プロフィール
・氏名:山口 幸子
・職種:事務職
・簡単な経歴:新卒でイベント企画運営会社に入社、商業施設内のイベント企画やメンバーズクラブの運営に5年間携わる。退職後、派遣スタッフとして2年間、数社で事務職として勤務。人材派遣会社に転職後、テーマパーク・メディカル系のコーディネーター内勤業務など、8年勤務。2008年に現職に就く。現在、勤続9年目。
・居住地:大阪市
・ご自身の年齢 :47歳
・お子様の年齢 :2011年生まれ 5歳
・ワークスタイル:週4日フルタイム勤務
現在のお仕事の内容、ワークスタイルを簡単に教えてください。
中小企業で事務職が一人の為、営業事務から簡単な経理業務まで幅広く携わっています。
産休育休もわたしが初めての取得者で、育休明けは8:30~17:00までのフルタイム勤務での復職となりました。
昨年から子どもが保育園から幼稚園に転園し、園行事や所用なども増えたこともあり、現在は週一日、平日にお休みを頂いています。
現職と並行して、復職直前のセミナーで出会った友人と働くママユニット paso a paso を結成。
2カ月に1度のペースで「働く×育てるカフェ」「働く×育てる college」を開催しています。
平日1日のスケジュールを簡単に教えてください。
6:30 起床・3人分のお弁当つくり(週3日)・自分の身支度・メールチェック
7:00 夫、子ども起床 朝食と子どもの身支度のサポート
※夫は7:30頃に自宅を出る
8:10 子どもと一緒に自転車で自宅を出て幼稚園へ(自宅から約5分)
8:30 出社(幼稚園から約15分)
12:00 お昼休憩 ※個人的なメールチェック・返信・スケジュール確認・調整など
17:00 退社 急な残業有
幼稚園お迎え たまに子どもと一緒にお買いものしてから帰宅
※幼稚園から帰るのを嫌がって出るまでに20分ほどかかるときも。。。
18:00 ①帰宅後、園からのお手紙の確認と洗濯物・お弁当箱などの片付けをしながら
その日あったことを子どもから聴く
②翌日の園の準備(子どもがひとりでするようにサポート)
③夕食準備
19:15 子どもとふたりで夕食
20:00 夫帰宅(まだ食べていたら3人でおしゃべりしながら夕食)
20:30 ①夫の食後を待って子どもと夫で入浴する
②先に私ひとりで入浴後、子どもと夫が入浴
※子どもの気持ち優先。夕食の後片付は後から入る人がする
③夫の帰宅が遅い日は夕食の後片付け後に21:00頃から子どもと入浴)
22:00 子どもと一緒に絵本を読んで就寝
※朝まで起きません
洗濯は、復職直後はわたしが子どもを寝かしつけてからしていましたが体力的に本当に辛く、話し合いの結果、夫がすることになりました(笑)
出産して、何が一番変わりましたか?
できない自分を許すことができるようになりました。
育児面では「どうしたらいいの?これでいいのかな?」と不安でおろおろするばかり。
以前のわたしなら、そんな自分が許せなくて自分を追いつめていたと思います。
でも、生まれたばかりの子どものお世話をしているうちに「子どもと一緒にわたしもママとして育っていけばいいんだ」と思えるようになりました。
仕事に対しては、子どもが生まれても働き続けるのが当然だと考えていたにも関わらず「もっと子どもと一緒にいたい」「子どもの“はじめて”を見逃したくない」という思いが強くなり社内での産休育休取得が初めてということもあり、復職について悩んだ時期もありました。
いろいろ考えましたが「働くママ1年生として、会社とも一緒に成長してみよう!」と覚悟を決めました(笑)
ワーママとして育児&仕事をしていて良かった~!と思うHappyなエピソードを教えてください。
ワーママでいられること自体がHappyだと思っています。
仕事をしているから、育児がもっと楽しい。そんな相乗効果があると思います。
育児では、子どもとの時間は短いながらも充実していて、“ママとしてのわたし”を満喫しています。毎朝毎晩、大好き!ぎゅ~♡ っとしたり、たまに歩いてお迎えに行って、手を繋いでお散歩して帰ったり。限られた時間の中でも“子どもと一緒に” いろんなことを体験し発見しています(笑)
仕事では、一人の社会人として会社や社会に関わり、成長できることです。
ママとしてだけではない、これまでの“わたし”のキャリアを活かして社会に貢献し続けたいと思います。
「わたしとしての居場所」=会社があるから、育児が私の癒しの場となり、ママとしてのわたしの帰る場所にもなっています。
育児&仕事をしていて大変なことはありましたか?それは何ですか?それをどうやって解決していますか?
日々の家事などは皆さんと同じで大変さは変わらないと思います。
むしろ、「やらなくても死なない」ことはしないと決めた分、私は手を抜きすぎていると思います。その分、夫の方が大変かもしれません(笑)
ただ仕事では、事務職がわたし一人だけですので、急な休みは本当に迷惑をかけてしまいます。納品伝票も出せず、誰かが社内に残らないといけない状態です。
子どもが3歳の時に肺炎で入院した際は、朝、伝票処理で出勤してから病院に戻る、という状態が1週間続きました。
復職前に病児保育などの説明会にも参加しましたが、わたしの実家が同じ区内で職場もすぐ近くなので、我が家は完全に実家を頼ることに決めました。
今でも子どもの緊急事態時は実家にお願いしています。
とはいえ、子どもにギャン泣きされ、わたしも「ごめんね」と涙ながらに自転車通勤したり、会社を休む際には厳しい言葉を投げかけられることも数えきれないくらいあります。。。。
一番辛いのはやはりメンタル面かもしれません。
そんな時は帰宅後に時間の許す限り子どもを抱っこして「頑張ってくれてありがとう」と伝えたり、わたしは子どもを抱っこしている写真を「ココロのおまもり」として持ち歩いています。
「ごめんね」の気持ちが出てきたときなどにこれを見ると「ああ、わたしはちゃんとママの顔をしている」「わたしがママでいいんだ」と安心できます。
育児と仕事、それぞれで一番大事にしていることは?
育児では、とにかく子どもと一緒に楽しむこと。子どもの話をよく聴き、共感すること。
そして、毎日必ず抱っこする・触れること。朝も時間が許す限り触れ合っています。
これはわたしの癒しの時間にもなっています。
仕事では、信頼関係です。予測される懸念事項はすぐに社長に相談しています。
子どものこと、自分のこと、家族のことで「もしかしたら…」と思うことは一旦投げかけておきます。そうすることで不測の事態の時にもすぐに対応してもらえることが可能になりました。
また、さまざまな環境下でできない時があるからこそ、今の自分にできることを積極的に会社に提案するようにしています。
創業60年で女性社員一人という環境下、育休取得と産後復帰第1号を実践することになった背景を教えてください。
前任者の退職に伴い、入社しました。
当初は、中小企業・勤務地・事務職一人勤務という条件などで、中々みつからなかったそうです。引き継ぎは2週間程度でした。
多業種多職種を経験してきたおかげで、中小企業特有の雰囲気や取引先やメーカーにもすぐ馴染むことができ、社内でも円滑なコミュニケーションをとることができました。
入社して2年目に結婚、3年目に出産となり、当初は社長も「妊娠したら辞めるのだろう」と思っていたそうです。
わたしとしては、勤務地・職種・職務内容・残業がないという点で仕事を続けるための希望は満たしていたので、辞めるという選択肢は全くありませんでした。
社長に産休育休制度の説明をすることから始めましたが、権利だけを主張するのではなく、この会社で子育てをしながら永く勤めたいという思いと育休後も勤務が可能なようにわたし自身もサポート体制を整えておくことを伝えました。
会社としても今後の幅広い層の人材雇用なども見据える必要もあり、結果、社内初の産休育休取得者となりました。(産休育休中期間中は契約社員を雇用)
仕事の進め方や勤務形態は、どのように変えてきたのでしょうか?
子どもが1歳4か月で時短勤務なしのフルタイム勤務で復職しました。
これは、事務職が一人だけという職場の課題点でもあると思います。
不測の事態で休むこともある分、急な退社時間間際の急な依頼でも、できる時には可能な限り残業したり「できないときもあるからできる時はやります」という姿勢で、昨年の3月までずっとフルタイムのまま勤務形態を変えずにきました。
ところが、子どもが4月に幼稚園に転園したこともありますが、やはり体力的にも厳しくなり、体調も崩しやすく、職務にも影響を来たすようになってしまいました。
そこで思いきって「ワークシェアリングを導入させて欲しい」と提案してみました。週2日勤務のパートさんを雇用して、わたしは週1日平日にお休みをもらう。
わたしが休む日給分をパート給与に補てんする。というしくみです。
それなら会社にも大きな損失はないだろうと社長も快諾して下さって、昨年4月から導入しています。
おかげで体調も良くなり、子どもの幼稚園行事などにもスムーズに参加できています。
ただ、今となっては育休後に朝夕30分の時短勤務なら提案できたのでは。。。と思っています。
中小企業で同じようにワーママ第1号となる方も多くいらっしゃると思います。ご自身も不安を最小限に、社内でも快適に仕事を継続できるために、アドバイスをお願いします!
中小企業だからこそ、の利点を活かした“わたしらしい働き方”を考えてみてはどうでしょうか?
トップとの距離が近いことも利点のひとつではないでしょうか。
まだまだ昭和の雰囲気が色濃く残っている中小企業は多いですが、だからこそ人情味も溢れているはずです。
「難しいかな?」と思うことでも、まず相談してみる。
その際も、自分の希望だけを押し出すのではなく、今の自分にできることも提示して、会社にも歩み寄ってもらうよう試みる。もちろん、それができる信頼関係を深めておくことも大切だと思います。
キャリアアップはもちろん、太く永く勤めるにはどうするべきか、子どもの成長や家族のライフイベントに併せて会社を変えるのではなく、今の会社で勤務・雇用形態を変えることも視野にいれて、自分でキャリアデザインできるのも中小企業の利点ではないでしょうか。
今後の目標やプランを教えて下さい!
育児では、これまで同様、子どもと一緒にママとして成長し続けたいです。
一緒に泣いたり笑ったり、時には熱く語り合ったり。そんなママでありたいです。
そして働くママとして、子どものキャリアモデルになれるようこれからも働くことを楽しみます。
仕事では、いつかわたしの後任となる女性のために、産休育休・時短勤務・介護休暇取得制度などを万全に整えていきたいと思います。
また働くママとして「働く×育てるカフェ」「働く×育てる college」も太く永く開催して多くの働くママたちとの交流を深め、いつか中小企業勤務の働くママたちと情報交換もしてみたいです。
最後に、メッセージをお願いします。
女性が少ない職場で永く勤めるのは何かと大変なことも多いかと思います。
キャリアモデルがいない、理解してもらえない。
できないから諦める=辞める、のではもったいないです。
どうしたらできるか、どこまでならできるか、そしていつか自分自身がキャリアモデルになる。
時にはそんな勇気も必要かもしれません。
また、女性は自身だけでなく、家族のライフイベントによってもさまざまな選択を迫られることが多くあります。その都度、いちど、とまって、「わたしはどうありたいか」を考える時間を持つことも大切だと思います。
わたしも折に触れ、なんどでも、とまって考えて、会社にとって“雇用形態を変えながらでも永く勤めて欲しい人材”となるようこれからも努めます。