今回紹介するのは、税理士の土屋あゆみさん。ご夫婦で税理士事務所を経営されています。
以前は会計事務所にお勤めで、その時に2人のお子さんを出産、育休取得を経験されました。お勤め時代には、前例がないということもありワーママとして周囲の理解を得るためにいろいろ苦労したそうです。自分にも家族にもベストな方法で仕事を続けるために、ご主人の税理士事務所で働くことを決断。
ご本人は当初、夫婦が職場でも家庭でもと、日夜顔を合わせることを懸念していたそうですが、今ではお子さんに合わせて時間のやりくりをしたり、お子さんを職場に連れて行くこともあったりと、家族が協力して働く現在の仕事のスタイルができています。
お子さんをきっかけに家族が面白いチームになったと笑顔で話すあゆみさん。お勤め時代の大変なご経験も含め、子育てと仕事について伺いました。
ご自身について教えてください。
・氏名:土屋あゆみ
・会社名:土屋税理士事務所 http://www.tkcnf.com/tsuchiya
・職種:税理士
・簡単な経歴:早稲田大学政治経済学部卒業→資産税専門の会計事務所に15年勤務(この間働きながら税理士資格取得・2人の子供を出産)→現在は渋谷区で主人と税理士事務所を開業
・居住地:東京都内
・ご自身の年齢:44才
・お子様の年齢:長男10才(2004年生まれ)、長女6才(2008年生まれ)
・ワークスタイル:フルタイム
現在のお仕事の内容を簡単に教えてください。
顧問先訪問、相談会の開催、事務所内での申告書作成、顧問先企業からの不動産売買についての電話相談、スタッフの指導など
平日1日のスケジュールを簡単に教えてください。
7:00 起床→朝食準備
7:30 子供起床
8:00 子供学校へ
8:30 自転車で出社
8:50 仕事開始
17:30 退社
18:00 帰宅・夕飯準備
18:30 夕食
20:00 子供とお風呂・宿題などの確認
21:00 子供就寝(寝かしつけ)・片づけなどの家事
23:00 就寝
(繁忙期は、私の母に泊まり込んでもらって子供の世話をお願いし、休日も返上して夫婦で何時まででも働きます。)
出産して、ご自身の内面では何が一番変わりましたか?1人目出産後、2人目で変化したことなどもあれば教えてください。
子供が産まれてからは、忙しい毎日の中にも楽しい事、笑える事が多くて、子供からもママ大好き!といってもらえるので、最高にハッピ-です。夫婦2人だけの単調な生活から、子供が産まれて、家族が増えて、おもしろいチームができたというか、子供の成長とともに、子供が主張を持ったり、生意気を言ったりして、ますますおもしろくなってきました。今は、子供を通してもう一度子供時代を体験しているというか、子供と一緒に、私も小学校生活を楽しんでいます。
税理士を目指したのはいつごろだったのでしょうか?お子さんが生まれる前後で働き方は変わりましたか?
税理士について意識したのは高校生のころです。学校の図書室で「教師になるには?」「公務員になるには?」といろいろな職業について書かれた本があって、そのシリ-ズを読破した私が選択したのが税理士でした。
大学卒業後、会計事務所で働きながら夜間に専門学校へ通い、税理士の資格を取得したので、資格を取るまでは仕事と勉強の両立、税理士試験に合格した後は、しばらくは一生懸命働いて返さなくてはと思っていたので、ほぼ仕事と勉強だけの生活でした。私以外の全員が男性という事務所でしたが、税理士という資格のもとに男女の差を感じることなく働いていました。産休・育休を取得したのも、私が初めてだったので、長男の出産後は、少しでも早く職場に復帰したいと気持ちがあせり、空きがあった認証保育園を見つけて半年くらいで復帰しました。復帰した後もみんなと同じように働きたいと考えていました。2人目を出産した後は、その間、子供の病気や様々な経験をしたこともあって、子供がいなかった時と同じ働き方は出来ないのだから、自分の出来ることを一生懸命にやるしかないと考えるようになりました。
今年4月に下のお子さんが小学生に入学したということですが、2人の育児とお仕事の両立についてお聞かせください。「小1の壁」は感じていますか?やはり大変ですか?以前とどんな点が変わりましたか?また何か工夫している点はありますか?
我が家の場合には、この4月から下の子が小学校1年生、上の子が小学校4年生になり、「小1の壁」よりも学童がなくなる「小4の壁」の方を実感しています。その対策として学童がなくなるタイミングで週に2回、学習塾へ通わせ始めました。以前から続けている週2回のスイミングと合わせて平日は週4回習い事で埋めています。誰もいない家へ帰り、塾や水泳に向かう息子に、おかえりの一言とおやつ情報と今日のやるべき事などを書いた手紙を毎日置いて出かけるようにしています。あとは困った時のホットラインとして携帯電話を持たせています。小学校1年生はとても疲れるみたいで、疲れたから今日は学校へ行きたくないと時々ぐずったりすることがあるので、そんな朝は学校の正門前まで送って行きます。子供にとって睡眠は本当に大切ですね。保育園の送迎がなくなった分、30分早く仕事に行って、30分早く帰って、30分早く子供を寝かせるように心がけています。
ご主人との家事・育児の分担はどうされていますか?
家事と育児の分担というと、たぶん主人は7対3くらいで自分も協力していると思っていると思いますが、実際はほとんど95%が私で、5%くらいが主人なんじゃないかなと思います。2人の子供の通算9年間の保育園の送迎も私でしたし、主人は玄関のゴミもまたいで出かけていくタイプです。料理が得意なので、たまに家にいるときは子供にチャ-ハンを作ってくれたりはします。でもあまり家にいないので、家事と育児では当てにはならず、戦力外ですね。最近は塾に通い始めた息子の算数の担当に任命しましたが、あまり家にいないのでこちらもイマイチ役目を果たしていませんが、今後に期待しています。
とはいえ、家事と育児と仕事まで合わせて考えたら、半々以上で主人が分担しています。
ご主人と一緒に事務所を経営されていると伺いました。常にご主人が近くにいらっしゃることはワーママを続ける上でメリットになっていますか?
メリット・デメリットどちらもあります。喧嘩をしているときは、最悪です!
でも普段は夫婦で力を合わせて働けることを単純に嬉しいと思っています。
また、子供にとってもよい環境だと思います。主人は1年を通して週末もほぼ仕事なのですが、子供がパパに会いたいと言えば、週末に事務所に連れて行って、事務所の近くでランチをしたり、細切れの時間の中にも家族時間を織り込んだりすることも出来ますし、事務所に出入りしていることで、子供達も仕事というものをなんとなく身近にイメ-ジできているようです。
ワーママとして育児&仕事をしていて良かった~!と思うhappyなエピソードを教えてください!
・育児では・・・仕事をしている後ろ姿を見せられること。子供に教えてあげられることがたくさんあると思えること。
・仕事では・・・繁忙期の最中で、しんどい時でも、子供の顔を見るとまだまだ頑張れると思えること。世の中には、能力もあって素晴らしい人がたくさんいるけど、仕事と家事と育児と合わせて考えたら、自分もまあまあ頑張っている、よし!と思えます。
育児&仕事をしていて一番大変なことは?
・育児では・・・生後半年で長男を保育園に預けた結果、入園してすぐに水疱瘡に感染してしまいました。水疱瘡がやっと治った後も保育園に1日行っただけで病気をもらってきてしまい、気管支炎で1週間も入院させることになってしまいました。その際に子供を犠牲にしてまで仕事をしていると家族に言われました。子供を病気にしようと思って働いている母親なんかいないと心の中で叫びましたが、仕事を辞める覚悟が出来ていなかったので、口に出すことが出来ませんでした。仕事を辞めない以上は、主人、主人の両親、家族みんなに手伝ってもらうしかなかったからです。この時が1番つらかったです。その後、主人の母がもうこの保育園には預けない方が良いといって、田舎から上京してきて、4月の認可保育園に入園できるまで、数ヶ月の間、我が家に泊まり込んで、子供を預かってくれました。
・仕事では・・・勤務時代に、お酒の席でしたが、私に子供がいることで周りに負担がかかっていると言われたことがありました。実際、育児休暇中の私の担当を他の人に代わってもらっていたので、それは事実であり、少人数の職場なので、その状況がリアルだったので、さすがに堪えました。
それをどうやって解決していますか(していこうとしていますか)?
そのときは言われるままに受け入れるしかなかったです。仕事に穴を開けないように急な病気の時に備えて両親に頼んだり、ベビーシッターを手配したり、スケジュール管理には気を遣いました。そして時の流れというか、子供の成長が少しずつ自然と解決してくれました。いや、このことを根本から解決することができなかったこともあって、子供や家族を優先してほしいという主人の希望を受け入れる形で、長男を出産してから6年後に、結局は、勤務を辞めることになりました。
育児と仕事、それぞれで一番大事にしていることは?
・育児では・・・子供の気持ちを大切にすること。色々な行事に参加して楽しんでもらいたいので、いつもアンテナを張っています。
・仕事では・・・当たり前ですが、ミスをしないこと。
これからの目標を教えてください。
・育児では・・・子供を強くたくましい身体と精神をもった大人に育てること
・仕事では・・・ただ税金を計算するだけでなく、例えば学校で子供達に租税教育を教えたり、成年後見人になって高齢化社会に貢献したり、新しいことにチャレンジしていきたいです。
サイトを覧の皆様(ワーママ仲間)にメッセージをお願いします!
いま、仕事と育児の両立に悩んでいたとしても、仕事は絶対にあきらめないでもらいたいです。どうしようもないと思うような状況でも、なんとか耐えて忍んでいれば、子供の成長は早いですし、必ず状況は変わります。辞めてしまってから、もう一度始めるのは、しがみついているよりずっと大変です。
そして子供の成長を楽しみながら、一緒に頑張っていきましょう。
インタビューby 柴田広夢