先日役員就任された、サイボウズの中根さん。自称”ちょいバリ”だそうですが、”頼れるものは頼り、頑張りすぎずに頑張る” という、自然なワークスタイルと、それが実現できるサイボウズ社の突き抜けた制度が面白いです!
聞き手がサイボウズ社ファンのため、今回は所々聞き手コメントを入れてみました。
“ちょいバリ”役員、かっこいいです!
プロフィール
・氏名:中根 弓佳
・会社名:サイボウズ株式会社 http://cybozu.co.jp/
・職種:事業支援部門
・簡単な経歴:
慶應義塾大学法学部法律学科卒
大阪ガスを経てサイボウズ入社。
知財法務部門にて経営法務、契約法務、M&A、知的財産管理等を経験した後、
事業支援本部長(*)に就任。執行役員。
*:人事、財務経理、知財法務等
・ご自身の年齢:37歳(1977年生まれ)
・お子様の年齢:小2、年中
現在のお仕事の内容、ワークスタイルを簡単に教えてください。
サイボウズはWeb技術で使えるコラボレーションツール(グループウェア等)といわれるソフトウェアを通じて
お客様のチームワーク向上に貢献することを使命としているIT企業です。
そこで私は、開発や販売、プロモーション等の事業を行うメンバーや組織を支援する部門、
つまり、人事や財務経理、知財法務等といった、一般的な会社では管理部門といわれるような
ミッションをもったセクションで責任者をしています。
お客様のチームワークをよくしたいと思っている会社のチームワークが残念なことになるわけには
いきませんので(笑)、事業部門のメンバーがより自立して、より高いパフォーマンスが出せるような
環境を作っていくことが私のミッションです。
平日1日のスケジュールを簡単に教えてください。
4:00-5:30 起床(仕事をする場合は早起き)
朝食準備、洗濯、子供の世話や自分の準備
7:15 夫と次女が家を出る
7:40 自分と長女が家を出る
9:00 出社
:
17:50 退社
19:00 保育園&学童にお迎え、帰宅
夕食準備~片付け、その他家事、お風呂
長女の宿題をみる
21:30 寝かしつけ
22:00 自分も就寝
聞き手:4時って!もはや朝ではないですね(笑)
出産して、何が一番変わりましたか?
時間に対する意識。効率重視。
平日、仕事に対する時間の使い方は当然ですが、家にいるときも、いつの間にか0時!
なんていうことはほとんどなくなりました。
とはいえ、今は子供も手がかからなくなってきたので、自分の時間が取れるようになってきました。
ワーママとして育児&仕事をしていて良かった~!と思うHappyなエピソードを教えてください。
長女が小学生になり、「働く」ことを理解しようとし始めたこと。
お母さんの会社は何をしているの?お母さんはそこでどんな仕事をしているの?
何をしに出張に行くの?と。
保育園時代は周囲は働くママばかりだったのですが小学生になり、よりいろんな家庭の形があることを、
その中で自分の母親がなぜ働くのか、それを通して何を得ようとしているのかを彼女なりに
理解しようとしていること。
ちなみに、子供からの質問にはシンプルに答えないといけないので、
自然と、本当に自分は何のために、何を達成したいと思っているのか、本質を自問自答する機会にも
なったりします。
あとは園のパパママ友達と異業種交流ができることでしょうか。
経営者、保育士、看護士、IT企業、商社、公務員、自営業 等、
同じような環境では同じような層や考え方の人が多くなりがちですが、
あまり意思がない集まりであればあるほど多様性があり、それぞれのリアルを知れるので。
聞き手:小学校はまた社会が広くなって楽しそうですね!社会の変化を楽しみ学ぼうとする視点の高さがさすが&勉強になります!
育児&仕事をしていて大変なことはありましたか?それは何ですか?
やはり多くのことをできるだけ高いクオリティ?で達成しようとすると、時間がないこと。
それをどうやって解決していますか?
効率を上げるか、諦めるしかありません(笑)!
中根さんでも諦める事あるのですか?
諦めてばっかりですよ!ただ諦めるというのは代わりに何かを選択する、という事。
私は1人で1日は24時間しかありませんから。
育児と仕事、それぞれで一番大事にしていることは?
育児:関心と対話。
接する時間が長くないですが、長女は自分の世界を大きく広げ始めた時期なので、
それに対して物理的な距離を少しづつとりつつも、心理的な距離は離さないようにしたいと
思っています。なかなか難しいですが・・。
聞き手:な、なんだか難しそうですね。。。女の子だからでしょうか。
仕事:対話と効率。
一人でできること、チームでやるべきことを意識して、会社にいるときは極力チームでやるべきこと
に時間を使うように意識しています、ミーティング等ですね。
ちなみに、一人でできることなのであれば、効率面、ライフ面を含めできるだけ在宅でやりたいので、
自分の働き方もさらに進化させたいな、と思っています。
聞き手:すごく同感です!!オフィスに出社するからこそできるチームワークを意識してやっていきたいと思うようになりました。
在宅仕事とオフィス仕事は、どれくらいでどう使い分けていますか?
ちなみに、小学校授業参観とか、PTAの交差点の旗もち当番とか、マンションの火災点検とか、1日のうち、数時間仕事ができないような日は積極的に活用してます。数時間会社で働くために片道1時間の通勤は無駄なので。
予め仕事を、チーム作業か自分作業で分けるのが現状です。ですが、もっとITを駆使して場所を超えてチーム作業の効率化はできると信じていて、もっとチャレンジしていきたいですね。
法務からの経営副本部長、からの執行役員就任!今までのキャリアについて、教えてください。
志望していた関西のエネルギー会社に就職するも、遠距離恋愛に耐え切れず?
というか、結婚を現実的に考えたときに、結婚=退職を想定すると、
モチベーションを維持することが難しくなり、それは会社にとっても失礼だと思ったので、
早めに退職しました。
その後、業種も規模も全く異なるサイボウズに入社し、ドキュメントを書く仕事で製品について
学び、知財法務へ。
その後2度の出産を経験して、部長、本部長と責任の「幅を広げて」いきました。
女性は選択肢が少ないといいますが、私はそうは思いません。
誰しもが何らかの制約を持っていますし、女性だったからこそ選択できたということもあると思うので。
(夫から安定した収入を得られる分私はリスクを負えるという側面があったり)
出産後もスピードダウンすることなく、むしろスピードアップして活躍中の中根さん。どう実現しているのですか?
スピードアップしているかどうかは分かりません。
私はどうしても考え込んでしまう傾向になるので、
「Done is better than Perfect.」(マーク・ザッカーバーグ氏)は意識したいと思っていますが、
なかなか・・
聞き手:え(笑)なかなか・・・なのですか!むしろ中根さんはどれくらいを目指しているのか聞きたいですね。
サイボウズ独自の働き方選択は、「ライフ重視型」、「ワークライフバランス型」、「ワーク重視型」どちらを選んでいるのですか?
(選択人事制度)
バランスコースです。
会社では残業はほとんどしません。会社で終わらない場合は自宅でフォローします。
海外出張やたまの土日出社はありますので、ママの中ではチョイバリかな?
聞き手:バランスなのですね!ワークライフバランス型でも役員に就任できるというのが、サイボウズらしい。いつも夜遅くまでにいる長時間ワーカーでないとなかなか昇格しにくいのが一般的だと思うので。これは社会にも大きな影響を与えますね。
サイボウズでは、中根さんはじめ活躍するワーママが普通に多いイメージなのですが、なぜだと思いますか?
トップ、周囲も含め環境作りをしているからだと思います。
幸い?サイボウズは常に人不足なので、制限が大きかろうと、少しでもチームに貢献してくれると
チームとしてとても嬉しい。
そもそも生きてきた環境や指向は人それぞれで、そこには男女以上の価値観の差があると思います。
そういった多様性を、トップ、制度、それに周囲も受け入れようとしてくれているので、
その結果でしょうか。
それにママさんたちも単に権利を振りかざすのではなく、チームの中での貢献を意識してコミュニケーション
してくれるので、より、ママといった多様性を受け入れやすい環境ができているのではないかと
思います。
グループウェアの開発や販売をしていることもこの土壌のひとつとして大きく貢献していると思います。
聞き手:トップの意識と、周囲も含めた環境つくりが、ワーママ活躍の背中を押しているというのは素晴らしいですね。ワーママ権利振りかざす話は、確かによく聞きますよね。社内にそういうケースが無いというのも大事でしょうね!
在宅勤務ok、復職okなど、色々な人事制度を打ち出していますが、より浸透していて、特ににオススメする仕組みがあれば教えてください!
在宅勤務と感動課ですね。
在宅勤務は本当に良いです。
もちろん、チームとしてのリスクやコミュニケーション上のコストもなくはありませんが、
それ以上に、時間を有効活用できることによる個人の満足度、充実度の向上につながりますし、
情報の見える化も進みます。
個人的にももっと出社ではなく在宅で仕事したいと思っています。
感動課は、チームワーク向上のためのひとつではあるのですが、
個人やチームが仕事に対して努力した何かを感動の形で表現することをお手伝いする部門です。
主役になった人は自分の仕事に対する誇りをより感じますし、それをみた人たちは
よりその人を支援したくなる、さらに自分も主役として取り組みたいというモチベーションに
してもらおうというものです。
働き方が多様化し、時間と場所を同じくして働く人ばかりではなくなってきますが、
「感動」でつながることによってチームの一員であることも満足を得ることができると
考えています。
最後に、オーディエンスのワーママ、未来のワーママにメッセージをお願いします。
出産育児をすることは特別ではなく非常に自然なことだと思います。
ですが、一人目のときは、復帰して、本当にこんな生活続けられるのだろうか・・と思いましたが、
何とかなります。アクセルを踏むとき、緩めるタイミング、その理由は人それぞれだと思いますし、
それでいいと思います。
頼れるものは頼り、頑張りすぎずに頑張りたいと思います。
インタビュー by椿