今回ご紹介するパワーママは、学生出産のワーママ歴15年!パルコグループのダイバーシティ推進委員、新規事業責任者などで活躍されている吉本さん。
お子さんが大きくなった今だからこそ言える、育児と仕事の両立にプラスし、自分が理想とするキャリアアップも実現していくために意識してきたこと、そしてこれからの挑戦について語って頂きました!
プロフィール
・氏名:吉本明加
・会社名:株式会社パルコ・シティ (http://www.parco-city.co.jp/product/recruit/)
・役職名:HR事業責任者
・簡単な経歴
早稲田大学1年生にて出産、4年間で卒業、学生ママとして就職活動を経て社会人となる。
広告営業などを経験し、転職。社内唯一のワーキングマザーとして秘書や事業企画、WEB制作、営業マネジメントなどを経験した後、通信会社人事職を経て、人事コンサルティング会社のベンチャー立上参画
管理部門責任者と、人材紹介部門責任者を兼任しながら、複数の新規事業立上に従事。
その後、現職HR事業立上、アパレル業界を中心に採用・育成支援を行い、パルコグループのダイバーシティ推進委員を兼務。女性活躍推進の講演なども担当。
累計で、コンサルティング経験は450社以上、キャリア相談は女性を中心に5000人以上の対応実績
ワーキングマザー歴は、約15年
・ご自身の年齢 :37
・お子様の年齢 :高校3年生
現在のお仕事の内容を簡単に教えてください。
株式会社パルコ(http://www.parco.co.jp/)の100%子会社である、株式会社パルコ・シティ(http://www.parco-city.co.jp/product/recruit/)にて、主に、パルコにご出店いただいているアパレル業界の企業を中心に、スタッフの採用や育成を支援しています。
約5年前に立ち上げた新規事業ということもあり、様々な方の意見を伺って、広報戦略や営業戦略を含めた事業戦略をたてております。
展開しているサービス
『ショップスナビ』http://shopsnavi.com/
『スタトル』http://statoru.com/
ほか、人材紹介、適性検査、人事制度設計・運用支援、研修など、企業力を強化するために人事を幅広く支援しています。
また、ワーキングマザーの経験やコンサルティング経験を活かし、主に、女性が活躍しやすい仕組みを整えたり、ワーキングマザー自身の当事者意識の醸成などについて、講演も行っており、内容をこちらにまとめております。
http://shopsnavi.lekumo.biz/shopsnavi/josei-katsuyaku/
また、パルコグループのダイバーシティ推進委員として、定例会議や分科会で、日々意見を出し合いながら、多様な人材が、多様な働き方を通じて、新しい発想を次々と生み出すような企業風土を醸成するよう、パルコグループ4社で具体的な取り組みを進めています。
平日1日のスケジュールを簡単に教えてください。
6:00 起床 自分の支度
7:00 息子起床 朝ご飯
7:30 息子を送り出し、家事(洗濯、掃除、夜ご飯まで準備など)
10:30 出社、メールチェック ミーティング 外出など
19:00 退社
20:30 帰宅後、すぐ夕飯
入浴、息子の学校からの手紙チェック、仕事の情報収集など
00:00 就寝
※帰宅後、家事など「すべきこと」の対応をしなくてもいいように、朝に家事を終えてから出勤し、夜は「すべきこと」に追われないようにしています。
ワーママとして育児&仕事をしていて良かった~!と思うHappyなエピソードを教えてください。
約15年ほどワーママをしていて、ポジティブな性格でもあり、多くのHAPPYエピソードが思いつきますが、最近のことですと、息子が私の仕事への理解が深く、ファッションブランドの求人原稿に感想を言ってくれたり、大学生へアパレル業界の就業講座をするときに「こういうのはどう?」など、仕事における一番のアドバイザーになってもらっていることでしょうか。
息子とは、お風呂や寝ること以外の時間は、たいていリビングで一緒に過ごすようにしていたので、小さいころから私の仕事に関心をもってもらっていました。
息子自身、小さいころから、「働く」とはどういうことか考えたり、私自身が働くことで得たものを間近で見ている環境は、育児&仕事をしていたからこそつくりだせたもので、良かったと感じています。
また、息子が高校生になってから、おいしい料理をたまに作ってくれて、私は絶対作らない(笑)わらび粉から作ったわらび餅が、仕事から帰ってテーブルにあると、幸せです!
母の日は、ロコモコとポトフを作ってくれました!
育児&仕事をしていて大変なことはありましたか?それは何ですか?
キャリアの前倒しをした後、出産する方が多い中、社会人1年目から育児と仕事を両立する必要があり、ワーキングマザーが周りにいないので、どうしたらいいのか全然わからず悩んでいました。
2年目でキャリアアップしたいと、仕事をとにかく頑張れば頑張るほど、育児に時間が割けず、この頃は、多くのことをできるだけ高い「質」で達成しようとすればするほど、うまくいかないと、もがいていましたね。
そういったものを乗り越えたと思って安心していたら、中学受験も大変でした・・・。
塾弁や学校説明会など、正直、ワーキングマザーにとっては難しい仕組みやスケジュールが当たり前でした。
それをどうやって解決していますか?
周囲にワーキングマザーがいないことが10年以上続き、育児&仕事の両立の仕方、キャリアアップの方法については、前例がない分、自分なりの方法や考えを経営層や周りにいる方々がくみ取ってくれ、自分なりの方法を確立してきたことで解決できました。
社会人2年目で悩んでいたとき、経営者や役員が「仕事はパーツごとに代わりになれることはある。でも母親の代わりはいない」「自分をヒット商品にしようとするのではなく、ロングセラーを目指せ!」と何度も言ってくれたことで、長期的なキャリアを考えていくようになりました。
自分のことを応援してくれる人に囲まれ、気にかけていただいたり、積極的に声をかけていただくと、期待にこたえようと、仕事を精一杯こなすしかありませんでした。
解決した具体的な方法としては、他の人に助けていただくことが多くありましたが、助けていただいた以上のお返しを迅速にすることで、関係を良好なものに保つようにしたり、自身の業務の徹底的な断捨離をして、やると決めたことの効率をあげ、自分でなくても構わないこと・今でなくても構わないことは、切り捨てていきました。
切り捨てるものがあったからこそ、大事なものに時間やパワーを割けたり、新しいことに取り組め、結果的に短い時間でも成果につなげることができていると思います。
会社にいるときには、人と関わることや、会社にしか保存できない資料作成などに注力し、属人的にならない仕組み作りを進め、事業全体で効率をあげるように心がけています。
息子が中学受験のときは、お休みを頂戴する機会が増えましたが、自分の仕事を他の人に共有し、マニュアルを残すことをいつも以上に心がけて、他の方に対応いただくことで乗り切りました。
育児と仕事、それぞれで大事にしていることは?
それぞれというより、どちらにおいても大事にしていることが3つあります。
一つ目は、時間に対する意識です。
限られた時間でより多くのリターンが得られるように、この時間に何をするか、それは私でないとできないことなのかを考えてから取り組むようにしています。
仕事をしながら育児をすると、仕事をしていないママに比べ、子どもと過ごす時間は確実に短くなりますが、子どもとのコミュニケーションは、「時間」ではなく「質」で考えました。
育児も仕事も時間は長くあるにこしたことはありませんが、何事かを成し遂げるのに、必ずしも長時間の必要はないので、質や効率を重要視し、どうやって高められるか考えています。
二つ目は、感謝の気持ちを伝えることです。
育児と仕事を両立することは決して一人ではできず、周りの方々に支えてもらって初めて成り立つことがよくわかりました。「おかげさまで」という気持ちを忘れず、感謝の気持ちを伝えて、一人では解決できないことを解決するためのサポート環境を整えることを心がけています。
三つ目は、一往復半のコミュニケーションです。
一往復半とは、自分から相手に発信し、相手の立場でどう思うか考えて、また、自分から発信しています。育児でも仕事でも自分からの一方通行にならないように伝え、自分がコミュニケーションのボールを受け取ったままにしないようにしています。
小1の壁でママの転職を経験し、営業、人事などと職種変更もされたのこと、詳しく伺いたいです!
子どもを育てることは、将来の世の中を豊かにすることにつながるのだから、後に続く人も自分と同じように悩んだり、働き方の選択肢がなく辞めることは避けるべきだと思いました。
そのためにも、今後、出産する女性が、後に続けやすいように道を切り拓いていく必要性を感じ、自分自身が仕事を通じて多くのことを経験しキャリアアップしつつ、フルタイムで残業せず定時に必ず帰ることができる「バランス重視型」の働き方を確立し、育児しながら仕事をする姿を後に続く人に示したいと決意しました。
転職前の営業職から、転職後は、秘書を中心に、WEB制作部立上や、人事、事業企画など兼務し、職種変更も柔軟に受け入れ、いただいた機会を最大限に活かしチャレンジし続けました。
息子が寝た後、新たな職種に必要な知識を勉強し、睡眠が短くなって体力が厳しいと感じることもありましたが、若くして出産した分なんとか乗り切ったり、週末の息子の習い事の時間にビジネススクールで学ぶなど、業務外の時間を、自身の成長のために投資しました。
ベンチャー立上参画、グローバルな事業は、大変ではなかったですか?
息子が小学校中学年になり、私自身も27歳になり、両立やキャリアアップについて考え方や行動が習慣化してきたタイミングで、より一歩踏み出すため、ベンチャーの立上に参画しました。
何もないところから経験がないことばかりを少ない人数でつくっていくことは、難しいことばかりで大変でしたが、視座が高くなり、経営視点を養うことにもつながったと思います。
そして、海外で働くスタッフのためにできることを管理部門の責任者として考えたり、外国籍のスタッフと一緒に働いた経験は、ダイバーシティをさらに踏み込んで考える機会にもつながりました。
現職の新規事業立上のきっかけを教えてください!
時間的な制約のある私と一緒に働いてくれた周りの人へ感謝の気持ちをよりはっきりと伝えていきたいと思うようになり、自分の経験を、組織の中だけでなく、もう少し外側へ、最大の価値提供をしたいと考えるようになりました。
働きたいと願う方に雇用の場を提供し、働きたい方が継続できるよう環境を整えていくこと、また、働く方の意識も変えていくことによって「働く」ことも「プライベート」もバランスよく両立し充実できる方が多くなると思い、企業側と個人両方の支援をすることに決めました。
企業に対しては、スタッフの採用や戦力化に関してコンサルティング活動を行い、個人に対しては、自ら人生選択をし、自分軸をもちながら、 自分らしいスタイルで活躍できるように『アパレル女子会』や『ドリームマップセミナー』などを企画、運営しています。
『アパレル女子会』http://www.parco-city.co.jp/product/recruit/apparel-jyoshikai/
『ドリームマップセミナー』http://www.parco-city.co.jp/product/recruit/dreammap/
今後の目標やプランを教えてください!
世の中にワーキングマザーが増え、両立のための課題抽出や支援策は15年ほど前とは比べ物にならないほど進んでいると思いますが、両立しながらキャリアアップすることは、あまり大きな変化がみられないように感じています。
目の前の育児に追われ、自分の10年後や20年後が描けないワーキングマザーのキャリアプラン作成をしっかりサポートしたり、ワーキングマザーが当たり前に活躍していけるような環境整備を継続していきます。
そして、息子が大きくなった今、子育てについても、家庭だけでなくもう少し外側に目を向け、自分ができることに挑戦したいと思い、ボランティアで小学校にドリームマップなども積極的に普及させていきたいと思っています。
最後に、メッセージをお願いします。
私は育児と仕事の両立にプラスし、自分が理想とするキャリアアップも実現しようと、経営者や上司、同僚、部下にサポートしていただきました。
「夜いないからできないのではないか・・・」と周りも遠慮することがあるかもしれませんが、自分がやりたいことを周りに伝え、挑戦していけば、応援してくれる人は必ずいます。
応援してもらった人に対して、精一杯の感謝を伝え、自分ができることでお返しをしていくことを続ければ、信頼関係が構築でき、思い込みによる遠慮もなくなります。
何とかしなくてはならないと力をいれるときと、何とかなるかなと楽観的に構えるときとをうまくバランスとって育児と仕事の両立を乗り切っていただきたいと思います。
また、子どもが大きくなったからこそ言えることですが、子どもは働く親の姿をしっかり見ています。
親が楽しく笑って、仕事にやりがいを感じて生きていれば、子ども自身が将来働くことを当たり前に感じて、自立していくのではないでしょうか。
「働くこと」「育児すること」が、多くの方にとって、楽しくやりがいを感じられるものになることを願っております。
私の経験が、少しでも参考にしてもらえるところがあれば、とても嬉しいです。
インタビューby 椿