今回のパワーママは、『これからは、生き方が働き方になっていく』の著者の鈴木絵里子さん。
本業では2つの会社でベンチャー投資に携わり、プライベートでは2人のお子さんのママ。海外で育ち、外資系企業に勤めた経験もある鈴木さんが現在の働き方に至った理由や子育てについて、これからの時代を楽しく生きるヒントを伺いました。
プロフィール
・氏名:鈴木絵里子
・会社名:ミスルトウ株式会社
・役職名:投資ディレクター
および
・会社名:フレスコ・キャピタル
・役職名:パートナー
・職種:ベンチャー投資
・簡単な経歴:4歳の頃からアメリカや中東含めた海外で暮らし、カナダのマギル大学を卒業。経済学、国際開発学、数学を専攻。
2008年より外資系の投資銀行部門に勤務。その間2児を授かる。
2013年よりラグジュアリーブランドCOACHで財務企画を担当。
2015年より米国のドローンベンチャーの日本法人立ち上げに携わり日本代表に。
2016年より社会的インパクトベンチャー投資を行うミスルトウ株式会社にて投資部ディレクターを務める。
2018年よりフレスコ・キャピタルのパートナーも兼務。
多様性が活かされる世界を広げたいとfuture female+としても活動し、『これからは、生き方が働き方になっていく』(大和書房)を出版。
・居住地:東京
・ご自身の年齢 :30歳(1986年生まれ)
・お子様の年齢 :6歳(息子)、3歳(娘)
現在のお仕事の内容、ワークスタイルを簡単に教えてください。
海外で育ち、貧富の差などを目の当たりにしたこともあり、ずっと国際開発に携わりたいと思ってきました。今は、社会的インパクトベンチャー投資を大胆にやれているのでとても幸せです。
社会的インパクト投資とは、例えば、インドの農業スタートアップに投資をするために現地に出向いてデューデリジェンス(調査)を行ったり、シリコンバレー発アフリカで活躍する医療機器輸送ドローンスタートアップなどの投資先の事業開発のお手伝いなどをしたりです。全世界に共通する社会課題を最新のテクノロジーを駆使して何とか解決していけないか、と現場の方と仲間と考えるのは、とても刺激的です。
また、私の場合、ミスルトウとフレスコと言う二つのベンチャーキャピタル双方にコンサルティングする形で投資活動を行なっています。「複」業の複雑さはあるものの、一つ以上ののコミュニティに所属する利点を大いに楽しんでいます。一方が上手くいかなくなってしまった時のセーフティネットになると感じ、学びも倍増したり。
何にしても、既存の働き方の枠組みを前提とした、既存の募集がかかっている職種からは今の私の働き方には絶対に辿り着けなかったと思っています。
自分が望む生き方を主軸に考えるようにした上で、やりたい仕事を探し、仕事の方を少しずつ、前向きに、生き方に合わせていくようにしてきたイメージです。トライアンドエラーで失敗も繰り返してきましたが、今、テクノロジーの発展などもあり、世の中の転換期にあると思うので、働き方についても考え込んでしまうよりかはアクションを取ったもん勝ちだと、私は思っています。
具体的なワークスタイルについては、例えば、自分のパフォーマンスを最適化するためや家族の事情に合わせながら、リモートで仕事をしたり、比較的柔軟に休暇を調整させてもらったり。その分しっかりバリューを出さなくては、と必死ですが、見苦しくても一生懸命体当たりする方が私は楽しい!と感じています。
また、自分のパフォーマンスを上げると言う意味でも、「好き」で楽しめる仕事内容に取り組むだけでなく、一緒に仕事をするメンバーについても「好き」と思える方達とできるように意識しています。短い人生、自分が尊敬できたり、安心できたりする方と一緒の方が良いですよね。
大企業などではそんなのは難しい、と思われるかもしれませんが、少しずつ、試してみられてはどうか、と私は思っています!
平日1日のスケジュールを簡単に教えてください。
5AM :起床 メールチェックをして、一日について頭を整理。15分くらいSNSを見てしまうこともあり、「あぁ゛、、また時間を無駄にしてしまったー」と後悔することも。6AM :子供達起床 朝ごはん準備の他、宿題を確認し、ピアノの練習も監視したり。7AM :自分の準備 余裕がある時は時短ヨガを実行し、気持ちを整理。
8AM :出勤 オフィスだけでなく、ミーティング先の近くのカフェなどに出向くことが多い。(今、海外では沢山のとてもお洒落で躍動感溢れるcoworking spaceができていて、女性向けのものなどもあります。環境は大事なので、日本でも増えて欲しいと思っています)
9AM – 17PM :仕事 自分で裁量権持って、日中の時間は使っています。例えば、必要ならクリニックに行って気になっていた症状を診てもらったり、子供達の学校の行事に2時間顔を出せたり、ちょっとした買い出しに行くこともあります。
18PM:子供達の迎え 帰宅。猛ダッシュで晩御飯を用意し、子供達に食べさせ、お風呂にも入れる。
20PM:本を読み聞かせて寝かしつけ 自分が寝落ちしてしまうことは、あるある。
20PM – 0AM :仕事のキャッチアップ 夫が帰宅した時には30分程、会話をする。くだらないテレビでも一緒に見るのもコミュニケーションの一つ。
出産して、何が一番変わりましたか?
子供の模範になるために自分もしっかりしよう、と、少しずつですがましな人間に成長できている気がします。
また、子供達のためなら、と体力的・精神的な力が漲るのも面白いですね。火事場の馬鹿力のような緊張・頑張りが7年続いている感じでしょうか。もともと運動音痴で体力に自信はなかったんですが、子供を産んでから数十キロのものは幾らでも持てるようになり、今では職場のウォーターサーバーの交換担当は私です。
でも、何よりも、子供達のおかげで、自分のことを社会の一員としてより感じることができるようになりました。子育ては一人ではできない、とつくづく思います。両親や友人やシッターさんやご近所さん、など色々の方のおかげ、コミュニティのおかげで子育てはできている。そのコミュニティへの恩返しにも、この社会が良くなるように自分もできることないか、と益々考えるようになりました。
ワーママとして育児&仕事をしていて良かった~!と思うHappyなエピソードを教えてください。
仕事を終えて帰宅して過ごす最初の2分間は、いつも世界一最高ですね!!!
満面の笑顔で駆け寄ってくれる子供達を抱きしめると、どんな大変なことでも乗り越えられると思えちゃいます。でも、そう思えるのもそのマジック2分間だけで、すぐさま兄妹喧嘩が勃発したり、お腹が空いたと騒ぎ出し、またカオス対応に戻ります。。笑
育児&仕事をしていて大変なことはありましたか?それは何ですか?
育児は答えがなく、一人一人の子供や各家庭で違う中、これで良いのか?と悩むこともありますが、自分の子供達への愛情に自信を持って、何とかなる、と前向きに考えるようにしてます。
また、もちろん子供達や家族にイライラを感じたりすることもありますが、そんな時は、自分自身が仕事や他のことで戸惑っている知らせだ、と捉えて、一歩引いて見てみるようにしてます。なので、子供達は人生がうまくいってるかのバロメーターにもなってくれています。
そんな中。育児と仕事を両方行う中一番大変なのは、1日24時間と言う万人に共通して限られた時間の中で色々なことをこなしていくことだと思います。
でも、自分の幸せを軸に考え、前向きに、断捨離もしながら、自分の時間を自分でコントロールする意識をもつようにしています。固定観念に振り回されるのではなく、自分で考え、自分で選ぶオーナーシップの気持ちがあるのとそうじゃないのとは、随分違うと思っています。
それをどうやって解決していますか?
上記に加えて、私にとって大事なのは、仲間・コミュニティとの関係です。
忙しさの話を打ち明けたり、他イライラやモヤモヤについては、同じ悩みを持ってる人がいることを知るだけで、気持ちが救われることもありますし、具体的な解決策を見いだせることもあります。
そんな大切なコミュニティを探すには、自分をさらけ出してみて、そして同時に自分のカン・勘・感性を大切にしながら、素直に「好き、素敵、尊敬できる」と思う人と付き合っていくことだと思っています。また、コミュニティは自由につながっていくものであって縛られるものではないので、自分のライフステージに合わせて離れたり距離を置くことなども大事だと思っています。「お付き合いしなくてはいけない人はいない」と余裕を持ったスタンスで望むと、不思議なことに良いコミュニティを見つけられたりすることがあります。
育児と仕事、それぞれで一番大事にしていることは?
親としては、愛情をしっかりと表現し、子供の自尊心・自己肯定感を高めることに注力しています。自己肯定感があれば、どんなことにでも挑戦できるようになるのではないか、と思っているからです。もう一つ、子供達には最低限、礼儀や他者への思いやりや共感は身につけて欲しいと願い、そこについては厳しめに向き合っています。
仕事においては、自分にしかできないことがあるとしたら?自分でしかできないやり方は何だろう?と問うようにしています。
子育てにおいては、有難いことに、自分は代替が効かないと思えてます。そのお陰で毎日頑張れてます。同じように、仕事においても小さなことでも定性的なことでも良いので代替が効かないことができている、と思えることに取り組むようにしています。
「自分はなくてはならない存在だ」と思うのとは違い、せっかくやるなら、どう工夫しようか、どう楽しもうか、と、真っ新な状態で考えてみる感じです。特に人口知能、ロボットの発達を受けて、職種が大きく変わっていく転換期でもありますし、そんな視点は大事かな、と思っています。
ただ、繰り返しになりますが、大それたことではなく、例えば接客業であれば、「自分はいつもの常連顧客の方のAさんを笑わせられている。それが自分の持ち味かもしれない」と言う思いだと私は考えています。人から喜んでもらえた時には、やり甲斐も感じられますし。
ご家族との家事育児分担、アウトソース利用等はどのようにされていますか?
自分だけにしかできないことの話の延長としても、自分独自の愛情表現に繋がらない家事・育児はできるものはどんどんアウトソースしよう、と考えるタイプです。
私は食べるのが大好きなので料理もその延長と捉えて大好きです。子供達と一緒にキャラ弁当を作って遊ぶことも多い。一方で、掃除などについては私は「自分だけ」さは発揮できないので、週1回外部の方の力をお借りしています。
夫との分担においては、お互いできることをやるようにし、ストレートに依頼しあったり、お互い、やってみないと分からないこともあるので、色々試すようにしています。
ご自身が受けた教育は、お子様の教育方針に影響与えていますか?
礼儀や他人への思いやりについてはとても影響を受けていると思い、両親には感謝しています。でも、私は複数の国で育ったので、色々な価値観や習慣も見てきました。ですので、教育についても「正解」などはないのだな、と柔軟に捉えて、色々な手法を取り入れています。
ワークとライフの理想的なバランスを教えてください。
バランスではなく、自分の幸せで楽しい生き方・ライフを主軸に、仕事であろうと、家族であろうと、交友関係であろうと、織り込んでいく、作り上げていく、ように私は捉えています。
人は働くために生きているわけではないので、人間らしい生き方こそが自然ですし、理想ですね。
また、人は多面的だという認識も大事だと思います。色々な面に合わせてコミュニティにつながり、お互いに影響しあって、成長などもしていけます。
何でも完璧にしようと思ったり、いつもいつも「成長、前進」と考えるのは大変なので、最後は笑えれば良し、と思うようにしています。子育てについての素敵なキラキラしたブログをフォローして参考にしてみるのも良いですが、面白くて笑える子育ての話にどんどん触れられる、パワーママプロジェクトなどがとっても元気が出ます!
もちろん笑えない時もありますが、そんな時は、しっかり休んで自分の時間を少しでも取るようにしています。お笑い番組を見たり、友人と話したり、美味しいご飯を食べて、寝て、カフェに行ってみたり、と。そんなセルフケアも大事にしてます。
こんな緩い、笑える、セルフケアをしあうママ仲間がもっと増えたらいいな、と日々思ってます。
著書についても伺えますか?今回、本を書いてみようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?タイトルに大変惹きつけられるのですが、「これからは、生き方が働き方になっていく」という言葉に込めた思いについても教えてください!
本を書こうと思ったのは、しつこくお話ししてしまっているのですが、未来を作ろうと思う方達の「コミュニティ」を広げたい、と思ったためです。 特に女性にもそんな選択肢・考え方があるんだ、と知って頂きたかった。女性こそ凄く面白いチャンスの時期にあると思っているためです。 こんな私ですが、現在進行形の生き方働き方の模索を包み隠さずさらけ出して、自分の多面な要素も立体的に包括的にお伝えさせて頂きたく、そのためには媒体として「本」が最適だと考えました。
『これからは、生き方が働き方になっていく』のタイトルについては、敏腕編集者が付けてくださったのですが、これからは人間らしく生きよう、と言う想いが込められています。 仕事をする上でもこれからは人間らしさも重要ですが、母親も、一人の人、ですので、人間らしく、楽しんだり、笑ったり、泣いたりもありますね!
今後の目標やプランを教えて下さい!
今は、とても楽しく、充実した日々を送らせてもらっていて、今後も仕事においては微力ながら社会的に意義ある投資活動をしていければと思っています。
特に、テーマとしては女性のコミュニティの促進であったり、私の中では関連するのですが、既存の経済のありかたではない、新しい仕組みを考案したりしていく活動にワクワクしています。
ただ、あまり綿密な目標やプランは立てていません。大きな方向性だけを意識しながら、後は流れやご縁に身をまかせつつ、その瞬間瞬間を精一杯にやって行きたい、と思います。
最後に、メッセージをお願いします。
コミュニティや仲間を大切に思う私ですが、パワーママプロジェクトこそもとても楽しく素敵なコミュニティ。本当に存在に感謝しています。ありがとうございます!
このようなコミュニティがどんどん大きくなったり、増えたりすれば良いですね。
また、このようなコミュニティがあるお陰で、「ロールモデル」も、必要なくなっているな、と思えています。
時代の大きな転換期にもあるので過去の成功要因が今後そのまま通用するとも限らず、「完璧なロールモデル」を探すこと自体難しい。男性がロールモデルを意識している話もあまり聞かないですが、男性は、 自分たちが多面的で、画一的なものがないことを知っているからでしょうか。
存在しないような一人の完璧なロールモデルを探すのではなく、仕事の仕方や生き方など、それぞれの面において共感できるコミュニティを見つけて、そこの仲間と成長しあえるように、私はしています。ですので、今回インタビュー頂いていることも恐れ多いのですが、私の話も、少しでも参考になるところがあれば嬉しいです。
インタビュー:柴田広夢