バリバリ外資系IT企業で活躍して今年独立、起業された河野さん。
4つのマネジメント指針カッコイイです。そして育休中に海外滞在をエンジョイされていたり、とてもパワーママ!
“「これをやったら、私は変われるかもしれない!」と期待できるとき、人は興奮する”
というのは、特に心に響いた名言です。
プロフィール
・氏名:河野理絵 Yoshie KONO
・会社名:株式会社ネクストスカイ
・職種:代表取締役
・簡単な経歴:日本IBMにてSE→現職
・居住地:東京都
・ご自身の年齢:35歳(1977年生まれ)
・お子様の年齢:2歳11ヶ月(2010年9月生まれ)、1歳0か月(2012年8月生まれ)
現在のお仕事の内容を簡単に教えてください。
2013年6月に株式会社ネクストスカイを創業しました。 食品の商品企画、マーケティング、PRサービス事業を展開しています。 直近では、農家さんと一緒に食品の商品企画を行ったり、海外ブランドの日本誘致やPRのお手伝いをしています。
「この世界観もアリだよね!」という、今すぐ触れたくなる、そんなカルチャー、ヒト、モノを日本中、世界中から探し、皆さまへ発信します。 忙しく過ぎていく毎日を、少しだけ新しいモノに変えていく。皆さまのライフスタイルを心地よくするtipsをお届けしていきます。
平日1日のスケジュールを簡単に教えてください。
5:30 家族4人同時に起床、すぐに子どもたちは朝ごはん。
6:30 長男、長女と遊びながら順に着替えをし、合間に洗濯、ゴミ出し、自分の身支度。
7:00 主人と一緒に子供たちが登園。私は、掃除、洗濯物干し、自分の朝ごはん。
8:00 メール、RSS、SNSをチェック。経理などの事務仕事。
9:00 デスクワーク
10:00 アポイントメントで外出、企画ご提案
12:00 ランチ
13:00 デスクワーク
16:00 市場調査のため、書店、複合施設などを周る
17:00 退社、自宅に戻り夕ごはん準備
18:00 保育園にお迎え
18:30 帰宅後、子どもたちと一緒にご飯
19:00 お風呂準備、子どもたちと遊ぶ、合間に翌日の保育園準備
19:30 お風呂 20:15 寝かしつけ
21:30 自由時間。読書、残った仕事などを行う。途中、長女の授乳1~2回程度あり。
23:00 就寝
出産して、何が一番変わりましたか?
子どもを持つパパ・ママたちへの共感度が上がりました。 子育てをしながらでも、暮らしやすい環境、働きやすい環境が作れないのか?と考える時間が増えました。
ワーママとして育児&仕事をしていて良かった~!と思うHappyなエピソードを教えてください。
妊娠している&子どもと一緒にいるだけで、知らない人に話しかけられる&話しかける機会がとても増えました。短い時間でも、このセレンディピティな出会いがとても楽しく幸せです。仕事面においてプラスに働くことがあり、ママとして働くことへの自信につながりました。
第一子育児休暇中に、姉が住むオランダに子どもと一緒に長期で滞在していました。町に出ると、レストランなどで知らない方が必ず子供の名前を尋ねてくれました。そして、0歳の子供に向かって名前を呼びかけながら話しかけてくれました。とてもうれしかったですし、見習いたいコミュニケーションだと感じました。
育児&仕事をしていて一番大変なことは何ですか?
平日に子どもが病気になり、看病しなければいけない時です。 会社を創業したばかりですので、代行を立てることができません。仕事の調整をつけるのは、とても難しいです。 子供が小さいので、交互に感染症にかかることもしばしばです。
それをどうやって解決していますか?もしくは、解決していこうとしていますか?
ママとなって丸3年で、ようやく、「子どもが病気になった時に、ママとして動かなければいけない時間帯、季節」というものの見当がつくようになってきました。この時間帯や季節は、可能な限り自分のデスクワークにあて、アポイントメントのリスケが発生しないようにしています。
また、「いかに丈夫な子供に育てるのか」、ということに関して学び、日々実践しています。 主に、食事、睡眠についてです。 子どもは、新陳代謝がよいため、すぐに結果につながります。何がいいのか、悪いのか、見極めることができるようになったと感じています。
育児と仕事、それぞれで一番大事にしていることは?
<育児> 子どもと一緒に笑う時間をいかに多くするか、ということを考えています。究極なことを言えば、ずっと笑っていたいと思っています。 おもしろいことをしたりすることはもちろんですが、歌いながら笑う、真剣に何かに取り組んだ後に笑う、など、バリエーションを持たせるべく、できることを日夜考えています。
<仕事> お客様や、仕事で携わる方々に対して、いかにお役に立つことができるのかを考えていきたいと日々思っています。 たくさんの方に支えられていますので、そのことに感謝し、自分が成長することで、少しでも多く恩返しをしていきたいです。
元外資系IT企業でオフショアプロジェクトマネジメントされていたとか。ハードワークそうでしたが、どうやってやりくりしていたのですか?
30人のチームをマネジメントしていました。顔を合わせて仕事をしていたのは、メンバーの1割のみで、他のメンバはオフショアで開発していました。たまに出張することもありますが、基本的には離れた環境でも、品質、コスト、納期を守り、いただいた案件を進めていくことが求められました。
プロジェクトにアサインされた時、自分にとってはチャレンジングな仕事でした。いくら時間をかけて仕事をしても、全く先が見えない状況でした。先輩や同僚に相談したり、本を読んだりして、いかにチームとして仕事ができるのかを考えました。
以下の4つは、自分自身の中でおいていた、マネジメント指針です。(オフショア・プロジェクト独特の指針も含まれます。)
・トラブルや、複雑な意思決定を迫られたときは、「お客様への貢献」と「チームメンバの活躍の場を作る」という2つだけにポイントを絞って、判断し前に進む。
・メンバに対しては、Servant Leadershipを。ボスに対しては、攻めの姿勢を。
・フットワークを軽く、自分からどんどん動いて情報を取る。
・最後まで粘って、諦めなければ、やり遂げられると信じる。
マネジメントは、すぐ目に見える成果を出すことは難しいため、目先の作業ばかりに手を付け、チームの成長に対して施策を打たない事例を見ますが、それではいつまでもチームとして大きな結果を出すことはできません。そして、お客様も、3年経っても同じ結果しか出せないチームでは、満足してはくれません。
徐々にチームが成長し、良い成績を残すことができたことは、メンバーにとっても私個人としても、大きな自信になりました。
会社員時代のお仕事も充実して楽しそうでしたが、独立されるきっかけは何だったのでしょうか?
確かに、仕事は大好きでした。会社のことも大好きでしたので、まさか自分が辞めるとは思ってもいませんでした。 しかし、出産をしたことが、一つのターニングポイントとなりました。
出産の産前産後の休暇で、時間的な余裕を持つことができました。それによって、今まで見えなかったものが見えるようになりました。
第一子育児休暇中に、オランダに滞在していた時のことです。ほとんどの人が17時半には仕事を終えて、自宅で晩ごはんを食べます。法律による規制によるところが大きいと思いますが、この光景に驚きました。 そして、みんな心にゆとりがあるので、周りの人たちに優しいことに感動しました。 一方、私は、社会人になってからは仕事中心の生活で、効率を追い求め結果を出すことに注力する毎日でしたので、オランダに身を置いていると、何においても自分の行動や感情が「硬い」と感じるようになりました。そして、自分の硬さに対して違和感すら感じるようになりました。 これは、自分にとって、大きな気づきでした。
自分が気づきを得たことによって、とても楽になったし、救われました。いつも同じように訪れる毎日を、心から楽しめるようになりました。
仕事や家庭で忙しくされている方は、何かしらの悩みや葛藤を持つ方が多いと思います。そのような方たちへ向けて、自分が得た気づきやきっかけを、様々な形でお届けしたいと強く思うようになりました。これが、独立へのきっかけです。
乳児を子育てしながらの会社設立、どんな感じですか?
とにかく時間はありませんが、周りと比較することなく、自分で目標を定めて前に進めばよいと考えています。
仕事では、子どもを連れて打合せに参加させていただくことも多いのですが、携わっている方々が子供の成長を見てくださっているので、むしろ様々な点において気遣いをいただき、本当に感謝しています。子どもを持ち働くことに関して、応援してくださる方もいらっしゃるということを、声を大にして伝えていきたいです。
河野さんもワーママを応援したい、というスピリットをお持ちですよね!きっかけは何だったのでしょうか?
長男を2010年に出産しました。すんなり子育てモードに入れず、自分のやりたいことをやり過ぎた、少しワガママな母親でした。 第一子ということもあり、わからないことだらけで、あたふたすることも多々ありました。しかし、私は、自分のやりたいことを目一杯取り組んでいたので、余裕がありませんでした。ですから、「家族を含めた周りの方々に協力してもらい一緒に解決していく」ということが、できなかったんです。家族とすれ違うことが多く、それは、それは、とても悩みました。あの頃は、本当に苦しかった。
でも、産休中にオランダに滞在していた時、家族とは何なのか?子育てとは何なのか?ということと向かい合い、私自身が少しずつ変化していきました。それに伴い、状況もよくなっていきました。悩んだ時期があった分、この幸せを大切にしなければいけないと思う気持ちが強くなりました。
なかなか、子育ての苦悩を周りに相談することはできない場合も多いと思います。 私は、悩み苦しむ時期を経て、ちょっとしたきっかけにより、子育てライフを楽しむことができるようになりました。この経験から、ひとりでも多くの方に、楽しい子育てライフを過ごしてほしいと思うようになりました。今後、できることから一つずつ、具現化していきたいと考えています。
パパもハードワークなのですよね?パパの育児参加はどうですか?
主人とは、同じ小・中・高に通う同級生です。理工学部卒の外資系IT企業がファーストキャリアであるという点も同じです。 主人も働きマン(笑)ですし、私もその状況がどういうことなのか、リアルに想像できますので、応援したいと思っています。
これは、自分で決めたことですが、基本的には私が家事・育児のほとんどを請け負っています。主人のことをエンジニアとして尊敬しているので、これが一番よい形であると思っています。主人は、保育園の朝の送迎と、日曜日に家族と一緒に過ごしてくれています。主人は、本当に子供をかわいがってくれるので、それを見ているだけでも幸せです。
第二子出産時は、産後の肥立ちが悪く、2歳になった上の子を抱っこすることも禁止されていました。主人は、仕事を調整してくれて、家のことを一手に引き受けてくれました。朝も夕方も保育園へ送り迎えをして、帰宅したら娘を沐浴させ、長男をお風呂に入れ寝かしつけてくれました。会社員をしながら、大変だったと思います。今でも、感謝しています。
これからも、お互いの状況をみながら、話し合って共に子育てをしていきたいと思っています。
河野さん、とてもエネルギッシュですよね。パワーの源は何ですか?
私は、器用な人間ではないんです。ですから、バタバタしている様子を人に発見されやすいのかもしれません(笑)
何事に対しても、「下手の横好き」なのかもしれません。ホノルルマラソンに二度チャレンジして、完走していますが、マラソンを始めた頃は走るのは本当に遅かったし、走り続けることも苦しかった。でも、続けるうちに楽しくなります。少しずつですが、早くなるし、長く走ることができます。そして、新しい出会いがあり、マラソンに関するすべての要素が私を刺激してくれるようになります。
何でも、「これをやったら、私は変われるかもしれない!」と期待できるとき、人は興奮するし、楽しくなると思うんです。自分のスキルセットより、一段高い仕事をアサインしてもらったら、少し不安かもしれませんが、興奮しますし、何とかやり遂げてみたいと思いませんか? 仕事に限らず、英語、ダイエット、断捨離、など、身の周りにあること全てです。その、「変れるかもしれない!」というワクワク感を、たくさん味わいたいし、ふと振り返った時に、自分が変わっていることに気付いた時のうれしさもたまらない。これを味わい続けたいから、年甲斐もなくミーハーなのかもしれません(笑)
河野さんの今後の目指している姿について教えて下さい。
有名すぎる、あの2005年に米スタンフォード大学の卒業式で行ったスティーブジョブズ氏のスピーチの中に、こんな言葉があります。
「偉大なことをやり抜くただ一つの道は、仕事を愛することでしょう。好きなことがまだ見つからないなら、探し続けてください。決して立ち止まってはいけない。」
心から愛すことができる仕事と向き合っていきたいです。年を重ねることに、変化があるかもしれません。ですから、決して立ち止まらず、それを探し続けたい。見つけることができたら、それをやり抜いていきたいです。
大切な家族や友人に囲まれ、やり抜くと決めた仕事をすることができていたら、これ以上の幸せはないのではないか、そう思います。
最後にメッセージをお願いします!
働きながら子供を育てることは、このご時世では大変なことも多いと思います。でも、とってもシンプルで、誰しもが持っておかしくない希望だと思います。何かしらの困難にぶつかっていたとしても、「本当にできるかな?」なんて迷う必要はないです。
自分が生活する枠から、少しはみ出してみれば、今まで出会わなかったたくさんの方に出会えます。沢山の価値観に出会えます。そして、それらは、きっと皆さんに笑顔と自信を与えてくれると思います。何だか理想論にも感じられるかもしれませんが、これは私が得た実感なのです。
実際に、これを読んでくださっている方は、「パワーママプロジェクト」という、力強い味方がいる!まだ、読んでいるだけの方は、是非一歩足を踏み入れてみてください。絶対、笑って前を向けますから!
(インタビュー by椿)