今回のインタビューは、国内お菓子メーカーで新規事業開発を担当する金丸さん。
小1の女の子のママで、なんと、新幹線で高崎から都内まで毎日通勤していらっしゃいます!
仕事でも家庭でも、ゼロからイチを創り出すことに注力し、それ以外は人に任せるという方針を徹底。震災後は熱い想いでイベントを企画したり、教育についてグローバル視点で考えるなど、その活躍ぶりにたくさんの刺激を受けました。大変気さくな金丸さんの人柄に触れるインタビューになりました。
プロフィール
・氏名:金丸美樹
・会社名:国内お菓子メーカー
・役職名:チーフマネジャー
・職種:新規事業開発
・簡単な経歴:慶応大学卒業後現在の会社に新卒入社。商品開発、宣伝広告を経て、新規事業開発担当となる。
・居住地:群馬県高崎市
・ご自身の年齢 :38歳
・お子様の年齢 :6歳(2008年生まれ)
・ワークスタイル:フルタイム
現在のお仕事の内容を簡単に教えてください。
本業に関連する関連しないに関わらず、とにかく新規事業を立ち上げるのがミッションです。過去には、アンテナショップの立ち上げや、国の研究機関とコラボした子どもの自由研究になるキットの開発などを行いました。震災後は、大手ショッピングセンターと組ませていただいて、お客様がお菓子を買ってくれたらその金額と同額を会社が上乗せして被災地に寄付するマッチングギフトを実施しました。
平日1日のスケジュールを簡単に教えてください。
5:30 起床・自分の支度と、日によって家事や仕事
6:50 娘起床
7:30 娘がマンションの下でお友達と合流
7:45 新幹線に乗る
9:00~17:30 会社で仕事
17:50 新幹線に乗る
19:00 学童お迎え(高崎駅から自転車で飛ばす)
19:15 帰宅し、夕食
20:00 娘就寝 (一緒に寝る時もあれば、家事や仕事をしてから寝るときも)
かなり多岐に渡る事業の立ち上げをされていますが、アンテナショップは今でも運営されているのですか?
いえ、私はゼロからイチを創り出すことがミッションなのでそこをがんばっていますが、その後の運営やイチを100にするところについては得意な人に任せた方がいいと考えています。ですので、立ち上げて2年間自分で運営したのですが、その後は他の部門にお任せしています。しかし、この立ち上げではだいぶ周りの方にご迷惑をおかけしました・・・。オープン前日、ショップに電話+FAX機がないことに気づき、バタバタしていたので、ちょうど厨房機器を納品しにきた業者の方に手配をお願いしました。「電話機を仕入れて売ったのは初めてです。」と言われましたが。そしてオープン初日に商品が売り切れてしまい、このままでは日曜日に売る物がない!という状態になってしまいました。土曜日で会社と連絡が取れず、営業している他の店舗から調達しようと考えたのですが、配送トラックが手配できません。そこで思い出したのが、以前他の仕事でお世話になった着ぐるみを作る会社の方のトラック。そこへちょうどその方がショップを見に現れて、これは奇跡だと思ってお願いしました。そして翌朝、娘と一緒にその方のトラックに乗せてもらい、他店舗からの商品調達に成功しました。
子どもの自由研究キットはどういう経緯で開発されたのですか?
もともと私は、日本の教育がこれでいいのかという問題意識を持っていました。実際に海外の複数の国で教育を受けた子に聞いたのですが、グローバルで見れば、“恐怖教育”と言うと言い過ぎかもしれませんが、上から教育するスタイルは日本とロシアぐらいで、他の多くの国は、子ども達に興味を持たせるような授業を行っているらしいです。日本の教育水準は高いのですが、最後ぐっと伸びない。それは興味を持たせない教育に原因があると考えています。そこで、民間企業として何かできないかと考えて、「お菓子の力で、生活者の興味やクリエイティビティを引き出すこと」を目的としたプロジェクトを発足しました。その第一弾として開発したのが「おかしな自由研究シリーズ」です。 子どもたちがお菓子の力で、自発的に学ぶことの楽しさを知り、創造力を磨くきっかけを作れないかと考えました。テーマとして選んだのは「宇宙」です。本来は誰しも関わりがありながら、壮大かつ未知なる領域のため、授業や学習として触れると、抽象的で馴染みにくいところがあります。 しかし、一度興味を持つと、知れば知るほどに好奇心や探究心が湧き出てくる対象でもあります。そこで、子どもたちにとって親しみのある存在であるお菓子を使って、宇宙を身近に感じてもらい、宇宙への興味・関心を持つきっかけをつかんでもらいたいと考えました。子どもたちの探究心に火をつけ、クリエイティビティを触発できるような商品になるよう工夫して開発しました。結果、テレビの取材も受けるなど、反響をいただきました。
マッチングギフトでの被災地支援などはCSRの分野かと思いますが、そのあたりも担当されているのですか?
いえ、CSRは担当ではないのですが、震災後、被災地のために何かしなければ!というものすごく熱いものが体の中から湧いてきて、いてもたってもいられなくなったのです。震災後社内を見渡してみると、忙しそうな人達がいる一方、手が空いていそうな人達もいました。手の空いている人達は自社のお菓子を持って被災地で配ったらいいのに。と思ったのがきっかけです。私は想いと勢いだけの人間なので、まずは社内の頭が良くてこういったことに共感してくれそうな方に相談しました。その方にほぼほぼ戦略を練ってもらい(笑)、それを資料にしてCSRのマネージャーを口説きました。異動前CSRの部に所属していたので、誰に何をどう頼めばいいか分かっていました。CSRは難しい分野で、意志決定がなかなか難しいようですが、あのときはとにかく何か始めた方がいいと思いました。今でも被災したエリアの会社に毎年会社のイベントのTシャツを発注するなど、被災地支援は続けています。これに限らず、私は数字もあまり強くないので、社内の凄いなあと思う人たちに色々とお世話になっています。これまでのキャリアで、誰に何をどう頼めばいいのか、身についているんですよね。
高崎に住んでいらっしゃるのはご主人のお仕事の関係ですか?
実は主人はもっと遠いところに仕事の関係で住んでいます。私は東京で暮らしていましたが、娘を産んで復帰する際、当時保育園の待機児童がたくさんいて、入れないことが分かり、パニックになりました。夫の住んでいるところに引っ越して新幹線通勤することを考え、時刻表を見てみると、働き方を時短にしないと難しく、しかし時短の給料で新幹線通勤の定期代の自己負担分は払えないなと思いました。それで、時刻表をよく見てみたら、高崎というところならなんとか時短にしなくて済むなと思ったのです。そこで、とにかく高崎に行ってみようと思いました。娘を抱えて高崎の駅に降り立ち、保育園や住宅の環境などリサーチしてみると、思った以上に良い環境だと思い、住むことを決めました。新幹線通勤と聞くとびっくりされる方が多いのですが、高崎では長野など周辺エリアに新幹線通勤する人が多いようで、私も当たり前のように新幹線通勤出来ています。また、サバサバとした雰囲気のところで、地元のお祭りに、外から移住してきた人が何の違和感もなく参加できるところも、とても気に入っています。
ご主人との家事の分担などについて教えてください。
夫は週末、月3回くらい来て、たまに料理もしています。普段は夫がいないので自分で全てやるしかないですが、年末の大掃除や、友達が遊びに来る前などはハウスキーパーさんに来てもらっています。
普段の夕飯は、実家の母が作って冷凍して定期的に送ってくれるおかずをレンジでチンするだけの時も多く、味噌汁だけは頑張って作っています!土日は娘と一緒に作ります。
娘の学童は、小学校の隣にある、地元の人達が運営してくれているところに通わせています。音読以外の宿題は学童でやってきます。
出産してご自身の内面では何が一番変わりましたか?
子育てと仕事を両立させることは精神衛生上とてもいいと思います。どっちかだけだと煮詰まってしまうところ、どんなに子どもや夫関連で腹の立つことがあっても、会社の会議が終わったら忘れてしまいます。また、子どもを産んで高崎に住むと自分で決めてその生活を楽しめていることで、何か吹っ切れたようで、周りに何を言われても気にならなくなりました。
ワーママとして育児&仕事をしていて良かった!と思うhappyなエピソードを教えてください。
子供が仕事を応援してくれることと、仕事とは何ということを(まだなんとなくですが)実態を持って伝えることができていることです。
娘からよくお手紙をもらうのですが、「ママだいすき」の次に「おしごとがんばって」と書いてあるので涙が出るほどうれしいです!たまに「おせわになっています」も書いてあって爆笑!確かにお世話していますが・・いや、私がお世話されているときもありますので、こちらこそ、です。
私は、『社会に役立って(=仕事をして)、お金を稼いで、それで生活をする(注:主婦業も立派な仕事だと思います)』ということが、人生においてとても大切なことで、自身の生きる意味でもあると考えています。子供と、どんな仕事がしたいのか、それはどんな人に、どんな社会にどう役立つのか、など話す機会になることはとてもいいなと思います。イベントなどには連れて行っていますので、私の仕事の内容も理解していると思います。
育児&仕事をしていて一番大変なことは?
時間が足りない、の言葉につきます。仕事も年次を増すごとに領域も増え、勉強したいことも増えてきましたが、睡眠時間との闘いです。かといって体を壊しては元も子もないし・・・。子どもの前では携帯をいじらないなど心懸けていますがつい返信してしまう~。
欧米に転勤した友達のゆっくりとしたライフスタイルを聞くと、1分1秒に追われて何やってんだろ・・・と思うこともあります。毎日もっと家族で過ごしたい、でも仕事もしたい、なんて悩む暇がないくらいバタバタしていますが、ま、私は暇の方が嫌いなので、この生活が性に合っているのだと思います。
それをどうやって解決していこうとしていますか?
うちの母の好きな言葉「ケセラセラ」(唄がありましたね、昭和を感じますが)=「なるようになる」ですかねー。
特に母からもらった言葉として思い出したことはここ10年以上なかったですが、この質問を受けて急に思い出しました。女にはいろいろありますから、子育てをして仕事をしていくと、みんなその境地に達していくんだと思います、笑。
育児と仕事、それぞれで一番大事にしていることは?
育児も仕事も同じです。
自分も楽しく=関わる人も楽しくなるようにすることです!子どもにも、アドバイスはしますが、命令はしません。自分で考える訓練をしたいです。楽しみながら!!
これからの目標を教えてください!
子育てはあっという間なので、「ママ遊ぼう」といってくれている今のうちに、もっともっと子どもとバカやったり楽しく過ごしたりする時間を作り出したいです。それを1日24時間という時間中からどうその時間を算出するか、が当面の目標かも。しかもその中で自分のスキルアップ(といえば聞こえがいいですが、できないことだらけなので、補完の勉強です・・・)の時間も作らなくては。睡眠不足は逆に集中力の低下になるので、ますます家事を手抜きしそう!!自分の将来的にはやりたいことはいろいろあります~!!企画温め中です。
サイトをご覧の皆様(ワーママ仲間)にメッセージをお願いします。
特に育児休暇明けなどは会社でも謝って、保育園でも謝って、涙がでそうになりますが、友達に愚痴る、「今はオジギ筋(お辞儀をするときに使う腰のあたりの筋肉)と鍛えている」とギャグにする、などして極力あまり深く考えず、バタバタしながら乗り切ってください!
家庭と育児、どちらも100%はかなり難易度が高いので、手抜きできるときはどんどん手抜
きしていいと思います。私は料理も好きな方でしたが、帰宅後、一生懸命料理するより、子どもとお話したりスキンシップしたりした方がいいかなーと思って、料理はかなり省くことにしました。平日の夜は2時間くらいしか一緒にすごせないですからね。会社の先輩が帰宅したらメガネをはずすとおっしゃっていたのもおもしろかったです。ほこりが目につかなくなるそうですよ~!!
保育園には12時間くらい預けていたのですが、今でも子どもは保育園が大好きですし、「友達もたくさんできるから、絶対みんな保育園に行くべき」と、あるテレビを見て言っているのを聞いてうれしかったです。かといってママのことも恐縮してしまうくらい大好きでいてくれています。
子育てを自分(親)だけでがんばりすぎないで、地域やまわりの人やいろんな人に育ててもらおう!と思っても、自分だけでなく、実は子どもにとっても、いいのかな?なんて最近思うこともあります。我が家はひとりっこなので特に。子どもは日本のみんなの宝ということで・・・!
みなさんもがんばりすぎずにがんばって子育てしてくださいね!
インタビューby 只友真理、構成:柴田広夢