今回ご紹介するのは、鉄道会社のWebサイトのコンテンツ制作や予約システムのインターフェイスの設計・ディレクションをされている小澤美里さん。小澤さんは、元上司と共同設立した会社が育休中に倒産したため、現在の職場に転職。転職から2年という短い期間で、様々なプロジェクトに参加され、ママ社員の職場環境について提言をされ、管理職にも昇進されました。仕事、家事、育児は、その時々で優先順位が変わりますが、すべての時間について可能な限りフラットに考え、できることからこなしていく!という、小澤さんらしいパワー溢れるインタビューです。
プロフィール
・氏名:小澤 美里
・会社名:株式会社ルート・シー( https://www.root-sea.co.jp/ )
・役職名:専任部 企画制作チーム リーダー
・職種:ディレクター
・簡単な経歴:制作会社のデザイナー、ディレクターを経て2006年に前職の上司と起業。 育児休業中に会社が倒産。その後、2013年より現在のルート・シーに転職。
・居住地: 大阪
・ご自身の年齢: 36歳
・お子様の年齢: 4歳
・ワークスタイル(フルタイム/時短):フルタイム
平日1日のスケジュールを簡単に教えてください。
5:45 起床
6:00 朝食づくり、自分の身支度
7:00 家族起床、朝食
8:00 保育園へ見送り
9:00 出社(日によってはお客様先に直行)
18:00 退社
19:00 保育園にお迎え
19:30 帰宅、夕食作り
20:30 夕食、子どもと入浴
22:00 寝かしつけ(場合によっては子どもと寝落ち)
22:30 家事
23:30 仕事など
25:00 就寝
現在のお仕事の内容を簡単に教えてください。
大手鉄道会社様のWebサイトのコンテンツ制作ディレクション、予約システムのインターフェイスの設計・ディレクションをしています。
小澤さんの会社では、様々な社内プロジェクトが立ち上がっているようですが、どのようなプロジェクトに参加されていますか?
会社のこれからを現場視点で考え発展を推し進めていく戦略委員会と広報、つい先日解散したママパパサポートプロジェクトという3つの社内プロジェクトに取り組んできました。
ママパパサポートプロジェクトについては、役員への提言をゴールに社内のママ、パパを中心に約3ヶ月間限定で組まれました。
このプロジェクトは、女性社員の半数近くを占めるほどママ社員が増えてきて、ママ達の働き方について課題が見えつつある中、ダイバーシティ対策という目線も加わり、事業推進室から立ち上げを打診していただいたのがきっかけです。
大阪本社・東京支社のママ、パパ社員と未来のママ、パパ総勢12名で、自宅勤務やフレックス勤務、勤務時間に左右されない人事評価など濃厚な議論を重ね、役員層への提言をまとめました。
その結果、インフラの整備などが伴うものはすぐには難しいものの、時短勤務期間の延長(3歳→小学校1年生)や残業時のベビーシッター費用補助、育休復帰前後の面談制度化などが今期より実施されることとなりました。
ひとことで「ワーママ」と言っても理想とする育児・仕事のバランスは人それぞれであり、またママに限らずともライフワークバランスの捉え方は多様です。
ママ社員が置かれている状況は課題の多いものですが、ママ以外の社員以上の優遇を要求したい訳ではありません。
不平等感なく皆が気持ち良く働くことができ、会社としても継続可能な形を作るためにどのような提言が妥当なのか、短期間ではありましたが本音をぶつけながら濃い議論ができたと考えています。
今回のプロジェクトでは、会社側にも前向きに検討していただけて本当にありがたいと感じています。
また今回の収穫はプロジェクトを通して社内にママ、パパのコミュニティが生まれたことだと思います。
そして、チームメンバーのママ達のパワーがすごかった! 皆さん忙しい中で、オンライン上で夜中にどんどん提案を書き込んだり、業務の合間を縫って共有の提言書を一気に作り上げました。(ママデザイナーさんが資料のまとめをしてくださったので、見た目の訴求効果もバッチリでした!)
今後も継続的にこの取り組みが社内で運用されていくよう、協力をしていきたいと考えています。
出産して、ご自身の内面で何が一番変わりましたか?
出産後の変化としては2点あり、目に見えない事情を慮るようになったことと、時間の質を求めるようになったことがあります。
まず一つ目について、これまではどうしても目の前の状況だけで人を評価していた所があったように思いますが、自分が人(職場やお客様)に見えない所で育児・家事を担うようになって、事情はあるけれど主張できるものではないもどかしさを感じているからこそ、目に見えない所でほかの方が抱えている背景に意識がいくようになりました。
次に時間の質についてですが、限られた時間でより収穫が多くなるように、会議の参加前にアジェンダに対して何らか意見を持つ・下調べをするなど手ぶらでは参加しないようにして、シビアになったと思います。
育休中に共同設立した会社が倒産し、転職→昇進と、かなりドラマチックな経験をされていらっしゃいますが、管理職になることを決意した理由や、管理職に向けて準備されたことなどを教えてください
過去に会社経営に携わって夢半ばに終わった経験から、リベンジしたい思いがあり、経営にコミットするには管理職にならないと、と思っていました。
また出産後の転職で、『時間的な制限のある人間を採用していただいた』というありがたさが会社に対してありました。そのなかで社内やお客様に対して、どうしたら最大の価値を提供できるのだろうかと常に意識していました。
時間に制限があるので、ひとつひとつの作業に集中するというよりは業務全般や案件を俯瞰して見る方が個人的には価値を提供しやすく、それがマネジメントと結びついたのかもしれません。
ご主人との家事・育児の分担はどうされていますか?
朝の保育園のお迎えは週の半分ずつ、週に3日は寝かしつけができるくらいの時間に帰って来てもらう、週の1日はめいっぱい仕事をさせてもらうなどの形で分担をしています。
「ママとして、日々の業務や社内プロジェクト、外部の勉強会への積極的な参加など”取り組む姿勢”に非常に刺激を受けることが多い」とMOPを受賞されたそうですが、時間管理術を教えてください!
当社にはM.O.P.(モットモオモロイパーソン)という制度があり、当社コンセプトである「モットオモロク」を体現したメンバーを月次、四半期の両方で選出する取り組みをしており、前期末に受賞をすることができました。
業務、社内プロジェクト、育児、家事など、その時々に優先順位は変わりますが、すべての時間について可能な限りフラットに考えるようにしています。
目の前の育児・家事と業務だけでは自分の10年後、20年後が先細りになってしまいますから…。
「時間の管理」と言える程のものができているのかはわかりませんが、ワークショップや勉強会の予定も、家庭の行事と同じレベル感でできるだけ先に入れて、その前後で家事はなんとか埋め合わせをしているイメージです(笑)
とはいえ、家族の健康を守るのも大事なことなので、週末にまとめて1週間分の常備菜を作ったり細かな下ごしらえをしておいたりと、なんとかやりくりしています。
ワーママとして育児&仕事をしていて良かった~!と思うhappyなエピソードを教えてください!
お客様が鉄道会社のため、娘が鉄道好きに育っていたり、私のヒールを履いて「しごといくねんー」と言っている姿を見ると、母としての部分だけではなく、働く姿も肯定してくれているのかなと嬉しくなります。
育児&仕事をしていて大変なことありますか?それは何ですか?それをどうやって解決していますか?
仕事と育児・家事の調整がうまく行かず、どちらかを諦めざるを得ない時に割り切れない気持ちを感じる時もあります。
そういう時は「仕事人として、母として、妻として、こんなに需要がある時期なんて人生にそうそうない!私ってなんて幸せ者!」とポジティブにリフレーミングしています(笑)
育児と仕事、それぞれで一番大事にしていることは?
育児…子ども扱いせず、別人格として尊重する
仕事…多様な見方でベストを考える
これからの目標を教えてください。
自分の成長にも常に目を光らせていようと思いますが、家庭、会社やチームなど、子ども含めまわりのメンバーが成長できる場作りにも貢献していきたいと考えています。
最後に、サイトを覧の皆様にメッセージをお願いします!
ワーママの皆さま…
毎日、仕事に家事に育児に、本当にお疲れさまです!
職場ではひょっとしたらマイノリティかもしれませんが、皆さんの熱量を集めたらとても大きなパワーになるはず!
情報交換などしながら、この難局を乗り切って行きましょ!
ワーママ周辺の皆さま…
今日この記事をご覧いただき、少しでもワーママの実態をお感じいただければ大変嬉しく思います。
ワークライフバランスの捉え方はワーママそれぞれだとは思いますが、
みな真摯に日々に向き合っていらっしゃると思いますので、応援していただけると幸いです。
インタビュー by 安原 愛