大手企業を退職し「ハウスキーパー」サービスを立ち上げるパワーママ | 和田幸子　vol.45

2014年4月22日

今回のインタビューは、昨年11月に大手企業を退職し、起業したばかり和田幸子さん！

和田さんの第一印象は「フンワリ柔らかくクレバーな美人」！柔らかい口調でお話されるご自分の事業へのアツさに良い意味でのギャップを感じました。「50歳くらいでの起業を予定していた」和田さんがなぜ前倒しでいま起業するに至ったのでしょうか？その背景と、ママが独立して事業を立ち上げることに関しての良いポイント、気をつけたいポイントも伺いました！

プロフィール

・氏名：和田幸子

・会社名：ブランニュウスタイル株式会社

・職種：経営者

・簡単な経歴：

1999年　横浜国立大学経営学部を卒業し、富士通株式会社に入社。システムエンジニアとしてERP製品の開発に従事。

2005年　企業派遣制度にて慶應義塾大学経営管理研究科（MBA）に留学の後、ERP製品のウェブプロモーション、中小企業向けクラウドサービスの事業立ち上げのプロジェクトリーダーを務める。

2008年　第一子を出産した後、フルタイム勤務で復職

2013年10月　自身の課題でもあった共働き家庭の「新しいライフスタイル」実現に必要な社会インフラを「ITを活用して作る」べく、富士通株式会社を退職。同年11月、ブランニュウスタイル株式会社を設立し、共働き家庭・ひとり親世帯に向けたハウスキーパーマッチングサイト「タスカジ」を2014年春にオープンをめざし準備中。

現在のお仕事の内容を簡単に教えてください。

去年の11月に15年間勤務した会社を辞め、起業しました。現在は5月のサービスインに向けて「タスカジ」というハウスキーパーのマッチングサイトの立上準備中です。ハウスキーパーさんとの面接、家事の勉強会の実施、家事マニュアルの作成、マッチングサイトのシステム開発、PR活動、などサービス立ち上げに必要なことをすべて担当しています。一部の専門的な作業は取引先とプロジェクトを組んで進めています。「家事」の分野は今回初めてチャレンジするので、日々新しいことを学んでいます。今までの社会人人生の中でも最も充実している時期だと思います。

平日１日のスケジュールを簡単に教えてください。

6:30 　　起床、息子の保育園の送り、ゆったり朝食、ネットでの情報収集

9:00 　　システム開発会社とのミーティング on skype

10:00 　自宅、シェアオフィス、カフェなど好きなところでデスクワーク

12:00 　ランチ

13:00 　新たに参加するハウスキーパーさんの面接・研修、関係者でのミーティング

16:00 　自宅でメールチェックや資料作成

（17:00 　ハウスキーパーさん到着、掃除・料理開始）

19:00 　保育園へのお迎え

19:10 　夕食（ハウスキーパーさんが準備）

21:00 　子供の寝かし付け

21:20 　勉強がてら、英語のドラマをHuluで視聴

24：00過ぎ　就寝

※週に２回ハウスキーパーさんに来ていただき、掃除・料理を依頼しています。

※保育園の送迎は夫と半分づつの分担。送迎担当ではない日は、ネットワーキングや勉強のために、夜のセミナーや懇親会に参加することもあります。

出産して、何が一番変わりましたか？

社会の在り方について以前より深く考えるようになりました。育児休暇から復帰する際、無認可を含め、近所の保育園すべてに入園できなかったことや、公共機関でベビーカーでの移動のしづらさに気が付いたのがきっかけでした。恥ずかしながら、「マイノリティーや弱者であることがこんなに不便で生きづらい環境なのだ」ということに初めて視点が行くようになりました。それから、そのように不便でつらい体験をした人自身が小さくてもいいから行動を起こして行いって、少しずつ世の中を変えていかないと、いつまでも変わらないのではないか、という風に考えるようになりました。

ワーママとして育児＆仕事をしていて良かった～！と思うhappyなエピソードを教えてください！

-育児では・・・息子が料理に興味を持っていて、夫の料理を楽しそうに手伝っているのを見て微笑ましく思っています。また、私が会社を作っていることに興味を持っていて、「お手伝いする！」と建物の設計図を作ってくれたり（なぜ？）と、両親の活動に一緒に参加しようとしてくれるのがうれしいです。従来の伝統的な家庭内の役割分担を乗り越えて、家族が一体感をもってサバイブしているという感覚を楽しんでいます。

-仕事では・・・いろんな立場や境遇の人について理解しようとする視点ができた事です。自身に時間的な制約ができて初めて、他の人の状況にも考えを巡らせることができるようになったし、その状況を受け入れる必要があると認識するようになりました。以前は何も考えていなかった気がします・・・。また今の仕事は「家事」のアウトソーシングというライフスタイルに関するものなので、息子や家庭とのかかわりの中で、どんどん新しいサービスのアイディアが出てきて、ワークとライフの間で「シナジー」が生まれているのを強く感じています。

育児＆仕事をしていて一番大変なことは？

-育児では・・・寝不足！息子は小さいときからよく夜中にトイレに起きるので、親が寝不足気味になってしまいます。特に仕事が忙しくてクタクタなときだとてもつらい！！

-仕事では・・・やはり、仕事上の緊急トラブル対応と息子の急な体調変化でしょうか。

それらをどうやって解決していこうとお考えですか？

寝不足の解決策は、ズバリ、週末に夫と朝寝・昼寝のシフトを組むことです（笑）。土曜の朝、息子と共に早く起きた方は、日曜の朝はゆっくり寝ることができる、といった感じです。最近は息子が空手教室に通いはじめ、そのお稽古の間も貴重な昼寝タイムになっています。また、週末に、近所に住む外国人ハウスキーパーさんに、自宅で息子と一緒に遊んでいただく方法も試みています。その間、私たちはたまった事務処理など、束の間の休息をとっています。最近の息子はハウスキーパーさんと英語版のモノポリーで遊ぶのがお気に入りで、小さい時から自然と英語やグローバルの風に触れ、多様性を認識する良い機会となることを期待しています。

パパやご両親などとの家事・育児分担はどうしていますか？

-パパ：育児については半分づつの分担になるよう調整しています。保育園の送迎は前の週にお互いの予定を確認しながら決めています。その為か息子は小さい頃からパパ大好きっ子なんです。家事は思い切って個人契約のハウスキーパーさんにすべてアウトソーシングしています。一部、私が洗濯、夫が週末のお料理を担当しています。

-両親：私の両親が都内に住んでいて、息子が風邪をひいたときや夫婦共に夜の予定が調整できない時に自宅に来てもらい育児をお願いしています。息子が小さい時は1か月に数日お願いしていましたが、今は体も強くなり、2か月に1日ぐらいの頻度です。いざというときにお願いできる体制があるのは精神的にとても救われていますね。

大学卒業後はエンジニアとして新卒入社されています。もともとエンジニア志望だったのでしょうか？？

もともとエンジニア志望でした。実は、高校生のころから志望していました。システムで自動化することにより作業を効率化できるという点が面倒くさがり屋の私の心を捕らえました（笑）。それから、新卒入社当時（1999年）から将来起業したいと考えていたのですが、システムを自在に操れるが企業の競争優位になると考えていたので、エンジニアの仕事につくことができてとてもうれしかったのを覚えています。

第一子ご出産後に復帰後、プロジェクトリーダーをされていたとき、大変だったことと、乗り切るコツなどあれば教えてください！

プロジェクトリーダーとして裁量権があったことがとても助けになりました。スケジュールもある程度自分で決めることができ、チームの残業量もある程度はコントロールできたからです。また、プロジェクトの状況を各担当者ときちんと共有しておけば、子供の急病で万が一欠席になっても、各自で仕事を進めてもらうという体制をとることができました。とはいうものの、息子が新型インフルエンザにかかってその後私に伝染したときは、３週間ほど休みになり、職場のみなさんにフォローしていただいてなんとか乗り切った、というような事は何度もありました。

また、トラブルが起きたときは、リーダーが率先して対応を検討しなくてはならず、時間の融通が利かない日が数週間続く事も多々ありました。そういう時は夫に状況を説明して、できる範囲で子供の送迎の比率を増やしてもらいました。夫の協力を得るために、普段から仕事に対する思いやキャリアに対する考え方を夫婦で共有したり、私が大黒柱の１本になることを宣言して（笑）本気度を示す取組みをしていました。

昨年１１月に会社を設立されたばかりの和田さん。起業のきっかけを教えてください。会社員時代から起業されようと思っていたのでしょうか？？

実は、起業は会社員になる前から考えていました。でも、今とは大分イメージがちがっていました。業界は今までずっと仕事をしてきたBtoBだと考えていましたし、年齢も50歳ぐらいと考えていました。「家事のアウトソーシング」といったライフスタイル分野での起業を選んだのは育児経験が大きな影響を与えていると思います。育児をする中で出てきた自分の課題の解決策をそのまま起業テーマに選んだのです。タイミングを前倒ししたのも、こんなに困っているのに、今解決しなくていつするんだ！という気持ちが大きくなったからです。

起業してみて、起業前には気づかなかった・分からなかった「楽しいこと」と「大変だったこと」があれば、教えてください！

担当する仕事の範囲が広く忙しいので、結局、労働時間は会社員時代とくらべてそれほど減っていないのは予想外でした。でも、それも自分で「納得して選択した結果」なので今のところ、不満はありません。起業前して身に染みるのは、いつも自分の味方でいてくれる家族のありがたみです。起業はまだ立上げ時期で、落ち込んだり不安な気持ちを抱えてしまうこともしょっちゅうありますが、いつも受け入れてくれる家族の存在は大きな心の支えになっています。

また、仕事が充実しすぎて、つい没頭しすぎてしまうことも多々ありますが、夜や週末に家族と過ごすことで強制的に気持ちを切り替えられるのは本当に感謝しています。

5月にサービスリリース予定の「タスカジ」について詳しく教えてください！

「タスカジ」は家事のお仕事をしたい個人と、家事をお願いしたい個人をマッチングするインターネット上のサービスです。ハウスキーパーの利用が日常化している欧米諸外国では、家事代行サービスの利用は個人契約が中心です。個人契約による安い価格が家事サービスの利用を日常的にしています。タスカジはこの仕組みを日本にも取り入れ、家事のアウトソーシングを日常のものとし、共働き家庭に癒しを提供したいと考えています。

特徴としては、２４時間、ネットでオーダーできるという簡単さに加え、日本人以外にもフィリピン人など国際色豊かなハウスキーパーさんに仕事を依頼できる点です。目指すところは「家庭の中にグローバルと多様性を持ち込む」事です。

現在、ハウスキーパーのご利用希望お客様の事前募集を行っております。ご興味ある方はぜひご覧ください。
⇒タスカジ　ご利用者様事前募集サイトはこちら

育児と仕事、それぞれで一番大事にしていることは？

-育児では・・・精神的に自立するということを重視してきました。１歳のころからできるだけ自分で選択するように働きかけをしていました。たとえば、「あと何分後にお風呂入る予定？」「これを食べないと強くならないけど、食べなくても本当にいいの？」。最近は私が「早く、自分で決めなさい！」と息子から怒られることも・・・

-仕事では・・・「成長」「楽しい」がキーワードです。

これからの目標を教えてください。

-育児では・・・世界視点での多様性を体験を通して理解できたらいいな、と考えています。

-仕事では・・・「成長」「楽しい」に加え、起業を通して「社会への貢献」が新しいテーマです。

最後にメッセージをお願いします！

最後まで読んでいただきありがとうございます。ワーママのライフスタイルというのは近年多様化し、変化しています。だからこそ、ロールモデルを見つけるのも難しい、社会の制度が追い付いていない、ライフスタイルに適合する商品サービスが提供されていない、など不都合なことがたくさんあります。私たちはその当事者であり、一番的確にニーズをわかっている人たちです。制度がなければ政治家になって作ればいいし、商品・サービスがなければ今の職場や起業、転職して作ればいい、そんな風に次々身の回りに起こる課題をとらえて、ぜひ一緒に新しいライフスタイルを切り開いていけたらいいな、と思っています。