今回のインタビューは、パーソルホールディングス株式会社で「ママお仕事がんばって(MOG)事業推進室」でママボランを立ち上げた稲田明恵さん!
出産前まではプライベートも仕事もフル回転だったものの、育休をきっかけに「私は何をやりたかったんだっけ」と本来の自分に立ち返り、育休明けてすぐに新規事業を自ら立ち上げた稲田さんのワークスタイルなどを伺いました!(千田)
プロフィール
・氏名:稲田 明恵
・会社名:パーソルホールディングス株式会社 ママお仕事がんばって(MOG)事業推進室
・役職名:Chief MOG Officer(事業責任者)
・職種:事業企画・キャリアカウンセラー
・簡単な経歴:
2004年 インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ新卒で入社。
2008年 人材紹介事業の法人営業を経て人事部門へ異動。社内の障害者雇用を目的にした特例子会社の立ち上げを行う。
2010年 特例子会社での経験を基に、障害者就労支援事業「DODAチャレンジ」を起案、社内事業として立ち上げ。
2012年 異動により人事マネージャーとして研修・人事制度の運用・採用等を行う。
2015年 出産のため休職
2017年 復職。育休中に起案した事業が承認され2017年7月ママお仕事がんばって(MOG)事業推進室を立ち上げ、ママボラン事業を開始。
・居住地:東京都
・ご自身の年齢 :36歳
・お子様の年齢 :1歳9か月
・ワークスタイル:残業なしフルタイム(9:00~18:00)
現在のお仕事の内容、ワークスタイルを簡単に教えてください。
現在、自分達で起案した新規事業「ママボラン」の事業責任者をしています。
ママボランとは、ボランティアを通したワーキングマザー向けのキャリア支援事業です。
主に育休取得中の女性にNPOやベンチャー企業でのボランティアを紹介、異業種で新たな経験を積むことで自分の強みを再発見したり、復職に向けての練習期間にする、という新しいサービスです。
平日1日のスケジュールを簡単に教えてください。
朝は6時半に起床し、朝飯を作りながら夕飯も作ります。忙しい時間ですが、合間に夫に仕事や育児の相談をしています。夫のアドバイスが的確すぎて、夜だと悶々としてしまうので、特に仕事の悩みは朝するようにしています。
昼間は午前中に資料作成やメール処理など集中して行う仕事、午後はミーティングや営業、研修など人とかかわる業務を入れるようにしています。
保育園のお迎えは18時半。仕事が終わって娘とイチャイチャする夜の時間が至福の時。育児で唯一こだわっているのが生活リズムなので、21時過ぎには寝かしつけるようにしているのですが、8割の確率で一緒に寝落ちしてしまい翌朝落ち込みます。
出産して、何が一番変わりましたか?
生活リズムですね。出産前はほぼ毎日飲み歩いていたので寝るのは2時過ぎ。翌日は二日酔いで午前中はトイレとの往復、というサラリーマン失格な生活でした。今は規則正しい生活のおかげで日中の生産性が上がって、肌もきれいになりました。人生で最も健康体です(笑)。
ワーママとして育児&仕事をしていて良かった~!と思うHappyなエピソードを教えてください。
もともと子供が大好きなので、ママボランという事業を通していろんなお子さんに会えるのが楽しくてしょうがないです。弊社は子連れで研修を受けられる部屋があるので、ママさんが研修中考え込んでいる間に抱っこさせてもらって癒されています。
育児&仕事をしていて大変なことはありましたか?それは何ですか?
噂では聞いていましたが、重要な仕事があるときに限って子供は熱を出すという・・・子育てマーフィーの法則が発動されたときは「チーム家族」で乗り切ります。まずは夫、夫の両親、うちの両親。幸い今のところ夫だけでほぼ調整できていますが。
(ちなみに子育てマーフィーの法則は私が勝手に呼んでいるもので、他には「急いでいるときほどウンチを漏らす」「替えがない時ほどご飯を服にこぼす」などがあります。)
先日、娘が熱性けいれんを起こして、一瞬、呼吸も止まって死んだような状態になってしまって。体調が回復してからも、この子と一緒にいたい、会社に行きたくないと泣きました。家族が健康だからこそ仕事が楽しめるのだと心底思った出来事です。
育児と仕事、それぞれで一番大事にしていることは?
育児では「一緒にいる時間が娘との思い出時間」と心がけています。
つい家事や仕事をしてしまったり、時間があれば携帯を覗いてしまったりするのですが、西原理恵子さんの漫画を読んで、もっと一緒にいる時間を大切にしたいと思うようになりました。子供時代はあっという間、時間は戻らないですもんね。
仕事で心がけているのは「無駄を愛する」ということ。就業時間が限られていると、つい効率性や生産性を気にしてしまうのですが、いまは事業の立ち上げ期なのでいろんな人と会ったりセミナーに出たり、事業とは直結しないような時間も大切にしています。オフィスも、あえていろんな拠点で働いて様々な部署の社員と話をするようにしています。
あとは、地域のママさんや地元の友達など、多様な立場の人と話して、自分の凝り固まった価値観をほぐすことも意識的にしています。同じ会社の社員や、キャリア意識の高いワーママとばかり話していると、まるでそれが一般的のような錯覚に陥ることがあるので気を付けています。みんなちがって、みんないい。キャリアカウンセラーとして、自分の解を押し付けるようなことがないよう、心がけています。
昨年、育休中に「ママボラン」というサービスを起案したそうですが、きっかけを教えてください!
育休中に、自分のキャリアについてすごく悩んだんです。これまで新卒で入社以来、営業や新規事業、人事といろんな経験を積んできました。産休に入る前は人事のマネージャーとして、未経験で研修や人事制度の運用など、責任ある仕事をたくさんやらせてもらいました。でも、産休・育休で会社から離れて、ふと、私はなにをやりたかったんだっけ、と考えたのです。
私がインテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社した理由は、世の中に新しい働き方を生み出したかったから。日本の硬直した雇用慣行や働き方を変えて、仕事を通して成長し、仕事を通して自己実現していく、そんな社会にしたくて人材サービスを選びました。
育休という、会社と距離ができたからこそ本来の自分に立ち返れたというか。入社当時の想いを思い出して、また事業に挑戦しようと思えるようになりました。そんなタイミングで、ママボランを構想していた同じく育休中のメンバーと出会って、一緒に社内の新規事業コンテストに応募しようということになりました。
復職後すぐに新しいサービスの立ち上げは大変ではありませんか?
育休中に、私は人事ではなく事業を創っていくと決めたので、大変さはありませんでしたね。
映画マトリックスの中で主人公ネオが敵のスミスに「この戦いはお前と関係ないじゃないか。なぜそこまでして戦うのだ?」と尋ねられて、こう答えるんです。「Because I choose to.(私がそう選んだからだ)」
わたしはこの道を選んで、幸いなことに経営陣は事業化のチャンスをくれたので、大変だと思うことはないです。Because I choose to.
あと、もう少し現実的なお話をすると、同じワーママのメンバー3名でやっているのでお互い支えあえるというのも助かっていることです。子供の体調不良時や、仕事があふれそうな時は、すぐ他のメンバーにヘルプをお願いします。3名に加えてそれぞれの夫も同じチームと考えると6名いますので、仕事や家庭を6名で支えていると思えばなんとかなるんじゃないかと思っています。
次に育休を取るなら、絶対にこれはやりたい!という過ごし方はありますか?
いまママボランの営業をしているので、もし二人目に恵まれたら、私自身がママボランとして事業貢献したいですね。素晴らしい事業を少人数で支えているNPOやベンチャーがたくさんあるので、自分の経験を生かしてなにかできればと。
あとは、上の子も連れてフィリピンに親子留学に行ってみたいですね。
今後の目標やプランを教えて下さい!
ママボランを通して、元気なワーママを応援していきたいです。
組織名はそのままズバリ「ママお仕事がんばって(MOG)事業推進室」と名付けました。
復職後、罪悪感を持ちながら働いている方はまだまだ多いと思うのですが、私たちは事業を通じて“育児はキャリアの「ブランク」ではなく「ブライト」なんだ”というメッセージを伝えていきたいと思っています。
組織名には、子どもに「ママお仕事がんばって!」と言ってほしい、ママの働く姿を見せることで子どものキャリア観の醸成につながれば、という思いも込められています。
最後に、こちらのインタビューをご覧になっている方に向けてメッセージをお願いします。
ここまで話してきてなんですが、私個人はパワーママではないと思っています。一緒に事業を創っている二人の仲間がいて、さらにその家族も含めてママボランは成り立っています。一人でパワーママになろうとせず、会社の同僚や家族と一緒に協働することが大切だと思います。
ママお仕事がんばろう!MOG
(インタビュー:山本恭子、構成:千田)