今回ご紹介するのは、大手製造業にて人事職として活躍する大谷万里子さん。復帰後から”女性活躍推進”というテーマに取り組まれています。製造業ということもあり、正社員に占める女性割合は1割程度。全くゼロからのスタートだったようですが、次々に新たな両立支援制度の導入や組織内の風土改革を実現されています。
当事者である自分自身が”女性活躍”というテーマに取り組む中で、大きな気付きがあったそうで、それが今の大谷さんの仕事のスタンスに活かされています。
とにかく仕事に対しての姿勢が真摯且つ前向き。常に「自分に何ができるか」を考え、情報をキャッチアップし、行動される大谷さん。
それでいて、がつがつした雰囲気はまるでなく、周りの話にいつも耳を傾けてくれ、楽しい時には大声で笑ってくれる明るく素敵な方です。
ワーママとして仕事とどう向き合うのか、そんなヒントが詰まったインタビューです。
プロフィール
・氏名:大谷万里子
・会社名:製造業
・職種:人事
・簡単な経歴:新卒で現在の会社に入社し、人事部に配属。産休・育休を経て、2013年に職場復帰。
・居住地:大阪府
・年齢:31歳
・子どもの年齢:3歳
・ワークスタイル:正社員・フルタイム
現在のお仕事の内容を簡単に教えてください。
中長期的な全社課題に対して、「人」の側面からどう課題解決していくかを検討し、具体策を企画・立案する仕事をしています。2014年度のメインテーマは「女性活躍推進」。新たな両立支援制度を導入するなど、様々な施策を展開しています。
平日1日のスケジュールを簡単に教えてください。
5:30 起床。洗濯、晩御飯の下ごしらえ、朝食作り、身支度。
7:00~7:30 家を出る(保育園の送りは主人が担当
8:00~8:30 出社
17:00~17:30 退社
18:30 お迎え
19:00 帰宅・晩御飯準備
19:30 夕食
20:30 お風呂
21:30 就寝(一緒に就寝)
フレックス制度を活用して、早く出社した日は早く帰宅する等、メリハリのある勤務ができています。また週1回在宅で勤務できる制度が導入されたので、上手く活用していきたいと思います。
出産して、ご自身の内面で何が一番変わりましたか?
些細なことにも幸せを感じるようになりました。例えば、毎日仕事に行けること、休日に少し朝寝坊できること、夜ゆっくりテレビを見られること。出産後はそうした“今まで当たり前だったこと”が自由に出来なくなり、とても戸惑いました。特に産後3ヵ月間は外出もままならない生活で、ベランダで「外に行きたい…」とつぶやいたことも(笑)。ただこうした時期があったからこそ、仕事も育児も両方できる今の生活を前向きに楽しむことができていると思います。
ご主人との家事・育児の分担はどうされていますか?
「朝は主人・夜は私」という分担になっていて、平日の育児・家事の割合は、私:主人=7:3くらいです。主人は家事(料理以外)と育児に積極的に取り組んでくれるのでとても頼りにしているものの、仕事の繁閑の差が大きく、思ったように分担できないことの方が多いです。ただ最低限娘を保育園に送ることはしてくれるので、私の仕事がどうしても就業時間内に終わらなかった時は翌朝早く出社して片付けることができています。調整可能な時間があることで心の余裕が違ってくるので、朝送ってくれていることは本当に助かっています。
ワーママとして育児&仕事をしていて良かった!と思うhappyなエピソードを教えて下さい。
体力的にきついこともありますが、今の生活は日々変化があり、楽しくてhappyです。
仕事をしていて良かったと思うのは、母ではなく、一社会人として成長できる場があること。仕事というフィールドの中で日々奮闘する中で、“自分の人生を生きている”実感を得られている気がします。今の私にとっては、仕事をしている時間が自分の時間。仕事をしているからこそ、育児も楽しめていると思っています。
育児をしていてよかったのは、家族に笑顔が増えたこと。娘は3歳になり、毎日保育園で色々なことを覚えてきます。今は“おなら”がブームで、毎日「ぷぅぷぅ」と言っています。家族で笑う時間が私にとって何よりのエネルギーになっていて、仕事と育児の好循環を生み出してくれています。
女性活躍推進の取組みについて教えて下さい。
捉経営戦略の1つである「多様な人材の活躍」を推進すべく、その第一歩として“女性活躍ワーキンググループ”を2013年に部内有志メンバーで発足させました。製造業ということもあり、正社員に占める女性割合は1割程度。全くゼロからのスタートでしたが、2年後の2015年度には新たな両立支援制度を導入し、均等推進・風土改革のための諸施策を展開するに至りました。
取組みの中でどんな気付きがありましたか?
取組みを始める前は「やっぱり育児が大事」と思っていたところがあり、仕事に対する姿勢に甘さがありました。しかし、企業側の視点で女性活躍推進を考えることで、私の意識はがらりと変わりました。
企業が女性活躍推進に取組む目的は福利厚生ではなく、女性の能力発揮を支援することにあります。雇われて毎月給料をもらっている者として、まず職務を果たすことが最優先。当たり前のことですが、育児に追われていると仕事を軸に考えることを忘れがちだと思います。職務を果たすために今自分に何が出来るかを考え、何らかの制約があるのならそれを最小限にする努力をすること。そうした姿勢なしに周囲の理解は得られないし、自分自身キャリアアップしていけないということに気付かされました。
仕事と育児の両立で大変なことはありますか?
「両立が大変!」と感じることはあまりないですが、あえて言うのであれば、「生活のリズムがなかなか定まらないこと」です。仕事も育児も変化するものなので、同じスケジュールで動ける日は殆どありません。復帰して2年。そろそろ仕事の繁閑や子どもの成長段階によって上手くバランスを取っていきたいのですが、未だに試行錯誤しています。でも正解があることではないので、時間をかけて“自分なりのバランスポイント”を見つければいいと思っています。
育児&仕事、それぞれで一番大事にしていることは?
・仕事-何事も前向きに捉えること。「物事は捉え方次第」と上司によく言われています。
・育児-子どもと一緒に楽しむこと。子どもと遊ぶ時は、私も思いっきり楽しむようにしています。
これからの目標を教えて下さい。
・仕事-女性に限らず、多様な人材が自分の能力を最大限に発揮して活躍できる制度や風土を作っていくこと。個人的にはリーダーに必要なマインド強化・能力開発をしていくこと。
・育児-どんな時も子どもの気持ちも受け止めていくこと。
最後に、サイトをご覧の皆様にメッセージをお願いします!
女性が少ない企業だと「ロールモデルがいない」という話をよく聞きますが、外の世界に目を向けると頑張っている同世代の女性達が沢山います。業種業態は違っても、「仕事と育児の両方を楽しみたいし、両方頑張りたい」という思いを持つ仲間がいることはとても心強いし刺激になります。私はパワーママの集まり等を通じてこうした繋がりが広がったので、仕事と育児の両立で余裕がない時こそ、積極的に外に出て欲しいと思います。
インタビュー by 井本七瀬