プロフィール
・氏名:城 みのり(じょう みのり)
・会社名:株式会社グローバル・カルテット
・役職名:代表取締役
・職種:リサーチクオリティコントローラー
・簡単な経歴:
学生時代よりスポーツ現場を中心にフリーランスアナウンサーとして活動。2002年、インターンシップで渡米した後に、米アパレルメーカーの国外ライセンス管理を行う事業会社を共同設立。2008年に帰国に先立ち事業譲渡し、帰国後は事業会社でマーケティング部のアシスタント業務に就き、その後コンサルティングファームのバックオフィス業務、マーケティングリサーチ会社にてマーケティングリサーチャーとして勤務。出産、育休を経て職場復帰するも2016年8月に退職し、フリーランスのリサーチャーに。
2018年3月、グローバルリサーチ&アウトプットのスペシャリスト集団、グローバル・カルテット(www.g-quartet.jp/)を設立。
・居住地:神奈川県川崎市
・ご自身の年齢 :45歳、1973年
・お子様の年齢 :4歳、2014年生まれ
現在のお仕事の内容、ワークスタイルを簡単に教えてください。
21名のフリーランスメンバーと共に様々な業種・業界のコンサルティングファームや広告代理店案件の各種調査や提案資料作成、事業会社の市場調査をチームで手掛けています。
メンバーのワークスタイルは完全リモートワークです。個々のスキルと稼働可能工数により業務を切り分けて、それぞれが得意とする業種・工程をアサインをし、1人のフリーランスでは日数や工数の問題で難しい案件も「チーム受注」によりスピーディーで円滑、かつ高クオリティにコミットすることが可能です。また、ひとつの案件/クライアントに対して“複数名の最適チーム”で対応するため、納期やクオリティへの影響がありません。イメージは、「リサーチスペシャリストチームのレンタル」です。
私自身は全体を見渡し、業務の切り出しや品質管理を行う「リサーチクオリティコントローラー」として受注段階と納品工程のコア業務に従事しています。
平日1日のスケジュールを簡単に教えてください。
5:30 起床
~7:00メールや夜間の間にメンバーから納品された資料のチェック等
~7:30自分の身支度と朝食準備
~7:45娘起床
~8:30朝食・身支度
8:40 保育園へ
9:00~自宅で仕事開始(打合せ日は外出)
~17:30仕事終了
17:45保育園お迎え
~18:15夕飯準備。と言っても家事サービスの1週間分の作り置きを温めるだけ(娘ひとりで遊ぶ)
~19:00夕飯
~19:45おふろ
~21:00自由時間(娘と遊ぶ・テレビを見る等々)
~21:15歯磨きして就寝
出産して、何が一番変わりましたか?
「健康はお金を積んでも買えない」と身を持って経験しました。また、月に何時間・何日稼働できるかのような時間あたりの自分の価値ではなく、成果に対しての評価を求めるようになりました。
会社員として育休から復帰した1年目、時短とは名ばかりで、業務量は産前と変わらず、持ち帰り残業がデフォルトでした。なのに、給料も評価も時短のまま。加えて家事や育児もしなければならず時間がいくらあっても足りない状況でストレスMaxに。
毎日「会社を辞めてやる」と思いながらも、産育休を取った期間分は最低でも働こうと決めていたので、1年4ヶ月後に退職。きっかけは重度のめまいと貧血でした。「健康はお金を積んでも買えない」と健康を害してようやく退職することに納得することができました。
今は精神的に負担となることや、身体のためにも自分でなくても良いこと、例えば「食事作り」などは家事代行サービスを積極的に利用しています。
ワーママとして育児&仕事をしていて良かった~!と思うHappyなエピソードを教えてください。
仕事好きな女性は、ママになっても生産性は落ちないことを知れたことです。
独身時代、馬車馬のように働くことが苦でもなく、そうできる者こそが最も評価される「べき」と本気で思っていました。しかし、出産後職場に復帰しそれまでと同じ回し方をしては何度も心が折れていた私にとって一番の励みとなった存在は直属のワーママの上司でした。彼女は非常に仕事のできる方で、ママになっても時短でも仕事の質や生産性は落ちないことを体現されていました。そんな価値ある存在が身近にいて業務の手法を知れたからこそ、フリーランスになってからも前向きに自信を持って仕事を請けられるように感じます。
育児&仕事をしていて大変なことはありましたか?それは何ですか?
子どもが生まれるまでは、人に甘えるなんて簡単には出来なかった私ですが、40歳過ぎて出産し体力が落ちて、自分の思うようにできないことが本当に多くなり、子どものペースや体調に合わせた両立は非常に難しく、日常的に片付けが追い付かない家と、職場での立場のなさに精神的なバランスを保つことが常に課題でした。特に、子どもが体調を崩した時に「すみません、休みます」と会社に言わなければいけないことが本当にストレスでした。
それをどうやって解決していましたか?
会社員だった頃は、急な休みを回避すべく「シッターサービス」の利用をしていました。フリーランスとなった今は、納期が決まっていてそこに間に合えばいいので、子どもの看病のために「休みます」と言わなくて良くなったのが精神的にとても楽になりました。
仕事と育児、それぞれで一番大事にしていることは?
仕事:
チームマネジメントしているといっても私は「すべてが難なくできる、こなせる人」でありません。チームには私の得意ではない部分のスキルがすごく高い方がいたり、私とは違う分野の知見を持っている人がたくさんいるので、細かすぎることは言わずチームメンバーの能力や自走性を信用し、適宜コミュニケーションを取りながらフィードバックしています。メンバーは謙虚にフィードバックを受け止めてくれて、次の案件では遥かによいものが上がってくる、その繰り返しです。
育児:
私は子どもと遊ぶ才能がないと自覚していて、かつ普段出不精なためで旅行どころか、遊戯施設に連れて行くこともあまりありませんでした。しかし、娘にとって自ら外に出て五感で感じる機会が少ないせいか、テレビやタブレットで見たことを自分の体験のように話すようになっていることに気付き、仕事を休まず旅に出る「ワーケション」を取り入れるようになりました。https://kurashigoto.me/interview/P8x4O
フリーランスといえば仕事獲得がするのが大変という印象ですが、どのように営業されているのですか?
実は、私は人と会って話すのがとても苦手で過度に緊張してしまい、できれば営業はしたくないのが本音なんです。とは言え、独立当初は案件も少なく、フリーランスとして「稼げる」にはほど遠く、危機感を感じていました。
そこで、「特技、プレゼン資料作成」を活かして自身の営業資料を作成し営業活動をしたところ、「興味、共感」を持ってもらうことが多く新規案件獲得に繋がったのです。現在は私自身が営業活動することはなく、プロの営業さんに「営業資料」を託して案件獲得をお任せしています。
■得意を活かして「戦略的」営業資料作成講座を開催。
http://www.g-quartet.jp/posts/4804215
フリーランスチームで案件にコミットを始めたきっかけを教えてください。
独立した初期の頃は、リサーチ業務の全工程を自分一人で作業していましたが、一人で請け負える本数には限度があり「このままでは生き残るのは難しい」と、差別化の必要性を痛感したのです。
それならば、様々な経歴を持つメンバーと分業し、私が「クオリティコントローラー」という立場で最終的な責任を持つことをクライアントに提案してみると意外にもOKだったのです。会社員時代はマネジメント職にはついていませんでしたが、フリーランスでもマネジメント職で働けるということに実践してみて気がつきました。
フリーランスチームをマネジメントをする上で意識していることはありますか?
アサインの際には21名のメンバーのバックグラウンドを考慮したり、各々稼働できる時間帯も異なるので配慮するように心がけています。
チームには、5年以上ブランクのある元専業主婦や闘病や介護をしながら働いているメンバー、女性だけではなく男性メンバーもいて正社員やパートの本業がありながらスキルアップのための複業で働くメンバーもいます。また8名は海外在住経験者、現時点の海外在住者も4名います。
色んな事情や価値観があることを尊重して、個々の得意を活かしてチームとして助け合っていけるのがチームの強みだなと感じています。
働き方として注目のリモートワークですが、成功の秘訣を教えてください!
リモートワークは「する側」だけが向いていても成立しないと思っています。「リモートワークをさせる側」のディレクション能力も高くないと結局余計な工数がかかってお互いストレスに。
そのための工夫として、最初の導入ではオンライン会議を活用したり、チャットツールで進捗確認の際には不明点や心配事を聞くようにしています。リモートだからこそこまめなコミュニケーションを心がけています。
今後の目標やプランを教えて下さい!
幸いパソコンさえあれば完全リモートワークが可能な職種なので「世界のどこにいても働き続けられる」をさらに浸透させたいです。また、働く意欲があってもフルコミットできない事情があるママに活躍してもらえる仕組みを構築していきながら同時に、企業には「リサーチフリーランスチームの活用」を提案していきたいと考えています。
最後に、メッセージをお願いします。
ワーママになって周りに助けてもらうことが増えました。逆に、私が得意で役に立てることも分かってきました。自分の「できない・苦手」を認めて得意な人にお任せし、その分「自分の得意で人の役に立つこと」に集中できるのはとても楽です。
もし今、思うような働き方ができなくて変わりたくても一歩踏み出すことができない人がいれば、グローバル・カルテットでは「一歩踏み出せる」環境があります。先ずは小さくひっそりと始めてみてはいかがでしょうか。一人ではとても勇気のいることや、くじけそうなことも、仲間がいると全然違います。ひとつ山を越えると景色が全然違いますよ!
インタビューby 岡村紘子