今回インタビューのパワーママは、ママ士業の会( http://www.mamashigyo.jp/ )に立上げから携わり、約120人もの母・妻でもある女性法律・会計専門家のリーダーをされているパワーママ。
会社に縛られず、自分の思ったようにキャリアを組み立てていく生き方が、本当に素敵です!
プロフィール
・氏名:神野(こうの)美穂
・会社名:㈱サイオンアカデミー代表取締役https://www.facebook.com/scion.academy
「ママ士業の会」代表http://www.mamashigyo.jp/
・職種:マーケティング調査/企業研修/ビジネス法務・会計教育
・簡単な経歴:大学卒業後、公認会計士の資格を活かし、監査法人トーマツに約4年勤務。結婚後退職して第1子を出産。子育てを中心としながら、コンサルティング会社や監査法人にて仕事を請け負う。第2子を出産後に仕事復帰した2年前、仲間と共にママ士業の会を立ち上げた。そして今年度、ママ士業のメンバーが企業等で研修を行うことなどを目的とした会社も設立した。
・ご自身の年齢:37歳
・お子様の年齢:3歳、7歳
・ワークスタイル:会社経営
現在のお仕事の内容を簡単に教えてください。
自分を含めた「ママ士業」メンバーによる、法律・会計に関する研修・セミナー、企業向けのワーキングマザーを対象としたマーケティング調査業務を行っております。
*「ママ士業」とは、子どもを持つ母親であるとともに、士業(弁護士・公認会計士・司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士・中小企業診断士・不動産鑑定士)としての仕事も持つ女性たちのことです。
平日1日のスケジュールやご主人との家事育児分担などを教えてください。
スケジュール:
3:00 起床、メールチェック&返信、SNS・ブログ等
5:30 朝食&お弁当作り開始
6:30 朝食(家族全員でとるのが我が家のルールです)
7:40 夫が出勤がてら次女を保育園に送る
8:00 長女が小学校に登校
10:00 打合せ・商談・営業 等
12:00 昼食(ミーティングを兼ねることも多いです)
13:00 研修、コンテンツ作成、企画書作成 等
17:00 帰宅、家事&次女お迎え
18:30 夕食、入浴
20:30 絵本の読み聞かせ後、子どもと一緒に就寝
※週に一・二回、夫の帰宅を待ち、ゆっくり話をする時間を持ちます。
旦那様との家事分担などはどうされていますか?
夫は家事万能なため、仕事の忙しさ・子どもの状況などを総合的に考えて家事分担をしています。
現在、私の実家からスープの冷めない距離に住んでいます。私が育児をしながら仕事もしたいと考えたため、実家のそばに引っ越しました。小学生の長女は学童に通っていますが、習い事のある日は祖父母の家に帰り、そこから行くようにしてもらっています。
実家のヘルプで最もありがたいのは、子どもの急病の時にお迎えをお願い出来ることです。夫婦とも、どうしても帰宅できない仕事の場合もあるため、この実家のヘルプがなければ共働きが成立しません。
難関の公認会計士試験に合格し、大手監査法人にてキャリアを積まれましたが、辞められたのはどうしてですか?
元々、「育児と仕事を両立したい。そのためには強みを持たなければ」という考えのもと会計士の資格を取得しました。しかし、いざ大手監査法人での勤務を経験すると、あまりの激務に「私には、この仕事と育児を両立することは出来ない」と感じました。仕事の内容にはやりがいがありましたが、自立のために取得した資格に逆に振り回されるのは本意ではなかったため、退職を選びました。
そして出産・・。出産して、ご自身の内面では何が一番変わりましたか?
何かに対して100%の責任を負う、ということの意味が初めて本当に理解できたと思います。
子育てが一段落した今、再度監査法人にフル勤務されるのではなく、起業という選択をされたのはなぜですか?
監査は社会的な意義のある大変重要な仕事です。しかし、私は「自分の目の前の人が喜んでくれる」ことに働く喜びを見出すタイプだと分かりました。働く喜びを感じながら、精一杯仕事をする姿を子どもに見せたいという気持ちから起業を選択しました。
また、運営しているコミュニティ「ママ士業の会」に向けて、多くの方や企業様からアプローチがありました。「働く母」「専門知識を持ち自立する女性」を求める社会の動きを確かに感じて、そこにあるビジネスチャンスを形にすることに本気で取り組みたいと思うようになりました。
運営している「ママ士業の会」が起業のきっかけになったということですが、そもそも、なぜ資格を持つママたちを集めて活動しようと思ったのですか?
「ママ士業の会」には立上げから携わっていますが、私自身は発案者ではありません。私は長女妊娠前の2005年から、ずっとアメブロでブログを書いていました。
「女性会計士のバランス☆ライフ」
ブログを通じてママで士業の素敵なお友達がたくさん出来ました。そのお友達の一人であるママ社労士さんが、「ママ士業の会を作りたいので一緒に活動しませんか?」と誘ってくださったのです。そして、何人かの仲間で集まってコンセプトを練りました。
「同士業や他士業の方と交流して、情報交換したい」
「でも、夜や休日は子どもや家族と過ごしたいから、活動は平日昼間中心で」
「働く母親の葛藤について語ったり、育児の悩みを相談したい」
「お互い様でもある、子どもの急病でのキャンセルは原則OKとして、参加のハードルを下げよう」
これらの意見は、仲間の中でぴったりと一致しました。コンセプトを実現できる場として、まずはランチ会から活動を始めました。すると、このコンセプトに共感してくれる仲間が続々と集まってくださいました。みんな、悩んでいたのです。
士業の集まりに行けば、活動できる時間が圧倒的に少ない「ママ」であることに。
そして、ママの集まりに行けば、「〇〇士だなんて、何だかすごそうだね」と敬遠されることに。
「さっきまで法改正の解釈について語っていたのに、その直後に子どもの夜泣きの愚痴を言えるなんて夢みたい」参加者の方が目を輝かせて言ってくださる感想は、立上げメンバーの力になりました。その後は、とにかく、「楽しいメンバーと一緒に面白いと思えることをしたい」という思いから活動の幅が広がっていきました。
「ママ士業の会」では、子育てに伴うリスクを軽減するため、ママ士業同士で相互支援を行っているとのことですが、具体的にはどのように行っているのですか?
例えば、ママ士業内でセミナーを行う場合には、最悪の場合、講師であっても子どもの急病によるキャンセルが可能となるような体制を組んでいます。
「講師のお仕事は特に、絶対に穴をあけられない。けれど、子どもが体調を崩したら自分が迎えにいかなければならない。だから講師には挑戦出来ない」
と考えているママ士業はたくさんいらっしゃいました。しかし、士業にとって講師のお仕事は、活動の幅を広げるために重要なお仕事です。そこで、小さい子どもを抱えていても講師業にチャレンジできるような仕組みづくりをしました。
まず、セミナーは必ず複数の講師で構成し、原則としてこのような事情を「お互い様」と了解しているママ士業内で集客します。そして、講師同士で事前に内容をシェアして、専門的な内容でない場合や専門分野が重なる場合には、他の講師も同内容の講演ができるように準備します。代役が不可能な場合には、他の講師が自分の専門分野の内容の講演を延長してお話しする、相談会を実施するなどの準備をします。
つまり、セミナーを受ける側だけでなく、セミナーをする側も最悪の場合のキャンセルOKとしたのです。その代り、受講料は低めに設定しています。このような仕組みを作ることにより、ママ士業も気軽に講師に挑戦することが可能となりました。子どもが成長してから、外部向けの講師業をお引き受けするための土台作りの場となっています。
その他にも、ママ士業以外の方とのアポイントメントには必ず2名で対応する、情報共有を密にする、といったことをルールにしています。手間がかかりますが、「子ども」をブレーキにしない自由な活動が可能になりました。
現在は、同じ資格を持った人同士の集まりである「ママ士業・税理士部」「ママ社労士部」「ママ士業・法律部」「ママ行政書士部」「ママ会計士部」も出来ました。このような同資格内のコミュニティでは、共著の執筆や原稿のチェック、出産後の仕事についての業務提携、情報交換等が自主的に行われています。資格業であることの特性から、これらの専門分野での活動は各部にお任せしておりますが、「ママ士業の会」が出会いの場となっていることを嬉しく思っています。
「ママ士業の会」メンバーやお客さんからの反響はいかがですか?
ママ士業内では、とにかく、「ここでは何でも話せる」ということが一番の魅力のようです。仕事中はプロフェッショナルとして、プライベートでは母として、妻として・・・それぞれの場で精いっぱい頑張っているメンバーの方々が、肩の力を抜いてほっとできる場となることを意識しています。そのためでしょうか、紹介、また紹介・・・で、宣伝をしなくてもメンバーはどんどん増えていっています。
ママ士業の会自体はあくまでもコミュニティであるため、「ママ士業の会」としてのお仕事は存在しません。けれど、仕事の相互紹介などは数多く発生しており、「女性ならではの細やかな仕事ぶり」「丁寧で優しい対応」が高い評価をいただいています。
士業としての時間だけでなく、母親としての時間も「経験」と捉えてくださってのお仕事のご依頼も増えてきました。例えば介護・相続の分野や、地域活性化、ワークライフバランスといったテーマに関わるものです。また、働く母親をターゲットとする企業様から、私たちの実際の生活を知り、役に立つ商品を開発するために意見を聞きたいというお声もいただいています。
これらのご依頼については、今後、可能な限り私の会社でお仕事として責任を持ってお請けしていきたいと考えております。
ワーママとして育児&仕事をしていて良かった〜!と思うhappyなエピソードを教えてください!
・育児では・・・保育園にお迎えに行く道中は、恋人とのデートに向かうように胸がときめきます(笑) また、短気な私でも、一緒にいる短い時間を楽しく過ごしたいがために「優しく気の長い母親」になれることがあります。
また、子どもが成長してきてからは、「税金って何?」「なんでお店は夜になるとしまっちゃうの?」といった素朴な質問が増えてきました。
そのような世の中の仕組みについての疑問に、なるべく分かりやすくかつ正確に答えてあげて「そういうことなんだ!」と目を輝かせて喜んでもらえた時には、会計士をしていて良かったなぁと思います。
「空は何で青いの?」「飛行機はどうして空を飛べるの?」といった質問には・・・適当に答えざるをえませんので(笑)
・仕事では・・・出産前と異なり、仕事の後回しが不可能なため、1分も無駄にしないような働き方を心がけるようになりました。その結果、お客様にも仕事内容の濃さを認めて、喜んでいただけることが増えました。
育児&仕事をしていて一番大変なことは?
・育児では・・・やはり、子どもの急病が一番困ります。そばにいてあげたいのに、仕事に穴を空けることができないジレンマが最も辛いです。
・仕事では・・・平日夜の外出は基本的に控えているため、出席したい勉強会・交流会等に参加出来ないことが多いことです。
それをどうやって解決していますか(していこうとしていますか)?
子どもが急病になっても帰宅が不可能なお仕事の場合は、事前に両親に日程を伝え協力を仰ぎます。
平日夜の外出は、夫の都合を聞き、調整してもらえる場合にはお願いします。夫とはグーグルカレンダーを使用して予定を共有します。
育児と仕事、それぞれで番大事にしていることは?
・育児では・・・大人も子どもも「自分の気持ち」を持っていること、それを伝え合うこと、お互いに尊重し合うこと
・仕事では・・・お客様も自分も・・・関係者みんながWin-winとなるような関係を築くこと
これからの目標を教えてください。
・育児では・・・「そのまんまの子どもを認めること」と、「しつけ・教育」のバランスを上手にとること。
・仕事では・・・会社を大きく育て、たくさんの花を咲かせる(成果を出す)こと。
サイトを覧の皆様(ワーママ仲間)にメッセージをお願いします!
日本人の女性は、優秀な女性であればあるほど、「私はこうしたいの!」と声を大にして言うことを遠慮してしまう・・・という印象を持っています。
育児をしながら仕事をするのは、本当に大変なことです。ですから、「私はこうしたい!でもこんなに大変だから、誰か手助けしてください」と堂々と主張するようにしませんか?
監査法人時代、ワ―キングマザーの大先輩が、当時独身だった私にこうおっしゃいました。
「私は、仕事も60%、育児も60%なの。でも、合わせれば120%頑張っているから、あなたも助けてね!」
この大先輩は、実はお仕事だけでも100%のスーパーウーマンでした。ですから、私はそのまんまこの先輩を真似ることは出来ません。
けれど、自分がワ―ママになってから、折に触れてこの言葉を思い出しています。本当に私たちは「合わせたら120%頑張っている」のですから、堂々と、胸を張って進みましょうね。
インタビューby只友真理 構成:HH