今回ご紹介するのは、女性活躍推進コンサルティング事業を手掛ける株式会社ナチュラルリンク代表の高野美菜子さん。
お会いするまではバリバリの女性経営者をイメージしていましたが、実際にお会いするととても気さくで、
ずっと前から友人だったような気になってしまうほど自然体な方。
でも話を伺うとやはり「芯の強さ」「かっこよさ」を感じます。
今では本も出版され、メディアでも活躍されていらっしゃいますが、起業の道は順調なものではなかったそう。
でもその大変だった頃のことも飄々と話してしまうのがまた魅力です。
仕事一番だったのが「出産」を機に働き方を変えることで、ご自身の仕事のスキルも業績までも向上させてしまったお話には共感!!
本当の意味での「女性活躍」の重要さを感じさせるインタビューです。
プロフィール
氏名:高野 美菜子(こうの みなこ)
・会社名:株式会社ナチュラルリンク
・職種:代表取締役
・簡単な経歴:新卒で人材教育・コンサルティング会社に入社。成績ゼロの時代を経てトップセールス賞を3度受賞。女性営業育成や研修運営経験を経て、2009年10月、㈱ナチュラルリンクを設立。2013年に第一子出産。
・居住地:兵庫県西宮市
・ご自身の年齢:32歳
・お子様の年齢:1歳
・ワークスタイル:フルタイム(会社経営)
現在のお仕事の内容を簡単に教えてください。
「 女性活躍推進コンサルティング事業」
管理職の為の女性マネジメント研修、女性社員研修、育休復帰体制構築支援、女性活躍推進担当者のための勉強会LinkRoom主催等。
平日1日のスケジュールを簡単に教えてください。
7:00 起床、子供と自分の朝ごはん、洗濯
8:30 保育園送り
10:00 企業との打合せアポイント
12:00 昼ごはん
13:00 研修
18:00 保育園お迎え
18:30 晩ご飯作り、子供と遊ぶ、パソコン仕事
21:00 子供お風呂(夫が帰っているときは夫にいれてもらう)
22:00 寝かしつけ、子供が寝たら仕事、晩御飯後片付け、テレビを見る
24:00 就寝
起業のきっかけを教えてください。
前職で営業先のお客さんに、ある時、「将来どうしたいの?」と聞かれ、何も考えてなかったのに、思わず「起業したい」とぽろっと答えてしまいました。
そのために何してるのかと聞かれ、「何も準備していません」そう答えると、「本気で起業したいならこの瞬間にやるかやらないか決めろ!!」。と言われ、2009年10月に起業するとその場で宣言してしまいました。
その後もその方がいろんな会社の社長さんを紹介してくれたり、ビジネスプランをもってこいと宿題を出されたりして、どんどん後に引けなくなっていったのが本音で、実はこれがきっかけです。
なぜ今の事業内容にしようと思ったのですか。
起業塾にも通ったりもしたのですが、起業予定日の3ヶ月前になってもまだやることが決まってない状態でした。もちろん現職からも両親からも猛反対にあっていましたし、頭の中はぐちゃぐちゃで。
そこで一旦“起業”のことは横において、現職での営業に専念しようと考えました(お世話になった現職に恩返ししてから辞めたかったですし)そしたら営業先のお客さんから「女性を活かしたいけどどうしていいかわからない。女性のやる気もないし」という相談を受けたんです。そこで女性社員の方にインタビューさせてもらうと、女性側は「もっと働きたい、長く貢献したい。でも会社がそれを求めてないから」
との声。大きなギャップに驚きました。このギャップを埋めたい。この問題を解決したい。そう思い、ビジネスの軸とすることを決めました。
起業後、経営は順調でしたか。
正直、軌道に乗り出したのは2014年になってからで、それまではしんどかったです。
起業したのがちょうどリーマンショックの頃。しかもこちらは20代の若い姉ちゃん。全く相手にされず、最初は何でもやります!と必死でした。
本当に“お金がない”という状態を人生で初めて経験しました。手元に100円しかなくてプレイステーションを売ってなんとかその週をしのいだこともあったくらいです。ただ、その状況を周囲に相談できず、当時は自分の中に抱え込んでしまっていました。きっと経営者とは「常に弱い部分は見せてはいけない」と思い込んでいたんだと思います。母親像と一緒かもしれませんね。勝手にイメージを作って必死にそれを追いかけて。
その鎧を脱ぐのに一番時間がかかりました。どこかで自分の力を過信してたんだと思います。“自分に実力なんてない。”そう思えたら、いろんな人の力を借りてやろうという発想に自然となれて。そしたら色んなことがまわりはじめた気がします。
それでも続けたのはなぜですか。
正直なところ、意地だと思います。
ここで辞めたら、いつか輝く女性経営者を見た時に“羨ましい。あそこで続けていたら”と後悔してしまうと思ったから。
「もう無理」って状態になって、今の主人に話した時も「ここでやめたら後悔する。人はそう簡単には死なない、会社もそう簡単にはつぶれない。やりたいようにやれ」と言ってくれました。私の性格をよく知ってくれていますね。
そんな思いで、“あと一歩、あと一歩だけ頑張ろう。”その繰り返しでやってきて、今やっと時代の追い風を感じつつ、波に乗れた気がしています。
アベノミクスの影響も大いにありますが、やっぱり続けてきたからこそだと思っています。
出産して、ご自身の内面では何が一番変わりましたか?
子供がこんなにかわいいとは思わなかったというくらいかわいい!
出産したらまたバリバリ仕事するつもりで、仕事一番でいくと思っていました。
でも、完全に優先順位が入れ替わって子供や家族が不動の1位に!
それと同時に、出産育児で、以前のようにずっと仕事に向かうことができなくなってはじめて、私は仕事がとても好きだと純粋な気持ちにも気づきました。
大好きな仕事をしながらも、育児ができる、こんなに周りに協力してもらって応援してもらって両立できること、それ自体に日々喜びを感じています。
ワーママとして育児&仕事をしていて良かった~!と思うhappyなエピソードを教えてください!
ずばり、出産してからの方が、会社の業績があがりました!
今までは、夜遅くまで仕事をすることも当たり前で、出産後は仕事にあてる時間が2/3程度になって初めて、頭を使って仕事をするようになりました。大きく変わったのは、プッシュ営業からプル型営業に変わった点です。「営業しないでも売上をあげるにはどうしたらいいか」
を徹底的に考えました。
無駄な訪問営業はやめ、WEBに力を入れよう、本を書くなどしてブランディングをし、向こうから依頼が来るようにしようという風に、抜本的にやり方を変えました。結果、働く時間は減ったにも関わらず、業績は伸びました。これは自分にとっては大きな発見でした。
一緒に経営しているパートナーの女性とも「お互い出産してからのほうが格段に仕事のレベルが上がったよね」と話しています。
私も“女性管理職育成”は重要だと思っています。でもその理由は、人材不足だからとか、国の対策だからではなく、裁量がある立場に女性が行くことによって、部署の働き方を変えていけるからこそ、重要だと思うんです。自分がその部署で決定権を持てたら、チームの働き方そのものを変えていくことができます。そういう女性が増えることによって、女性が活躍できるようになることはもちろん、結果的には男女問わずやる気と実力のある人が活躍できる環境に繋がると思います。
育児&仕事をしていて一番大変なことは? それをどうやって解決していますか?
自分のメンタルを良い状態にすることです。自分がイライラしていると、それはそのまま子供に伝わりますし、家庭の雰囲気も悪くなります。そうなると仕事もまたイライラして悪循環になるなと痛感します。まずは自分が、笑顔で元気に頑張れる状態を作ること。そのためには、もっと自分自身が成長しないといけないし、器を広げないといけないなと日々思います。
そして小さいことでも、日々、感謝の気持ちを持ち、それを、夫や仲間に伝えるようにしています。
育児と仕事、それぞれで一番大事にしていることは?
育児で一番心がけているのは、夫婦が笑顔で仲良くしていることです。「お父さんとお母さんは仲良く楽しくやっている」という雰囲気が、家庭の中に浸透することで、子供が安心して育つようにしたいなと思っています。
仕事では、期待を少しでも超えることです。相手が思う101%で返せるように意識しています。
これからの目標を教えてください。
①企業の女性活躍推進と言えばナチュラルリンクと日本で言われる会社になること。そのために実力、ノウハウ、実績を一つ一つ積み重ねること。
②自社が新しい働き方を常に作っていく企業になること
・子どもと出勤OK
・週4勤務残業なしで売上増
・全社員在宅ワークOK
・海外在住のスタッフも働ける会社
・社員と雇い主という関係ではなく、もっとパートナー的な雇用関係を新たに作る等
サイトを覧の皆様(ワーママ仲間)にメッセージをお願いします!
以前先輩ママから、「人生は一度キリで、自分が主役だよ!夫も上司もお客様も子供もみんな脇役!自分が主役なんだよ!」と言われた言葉が印象に残っています。子育てしながら仕事をしていると、同僚のこと、子供のこと、家族のことが先にきて、どうしても自分が後回しになりますが、大事なのは自分がHAPPYであること。自分のHAPPYを大切にしながら、同じワーママとして頑張っていきましょう!
インタビュー by 井本七瀬