今回のインタビューは浦安市議の岡野純子さん。大学卒業後、マスコミに勤務された後ご結婚を機に専業主婦を経験、そしてお子さんが1歳の時に出馬し政治の道へ。ママ議員がほとんどいないという環境の中、子育て目線を最大限に活かしながら「浦安市を子育てしやすい街へ」と日夜奮闘されています。そして、まもなく第2子をご出産の予定というパワーママです!
プロフィール
・氏名:岡野純子
・浦安市議会
・職種:議員
・簡単な経歴:同志社大学文学部英文学科卒→NHK松山放送局アナウンサー→専業主婦→浦安市議会議員
・居住地:千葉県浦安市
・ご自身の年齢:35歳
・お子様の年齢:2009年3月生まれ 5歳
・ワークスタイル:基本的には年中無休
現在のお仕事の内容を簡単に教えてください。
浦安市議会の議員として、条例や予算の審査、その他市政一般についての調査・提言を行っています。
平日1日のスケジュールを簡単に教えてください。
6:00 起床→身支度、娘と自分のお弁当作り、夕飯の仕込み、洗濯
9:00 幼稚園送り
9:30 議会登庁
本会議開催期間は会議に出席、それ以外は、市民からの市政相談を受けたり、勉強会へ出席したり、政策のための資料を読んだり、先進事例を視察に行ったり…日によって本当にまちまちですのでなかなかまとめられません(^^;
17:30 幼稚園お迎え
18:00 買い物を済ませて帰宅→夕飯調理
18:30 夕飯、お風呂、娘とのコミュニケーションタイム、絵本など
20:30 寝かしつけ
21:00 半身浴をしながら読書。至福の時間。
22:00 夫帰宅、夫に夕飯を出し、晩酌に付き合ってお互いの一日を話す。
24:00 就寝
出産して、ご自身の内面では何が一番変わりましたか?
涙腺が緩くなりました(笑)
子どもから得るものより、こちらから子どもに与えるものの方がよっぽど多いと思ってましたし、【“育児”は“育自”】なんて言葉、クサくて大嫌いだったんですけど、子どもの純粋さと健気さにこんなに心打たれるとは思ってもいませんでした。今では幼稚園の発表会なんかで、感動して真っ先に泣いてます。
子どもが「仕事の足かせ」になるかと思ったこともありましたが、(物理的な負担は確かにありますが)子どもからの精神的な癒しを覚えた今では、もはや子どもなしに仕事をしていく自信がないくらいです。
どういう経緯で政治の道を進みたいと思われたのです?立候補するとき、ご主人、ご家族の反応やサポートはいかがでしたか?
もともと社会問題に興味があったので、マスコミに就職したのですが、問題提起をして社会の気運を変えていくよりも、もっと直接的な解決が出来る仕事(相手の顔が見える仕事)をしたいと考え退職。「人の顔が見えて人の役に立てる」仕事をと思い、弁護士を目指して勉強をするも失敗。そのタイミングで第一子の妊娠がわかり、手が離れた頃にまた勉強しようと思いながら専業主婦として子育てに専念することに。そんな折、先の統一地方選があり、公認候補を募集するビラを買い物途中に受け取ったことがきっかけで「あぁこれも人の役に立つ仕事だな」と目からウロコが落ちる思いで、そういえば私は昔からお節介だし、人前で話をするのも好きだし、挑戦してみよう!と決意しました。
夫に反対されるかと思いましたが、笑いながら「いいね、合ってるんじゃない?」と快諾。義理の両親にはさすがに苦い顔されるかと思ったら「面白そう!純子さんやってみなよ!」とさらに後押し。普通、妻や嫁のポスターが街中に貼られるなんて抵抗感じるものだと思うんですけどね、楽観的な嫁ぎ先で助かりました。
ご主人ととても仲が良いと伺いましたが、ご主人との家事・育児の分担はどうされていますか?また、父親として、夫として素敵なところを教えてください♪
夫に私と同じ手際で家事を求めても、かえって私のストレスになるだろうと、平等な負担は元より、分担を定めることはしていません。時間的にも夫は早朝出勤、深夜帰りですから、外で存分に働いてきてくれと言ってます。土日や私が疲れてるときなどは進んでやってくれるので、それで十分満足しています。
それよりも、実際に共働きで子育てをして思うのですが、「○%やってくれるか」はさして問題ではなく、一緒にやっていこうという気持ちを持ってくれているかどうかが大事なんじゃないかと思います。
私は仕事柄、夜が遅くなる会合や、泊りがけの視察があり、そのときは夫が育児を丸々担当します。先日2泊3日の視察を終え、「3日間お世話ありがとうね」と言った時、「俺は子育てを“手伝う”とか“サポート”だと思ってない。純子が出来ないときに俺がやるのは当たり前。だからお礼を言わなくてもいいんだよ。」と言われた時に、視察の疲れがスーっと取れた覚えがあります。物理的サポートもありがたいですが、こうした精神的に「家庭・子どもを共に支えてる」感覚を分かち合えていることが、私たち夫婦が共働き育児を上手く出来ている秘訣だと思っています。
お子さんについてお伺いします。 3歳児までしか預かれない保育園を卒園後、4歳児からは幼稚園に通わせていらっしゃるそうですが、なぜ保育園よりも負担のかかる幼稚園を選ばれたんでしょうか?
①預かり保育があり18:30まで預かってもらえる。(浦安の保育園は原則19時までなので差は30分)
②自宅から一番近い。
③保育園ママ(働くお母さん)の声だけでなく、幼稚園の保護者である専業主婦やパートで働く人からの子育て施策への声を聞く機会が欲しかった。
④PTAに関わり地域の幼稚園が持つ課題を知る事も市議会議員の仕事の一環と考えた。(実際今PTAの副会長をしていますが、これを通して得たものはとても為になりました。)
⑤毎日お弁当など、保育園なら必要ない手間も、何とかなりそうな範囲だった。
といったところでしょうか。
ママ友達からのサポートも多いかとおもいますが、お忙しい中、どうやって地域のママ達と交流して信頼関係を気づいてらっしゃるのですか?
自治会活動やPTA活動などで苦楽(というのも大げさですが)を共有していることが一番大きいと思います。
あとは、お酒(笑)。ママ友とお酒を飲んで本音で語るのは、ストレスと不安の解消&仲良くなるのに一番の方策だと思うので、飲み会は断らないようにしています(笑)
周りに子育てをしている岡野さんに理解のある議員さんはいらっしやいますか?
他の自治体に、同じく同年代の子どもを持つ議員がいるので「朝駅頭の時、子どもどうしてる?」「泊まりの視察の時、誰が子どもの面倒見てる?」など「小さい子どもがいる議員あるある」をよく相談し合ってます。
浦安市は子育てしやすい街としてしられてますが、どういうところが素晴らしいと思っていますか? そして、どういった点がまだまだと思っていますか?
整備された街並みで、ベビーカーを押しながら並走出来る6mある広い歩道や、大きな公園が豊富なことなどから、子育てしやすい街の称号が与えられたようですが、実際に住んでみたら、病児保育施設はないし、待機児童はたくさんいるし、まだまだ変えるところがあるじゃないか、というのが、私が議員になる前から、そして今現在も継続して訴えていることです。だから、私は現在の浦安市の子育て支援にまだまだ満足はしていません。
しかし、先日まさに26年度予算が可決されたところなのですが、新年度は子育て支援を主要施策に据え、30億円の少子化対策基金の設立、他、かなり積極的に新規事業を行っていく方向です。ずっと子育て支援を訴えてきた私としては、ラブレターを送り続けた男性にようやく振り向いてもらえた思いの26年度予算ですから、今後浦安の子育て施策がどう変わっていくか、目を皿に注視していきます。
お料理がとても得意と伺いましたが、いつからどうやってお料理が得意になられたのですか? お子さんの幼稚園でのお弁当作りについてもなにか工夫されてる点などあれば教えてください。
お恥ずかしい、私レベルで得意なんて言ったら世の料理上手に怒られてしまいます。
あえて一つアピールするなら、母がとても料理上手で、かつ料理の手間を惜しまない人だったので(過去形なのは他界しているからです)、幼い頃から美味しいもので育って、舌だけは肥えています(笑)
お弁当は、たぶん皆さんなさっているとは思いますが、100均なんかで売ってる小さいおにぎりを手早くつくるおにぎりメーカーを使ったり、常備菜を製氷機に入れて一口サイズに凍らせたりして、朝の時短に励んでます。
こだわりは季節ごとの食材を取り入れることと、冷凍食品や出来合いのものは使わず、味噌や漬物などは手作りをすること。時間に不規則な仕事で、親の送迎が必要なうちは、習い事などはあまりさせてあげられませんから、せめて家庭内での食育と、母の味を伝えることだけはしっかりやりたいと思っています。
ワーママとして育児&仕事をしていて良かった~!と思うhappyなエピソードを教えてください!
・育児では・・・仕事をしていて会えない時間がある分、一緒に過ごせる時間を大事に濃密することが出来ていること。ずっと一緒にいたら、きっと1日をダラダラ過ごしたり、イライラして怒ったりしてしまうこともあっただろうと思いますが、昼間離れている事で夕方ぐらいから無性に会いたくなり、お迎え後は愛情たっぷりの濃密な時間を過ごせています。母娘関係が穏やかな事が一番ハッピーですね。
・仕事では・・・育児をしていること全てが私の仕事の糧になっていることです。日々の育児生活で足りないなと思うことがそのまま私の政策になっていくので、育児をしながら議員をしていることで、議員としての幅は確実に広がっていると思います。
今第2子を妊娠中で臨月なのですが、浦安市議会では現職の妊娠・出産の前例がなく、それゆえ制度も全く整っていない状況です。そもそも議員には産休や育休がないですから、私は破水するまで働かないといけません(苦笑)。
加えて、浦安市議会の会議規則における「欠席が認められる事由」は“事故など”の一文だけなので、出産は“事故”の拡大解釈で処理されるところでした。しかし今回私の妊娠をきっかけに、先輩議員のご配慮もあり、今回の定例会で議会会議規則の欠席事由に「出産」の文字が追加される事になりました。まだまだ変革すべき点はありますが、私の存在が議会の有りようを変えて、働く女性の職業選択への門戸が広がることは、これも一つの働く女性支援なのではないかと、時代の変革期にこんな立場に立てていること自体も幸せに思っているところです。
育児&仕事をしていて一番大変なことは?
・育児では・・・育児そのものに困難を感じることはありませんが、時間に不規則な仕事なので、朝早く駅に立つとき、泊まりの視察が入ったとき、託児をどうするかを考えるのが大変です。こういうとき、核家族社会の限界を感じますね。
・仕事では・・・仕事そのものは有意義で充実していますが、慣例や規則に縛られていることで精神的な辛さを感じることがあります。また、年配の男性が圧倒的に多い世界で、若い(もうそう若くもないですが)女性という存在そのものがまだまだ地方議会においては少数です。しかし、議員は数の世界ですからスタンドプレーをしたり、若い意見ばかりを貫こうとしたりしても始まりませんので、まわりと調和を保つ努力など、見えない部分での大変さの多い仕事です。
それをどうやって解決していますか(していこうとしていますか)?
託児先の確保については、夫との分担はもちろんですが、後は、ひたすらママ友の助けを借りています。
浦安は埋め立てて造られた新しい街ですから、核家族率は90%以上で地域コミュニティがそもそも希薄な傾向があります。そんな街だからこそ、私自ら「地域みんなで子育て」「お互い様」「持ちつ持たれつ」を率先して実践しているところです。やっぱり子どもは一人じゃ育てられません。
育児と仕事、それぞれで一番大事にしていることは?
・育児では・・・いつも抱きしめて、気持ちを言葉に出して、愛情を伝えること。
・仕事では・・・「女であることを隠し、女であることを前面に出す」ようにしています(笑)「隠し」の方は、この仕事に限らず、女ならではの部分(すぐに泣く、感情的になる、色気を使うなど)を決して見せないことを自分の中の鉄の決まりにしています。その瞬間は効果があっても、結局「これだから女は」と言われるのがオチですから、全国の頑張る働く女性の足を引っ張らないようにしなければと辛いことがあっても涙だけは我慢です(笑)
「前面に」の方は、子育て真っ最中の女性議員だからこそ分かる、子育ての苦労やママ達が必要だと感じているサポートを、私の立場ならではの視点で確実に代弁するように心がけています。
これからの目標を教えてください。
・育児では・・・産む前は「こんな子になって欲しい」がたくさんありましたが、生まれたら、とにかく健康に大きくなってくれればそれで十分だと思うようになりましたので、目標は「元気に成人させる」。それと、まもなく産まれるお腹の子を「無事に元気に産む。」
・仕事では・・・浦安市を日本で一番子育てが楽しい街にすること。ハードもソフトも充実させて、子育て世帯がこぞって住みたい街として選んで下さる自治体にするのが私の夢です。
サイトを覧の皆様(ワーママ仲間)にメッセージをお願いします!
「子どもが急に発熱した」「うちの子は病気じゃないけど学級閉鎖で預け先がない」等々、子育てしながら働くのって、日々綱渡りだと思います。ワーキングマザーの権利や制度は整っても、まだまだ社会的な気運は高まっているとは言えず、度々休まざるを得なかったり、早退したりすることで、職場で肩身の狭い思いをされている方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。それでもやっぱり、子育ては素晴らしい体験だし、みなさんは二重にも三重にも社会的貢献をされていると思います。
私の仕事は、そんなみなさんがもっと気楽にもっと楽しく、どんな生き方を選んでも、それが尊重される寛容な社会を作ることだと思っています。
地方議会の一議員の声はちっぽけなものですが、私はずっとこれをライフワークにしていきますから、みなさんも子育てにもがきながら、子どもに癒されながら、共に日々楽しんで過ごしましょうね!
紹介者:長谷川 尚子 構成:柴田 広夢