじらせて仕事に穴を開けてしまいました。

思い込みを外すためには、他の人に相談するアプローチが有効でした。他の人の視点が入ったり、実際に助けが得られたりすることで、相談しなかった時より効率的に進められることがありました。また、単純に感謝の気持ちから前に進めることもありました。
もちろん、うまくいかないこともありました。ですが、他の人と話すことで、自分が思い込んでいることにギャップがあることに気がつけ、別の進め方を始めることができました。

パワーママプロジェクトの目的である“自分らしく”仕事と育児が出来るHappyなワーパパ、ワーママを増やすにあたり、日々の困ったを相談する先をつくる勇気が広がることを願っています。

“健常ではない子どもを預けていることへの負い目”と、”職場への申し訳なさ”を乗り越えるきっかけは?

子どもを預けることへの負い目は、プロに託した方が安心安全なケースがあることがわかってからはほぼなくなりました。障害の有無に限らず、保育士さんの子どもへの声かけなり、管理栄養士の献立の栄養バランスなり、こどもの全力遊びに付き合ってくれる学生や地域の方々なり、親より他人の方がよりよい対応ができることはままあります。
ごめんなさい、申し訳ありません、ではなく、ありがとう、でお願いできる関係を広げたいです。

職場への申し訳なさは今もあり、これからもおそらくあり続けます。事実として職場には負担をかけてもいます。
ただ、申し訳なさと「共にある」「共に歩むこと」も、できるようになりました。自分にやれることを1つずつやっていく。やらせてもらえるありがたさを、常に感じています。

今後の目標やプランを教えて下さい!

仕事も家庭も、やれること1つずつ、面白がってやっていきます。

最後に、メッセージをお願いします。

しつこいですが、困った時ほど、声をあげることが難しい側面があると思っています。自身が声をあげる練習をするとともに、自身の大事な人たちが、声をあげられないでいるようにみえる時は寄り添ってみたり、ちょっとしたおせっかいを試みたりも、してみてほしいです。
子どもたちの世代が、少しでも生きやすい世界に近づけるよう、それぞれができる範囲でできることをやっていけたら嬉しいです。

 

2017年9月12日 0 comment
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