今回のインタビューは、関西電力株式会社でダイバーシティ推進担当マネジャーとして活躍中の片本真代さん!
社内外問わず精力的に活動されている片本さんの人生の転機は、お子さん2人を出産後にやってきた「8日間の海外研修」だったそうです。
お子様を日本に残し参加する葛藤、それ以上に海外研修を通して感じられたこと、その経験を活かした現在の活動など色々と伺いました。
プロフィール
・氏名:片本 真代
・会社名:関西電力株式会社 人財・安全推進室 ダイバーシティ推進グループ
・役職名:マネジャー
・職種:人事(ダイバーシティ推進担当)
・簡単な経歴:
2001年 新卒で入社。京都で営業を担当。
2003年 子会社へ出向し、販売店・工務店への営業を担当。
2004年 結婚
2007年 長男出産。育休→復職。出向から戻り、営業企画業務を担当。
2010年 長女出産。育休→復職。
2012年 人事部門へ異動、ダイバーシティ推進業務。
2017年 管理職(マネジャー)になる。(現職)
・居住地:京都市
・ご自身の年齢 :39歳
・お子様の年齢 :息子10歳、娘7歳
・ワークスタイル:フルタイム
現在のお仕事の内容、ワークスタイルを簡単に教えてください。
女性活躍推進に向けての取組み、育児や介護との両立支援、男性の育児参画促進、LGBT等の方への理解促進活動など、ダイバーシティ推進全般を担当しています。6年前までは営業部門で、営業や営業企画の仕事をしていました。女性比率の低い業界・会社ではありますが、女性活躍推進はもちろんのこと、誰もが持てる能力を最大限発揮して働けるよう、様々な取組みに日々邁進中です!
【関西電力のダイバーシティ推進・女性活躍推進HP】
http://www.kepco.co.jp/sustainability/csr/diversity/policy.html
ワークスタイルは、フルタイム勤務で、残業はほとんどしません。管理職になる前から、フレックス勤務や在宅勤務などの柔軟に働ける制度を活用して働いています。1ヶ月に数回、東京への宿泊出張や、関西一円への日帰り出張にも行きます。
平日1日のスケジュールを簡単に教えてください。
5:30~6:00 起床
朝食&お弁当(夫と自分の分)&夕食の準備(帰宅してすぐ食べられるように途中まで)
身支度(子どもが自分でできるようになったので、楽になりました)
7:20 家を出る
8:40 出社
17:30 退社
19:00 帰宅 夕食、子どもと遊ぶ、入浴
21:30 子どもといったん就寝(そのまま寝ることも多い)
22:00 自分の時間(読書、ミシンで子供服作り、など)
23:00 就寝(睡眠時間はできれば7時間確保したい)
お子様がお二人いる中で海外研修へ行かれたようですが、
経緯・内容・その経験を通して感じたことがあればお聞かせください。
2014年の夏に、関西経済連合会と駐大阪・神戸米国領事館のプログラムに参加させてもらい、他社の女性と7名で8日間アメリカ(NYとシアトル)へ行ってきました。子どもは当時、小学校1年生と3歳でした。研修の話をもらってすぐに、夫、両親、義母に相談して、その間をやりくりしてもらうようお願いし、子どもには話して聞かせました。
米国では、企業やシンクタンク、大学等を訪問し、アメリカの女性活躍に関する事例を多く学びました。このプログラムを通して、多くの気付きや学びがあったのですが、何よりの学びになったのは、共に参加した関西で働く他社の女性の皆さんの発言や意識・行動などでした。「自分の考えを積極的かつ爽やかに伝える話し方」、「物事をしなやかに捉える柔軟な心」、「学び続ける姿勢」、などに感動しました。それまで職場と家庭の往復だけでほぼ成り立っていた私の生活に、新鮮で刺激的な空気がどっと流れ込んできた気がして、まさに人生の転機だったと思います。
私がいない間、子供たちもそれなりに寂しさはあったようですが、夫曰く、意外とケロッとしていたそうで、まさに「案ずるより・・・」といった感じ。どちらかと言えば私自身の寂しさや不安が必要以上に大きかったことに気付きました。自分で枠を決めないで、周りの協力を得ながら、何事もチャレンジしてみると意外とできるものなんだと、それが大事なんだと学んだ出来事でもありました。
研修終了後、アメリカで学んできたことの一つである「ネットワーキング」について、このメンバーで意気投合して、関西でもやってみようかということになり、「あけびネットワーク」という異業種ネットワークを立ち上げました。数ヶ月に1回、お話を聞きたいゲストの方をお招きしての講演会と、参加者同士の交流会をセットにした会を開催するのがメインの活動です。7人の知り合いに声をかけるところからスタートした完全紹介制で、設立2年半の現在、メンバーは150名強にまで増えました。ロールモデルがいない、視野を広げたいなどの課題を感じている人同士をつなぐことで、女性の活躍、ひいては関西の盛り上げに貢献できればと思っています。メンバーは女性が多いですが、男性も1割くらいおられます。月に1度、朝7時にカフェに集まり、出勤までの1時間程度を使って、運営メンバーで企画を考えたり情報交換したする「朝会」というミーティングもしています。
育児&仕事をしていて大変なことはありましたか?それは何ですか?
子どもの体調不良などで、仕事の途中に帰ったり、休んだりすることが、小さい時に多くて(小学生になってからも時々ある)、このことが一番どうしようもなくて、大変だったなと思います。娘が2歳の時に発熱で保育園から呼び出しがあった時に、男性の同僚が「僕だってインフルエンザとかで急に休んだりすることもあるかもしれへんし、お互い様やで。」と言って、仕事を代わりに引き受けてくれました。仕事を引き受けるだけでなく、私が引け目を感じないよう気遣いの含まれた言葉に感動と感謝でいっぱいでした。これを筆頭に、これまでの大変だったときに掛けてもらった思いやりに満ちた数々の言葉とその人達のことを、私は一生忘れないと思います。このような経験を糧に、周りの人の大変な時に温かくそっと寄り添える存在に私もなりたいといつも思っています。
それをどうやって解決していますか?
子どもが生まれてからの私の「両立のための基本4か条」は、①締め切りの3日前には提出する(いつ突発事由で休んだり早退するか分からないため)、②上司のスケジュールを把握しておく(上司のOKで完了するという仕事は、上司のスケジュールによって進め方を変えていく必要があるため)、③資料は共有フォルダ上に保存する(自分しか見えない場所に保存されていると、いざという時に誰にもフォローしてもらえない)、④周りの困り事は必ずフォローする(いつもお世話になっているので、できる時には恩をお返したい)です。
育児と仕事、それぞれで一番大事にしていることは?
育児で大事にしていることは「子どもの興味にとことん寄り添う」ということです。全国各地の動物園&水族館巡り、百人一首ゆかりの地巡り、釣りや潮干狩り、雪山でそり遊び、キャンプ、星座観察・・・など、子どもの興味に導かれて、私自身も童心に返って、人生をもう一度、一から楽しませてもらっていると感じています。
仕事では、上記の基本4か条に加えて、「できない・無理だと思わない」と「始めたからには必ずゴールテープを切る」という「上級2か条」を大事にしています。1つ目は、「これをやりたい!やるべきだ!」と思い立つ→立ちはだかる困難を次々と想定する→「無理だ」という結論に達する、という「瞬時のあきらめ思考」に身を任せずに、「やるためにはどうすれば良いか・・・」と無理矢理にでも考えると決めています。2万人を超える当社のダイバーシティ推進担当は数名です。そのうちの1名であり、かつ管理職である私が「無理だ、やらない」と思ってしまったことは、会社としてやらないということに直結しています。その自覚を持って取り組んでいます。2つ目は、ゴールを明確に設定して、そのゴールテープを切るまで完走することを大切にしています。やり始めたことに満足したり、途中で困難なことが起こったりして、結局最後までやりきらなかったということをなくし、やると決めたことはやり遂げたいと思っています。
ご主人との家事・育児の分担はどうされていますか?
とくに決めておらず、できる方がやるという感じです。私が時々、休日に勉強やバレーボール(会社のクラブ活動)などに出かける時に、夫が子ども達と「どこ行く?何する?」と相談して、一日楽しく3人で過ごしてくれるのが本当に助かっています。週末に、翌週のお互いのスケジュールを伝え合い、どちらが何時に帰宅するかなどを調整するのが習慣です。
今後の目標やプランを教えて下さい!
仕事では、男性の育児休職取得を促進する取組みに力を入れています。育休を取った若手男性や、元気いっぱいの女性達が続々と管理職になっていく数年後には、私が想像している以上に、多様な人が活躍できる状態になるでしょう。そのような光景を見てみたくて、次世代へのプレゼントのつもりで取り組んでいければと思うことが、最近増えてきました。より良い未来を見据えて、思いを込めて新しいことを実行していくことが目標です。
個人的にも、仕事と家庭、社外とのネットワーク、趣味・・・などを楽しむ自分の姿が、若い世代や自分の子どもに、少しでも良い刺激となるよう、「こうあるべき」というものにとらわれずに軽やかに過ごしていければとおもっています。
それから、あけびネットワークも、関西で働く人の「元気になる場」として、これからも継続していけたらと思います!
最後に、こちらのインタビューをご覧になっている方に向けてメッセージをお願いします。
大好きなこのインタビューに登場させてもらえたこと、とても嬉しく思っています。子どもが小さい時、また、小学生になった今でも、仕事と育児の両立の中で迷うこともありますが、どうせ正解はないのだから、気負いすぎることなく、自分がその時々にベストだと思える働き方、生き方を積み重ねていくことが未来につながっていくのではないかと思います。
「何もかもぴったりくるロールモデルを捜し求めるのではなく、多様なロールモデルの話からパッチワークして、自分のありたい姿を描いてくださいね」と社内研修等でも常々伝えています。私の話が、どなたかのパッチワークの一部分となれば幸いです。
(インタビュー・構成:井本)