今回紹介するのは、スターバックスコーヒージャパンで飲料のマネジメントや新商品の企画開発を手掛ける西岡京さん。
現在、中学3年生の息子さんと小学5年生の娘さんがいらっしゃいます。今は、お子さんたちが大きくなってきて、海外出張もこなすなど軸足を徐々に仕事に移していっているそうですが、お子さんたちが小さな間は仕事を少しセーブしていた時期もあったとか。
長い目で見た時に、子供の成長に合わせて仕事のスタイルをどう変えていくか?
「子供と向き合う時間を第一優先にしていた」というお子さんが小さかった頃のことから、息子さんの中学受験のエピソードなど最近の様子までお話いただきました。
ご自身について教えてください。
・氏名:西岡 京(にしおか みやこ)
・会社名:スターバックスコーヒージャパン株式会社
・職種:商品企画&マネジメント
・簡単な経歴:東京大学教養学部卒業後、三菱銀行に就職、出産、2年の育児休暇を経て、スターバックスコーヒージャパンに転職。
・居住地:目黒区
・ご自身の年齢:43歳
・お子様の年齢 (西暦も)長男15歳(中3)、長女10歳(小5))
・ワークスタイル フルタイム
現在のお仕事の内容を簡単に教えてください。
エスプレッソ、フラペチーノ等、ビバレッジ商品全体のマネジメント、新商品の企画開発。
平日1日のスケジュールを簡単に教えてください。
05:30 起床
息子のお弁当作り、朝食準備、自分の支度
07:30 娘の登校と一緒に家を出る
08:30頃出社
18:30頃退社→日によっては夕食の買い物
19:30 帰宅→夕食の準備
20:00 夕食
21:00 娘のピアノ、勉強をみる
22:30 娘就寝(長男は、諸々勝手にやっています)
23:30 メールチェック他、就寝
出産して、ご自身の内面では何が一番変わりましたか?また、お子さんが生まれる前後で働き方は変わりましたか?
子供が小さい時は、「会社では私のかわりはいるけれど、子供たちにとってママのかわりはいない」を信念に、自分の中での優先順位を明確に決め、子供と向き合う時間を第一優先にしていました。(具体的には、二次保育、延長保育は利用しない、毎日必ず一緒に食事をする等。)子供との時間を犠牲にせず、でも仕事で求められる成果を出すために、子供に影響しない就寝後の時間や早朝でカバーするようにしていました。時間は有限であることを認識し、優先順位のつけ方と、会社にいる間に最大限に集中し、限られた時間で一定の成果を出す能力は、日々鍛えられたと思います。
外資系の企業ということで、会社が女性の活躍やママの働き方に理解がありそうという印象を受けますが、実際はいかがですか?
女性社員の比率が高いこと、多様性を認める社風があること、誰かの役に立ちたいという意識をもった社員が多いことなど、女性として、ママとして働き続ける中で、本当に多くの人たちの理解とサポートに支えられてきたと感じています。特に子供が小さい時など、大変ではあったけれど、周囲の理解に支えられた面は非常に大きかったです。
また、まだ数は多くはないですが女性リーダーのロールモデルが身近に存在することは、働き続ける上で、とてもよい刺激になっています。
西岡さんはチームマネージャーという立場ですが、日本で言えば管理職にあたるのですよね?ママの視点が部下のマネジメントに活きることはありますか?また大変なことはありますか?
ママの視点ではないかもしれないですが、何でも受け止められる安定感、人の話に耳を傾けてしっかり聞く能力はあると思います。育児は自分が思うようにはいかないものですから、ストレス耐性は非常に強く、感情が安定しているのも、強みかもしれません。
ご主人との家事・育児の分担はどうされていますか?
家事と育児ともに、9:1位だったのを、15年かかって、8:2位までに持ってきました。最近は、家事の8:2の2の部分を、主人が大きくなった子供たちに受け渡そうとするので、それではあなたの役割が0になってしまうじゃない!と突っ込みを入れています。
ワーママとして育児&仕事をしていて良かった~!と思うhappyなエピソードを教えてください!
育児では・・・私が海外出張に行ったとき、小4になった娘が家族のために、夕食(たらこパスタ)を作ってくれたと聞いたときは、いつの間にそんなことができるようになったのかと、驚きました。私の手順をみて、作り方を覚えていたこと、生活能力を持ちつつあること等に感動でした。(ちなみに中3の長男は、何一つ作れませんが!これからは、女性もみんな働くのだから、男も料理くらいできないと、誰もお嫁に来てくれないわよ、と忠告しています。)
仕事では・・・どんなに仕事で疲れて帰っても、家に帰って、子供の笑顔をみて、他愛もない会話をしていると切り替えられることは、ありがたいです。また、自分たちが手がけた新商品を、娘と週末に飲みにいく約束をし、スターバックスでお茶する時間も至福のひとときです。
育児&仕事をしていて一番大変なことは?
育児では・・・子供が小さい時は、もっと子供といてあげたい、という気持ちと、仕事への責任感とが、常に自分の中で葛藤していたことが一番大変だった記憶があります。子供が大きくなってから最近では、長男の中学受験は、親のサポートが多分に必要なので、通勤電車の中で、国語の長文問題を読んでおく等、限られた時間で、仕事と育児と勉強の面倒とを両立するのは、受験特有のプレッシャーもあり、大変でしたが、志望校に合格できた時の喜びもひとしおでした。
仕事では・・・子供が小さかったときは、時間の制約がある中で、もっと仕事したいという気持ちに自分で区切りをつけて、子供との時間を確保することが大変でした。今は、自分の時間が増えたので、この大変さはだいぶ減りました。
それをどうやって解決していますか(していこうとしていますか)?
子供が小さい時は、大切なのは子供と一緒にいる時間の長さではない、一緒にいる時間の質だと自分に言い聞かせ、子供と一緒にいられる時は、100%子供と向き合うように心がけていました。(もちろん完璧にできていた訳ではないですが。)
子供がだいぶ大きくなった今、子供が小さい時に一緒にいたい、という気持ちに引っ張られて仕事を辞めることなく、乗り越えて続けてこられてよかったと実感することが多いです。子供たちが大きくなればなるほど、当たり前ですが、子供にも自分の世界ができ、必ずしも全ての場面に私が必要とされる訳ではないので、必要な時にいつでも手を差し伸べられる用意はしつつ、見守っていきたい、という意識が強くなりました。
育児と仕事、それぞれで一番大事にしていることは?
育児では・・・一番ではないかもしれないですが、日々の生活の中で、食事の質はとても大事にしています。しっかりと料理を作り、家族で会話をしながら、夕食をとることは、家族のコミュニケーションの要であり、心と身体の健康のもとだと思うので。もちろん手を抜くことも度々あり、子供たちに「今日のおかずこれだけ!?」と突っ込まれることもあり、疲れきった日には近所のなじみのお店で子供たちと待ちあせて外食もしますが、基本的には大切にしたいといつも思っています。
仕事では・・・オーナーシップを持って仕事に取り組むことでしょうか。
これからの目標を教えてください。
育児では・・・子供たち、特に長男は自立に向かっていく時期なので、母として必要な手は差し伸べつつ、干渉しすぎないように、見守っていきたいと思っています。人生の先輩として、働き続けてきたからこそ、最も身近な社会人として、今度、子供たちが自分の道を選択していくにあたり、適切なアドバイスをしてあげることができればよいと思っています。
仕事では・・・子供が小さかった時に比べると、自分の中で軸足を仕事にシフトし、仕事が占める比重を高く設定しています。仕事で与えてもらっている機会に感謝しつつ、自分なりに成長し続けたいと思います。
サイトを覧の皆様(ワーママ仲間)にメッセージをお願いします!
子供が小さい頃は、夏休みに入って、出勤途中に親子連れで出掛ける姿等をみると、罪悪感を感じる自分がいました。でも、いつか子供たちもママが働いている姿をみて、理解してくれる日がくる、一緒にいる時間の長さが全てではない、と自分に言い聞かせていました。
そして子供たちが、それぞれ15歳、10歳という年齢になった今、いろいろ大変だったけれど、ひとつずつ乗り越えながら仕事を続けてきてよかったと思っています。特別な能力がある訳でもないので、会社でコツコツと積み上げてきた先に、今、与えてもらった機会を最大限に楽しみながら、仕事をすることができる幸せを感じています。子供が小さい時は、もっと一緒にそばにいてあげたいという気持ちは、持って当たり前だと思いますし、もちろんその時に一時的に仕事をセーブする、辞めるなどで、バランスをとる選択もあると思います。私も二人目が生まれてから4年間ほどは時短勤務でした。でも、今、プチ反抗期の長男をみていても、いつか子供は親の元を巣立っていく存在であることを実感しつつ、近視眼的にならずに、長い目で自分にとって、家族にとって、一番よい働き方を選択することができればよいと思います。
インタビューby 柴田 広夢