今回ご紹介するのは、オーストラリア在住のパワーママ、明石さん。明石さんは、昨年度末に開催したパワーママアワードの記事をご覧になり、「私自身、ワーママとして思う事、感じた事いろいろあるのですが、案外、周りに似た環境の人が少なく、不安になったことが何度もありました。 こういうワーママ同士の集まりがあるのはいいですね。 応援しています!」という素敵なメッセージを送ってくださった先輩ママさん。
昨年度末に関西のご実家に帰省中でしたので、娘さんもご同席の中、海外の子育て事情などをインタビューさせていただきました。
「仕事をしているママはかっこいい!大好き!」と、娘さんが誇らしげに話していたのがとても印象的でした。二人のお子さんの個性を尊重し、のびのびと子育てされている明石さん。とても勇気づけられるインタビューです!
プロフィール
・氏名: 明石 宏美
・会社名: 日本電子株式会社豪州法人
・役職名: ファイナンス・マネージャー
・職種: 経理
・簡単な経歴: 日本で就職後、25歳でオーストラリアへ留学。経済で大学院卒業後、経理として就職。働きながら大学院で会計(accounting)を学ぶ。出産で退職後、長女1歳半の時に自宅から近い現職場に転職(当時35歳)。
・居住地: オーストラリア・シドニー
・ご自身の年齢: 46歳
・お子様の年齢:長男8歳、長女12歳
現在のお仕事の内容を簡単に教えてください。
電子顕微鏡を扱う日系企業で経理を担当しています。経理担当とはいえ、事務所は小規模なので、人事や輸出・輸入管理にいたるまで多岐にわたって仕事しています。また本社の社風や、日本・オーストラリア文化からくるカルチャーギャップから日々さまざまな誤解がうまれやすいため、日本語の会話、文章を現地スタッフに訳すときにも、できるだけその背景ともども説明するなど、2か国の架け橋となるよう日々つとめています。
平日1日のスケジュールを簡単に教えてください。
朝5時半起床。日本と違い、小学校にも中学校にも給食制度がないため、お弁当作りで一日をスタート。しかも、学校では11時ごろのモーニング・ティーと午後1時ごろのランチ、という2食システムが普通なので、毎日一人につき2食必要です。
朝、息子を学校まで連れていき、その後出社します。仕事を6時ごろ終え、その後帰宅、夕食。子供の迎えは主人がしています。
片づけを終え、翌日の準備をしてから、11時ごろ就寝。
出産して、ご自身の内面で何が一番変わりましたか?
自分が優先順位の一番じゃなくなったことです。
衣食住、生活のすべてにわたり、子供が優先になりました。ただし、それは子供が小さい時だけで、最近では子供も大きくなってきたので、また今後は少しづつ自分を大事にしていきたい、と思っています。
その他、時間、体力、などなどいろいろなコントロールが上手になりました。一日はたったの24時間。何事もできるだけ計画的に。計画の中には、自分の体力保持に必要な十分な睡眠時間や自分を甘やかす時間も含まれています。娘のダンスコンペのスケジュールが、いつも何か月か先まで決まっているので、突然倒れることは許されません。常に、自分の体の声を聞きながら、生活しています。
ご主人との家事・育児の分担について教えてください。
主人はファイナンシャルプラナーとして自分の会社を経営しているため、自宅勤務です。そのため時間に融通がきくので、学校に子供を迎えに行く仕事、また病気の日に学校を休んだ子供の面倒、などは主人の仕事です。週に何度かは夕食担当もしてくれているほか、子供の宿題を見るのも主人の仕事です。
オーストラリアの保育園事情は、日本と比べてどうですか?
オーストラリアは日本のような保育園制度ではなく、Long Day Careと呼ばれるサービスを利用することになります。時間は場所によりますが通常6:30から17:30までで、利用料金は約12,000円/日です。月極めでないので、月~金で利用するとすごい額になってしまいますし、17:30までなので、フルタイムだと迎えが間に合いません。また、小学校は車の走行速度が認識できるようなる10歳までは親の送迎が義務ですし、13歳までは子どもだけで家に留守番をさせることも法律で禁止されています。
そのため、両親が共働きをする場合、祖父母や周囲の協力、ベビーシッターさんなどが必要となります。全体的に見て、日本よりも厳しい環境かもしれません。
娘さんは3歳からダンスを始められ、多くの大会で入賞されていらっしゃいますが、子供の才能を伸ばす秘訣があれば教えてください。
もともと娘はとても活発な子で、ダンスの練習で疲れたら少しでもよく寝てくれるかなと思って、3歳の時に始めました(笑)娘も楽しかったようで、どんどん上達し、9歳でソロを演じるようになる頃には、私はすっかりステージママに。毎日レッスンをこなし、週末はどこかの大会に参加し、曲は私が編集し、娘が指定するイメージで衣装をオーダーしています。本人が好きなことを好きなだけさせてあげる。そのために環境を作るなどの努力をすることが秘訣でしょうか。
ちなみに息子は正反対。活発なタイプではありません。将来は科学者になりたい、と言って、毎日何かを調べたり読んだりしています。私たち夫婦はそれぞれの個性だと思っています。
ワーママとして育児&仕事をしていて良かった~!と思うhappyなエピソードを教えてください!
娘が学校のプレゼンで、私を働く母のロールモデルとして紹介してくれ、自分も私のようになりたいと言ってくれたことです。
育児&仕事をしていて大変なことありますか?
オーストラリアでは「母親が仕事で子供を預けると、成長が遅れてしまう」と言うような保守的な声もまだまだあり、「働くなら小学校入学後の方がいい」とされています。5歳頃までは家庭で育つことが多いので、私のように子供たちが赤ちゃんの時から預けているのは少数派でした。それに娘の時は、ただでさえ1人目育児だったので、プレッシャーも大きかったです。
何かできないことがあると、「やっぱり人に預けると遅れるわね」と言われたりもしました。
また、子ども達から「どうして友達のママみたいに家でケーキを焼いたりしてくれないの?」と不満をぶつけられたこともあります。保育料も高額ですし、どうしてここまでして働くんだろうって思うことも…。
でも、仕事を辞めてしまうと、せっかくこれまで築いてきたキャリアが途切れてしまう…と、当時はすごく悩ましかったです。
それをどうやって解決していますか(していこうとしていますか)?
もともと家庭の事、家事やお菓子作りなどが得意ではありませんでした。自分が得意でないものを無理して挑戦し続け、無理するのが“母親像”になるよりかは、自分は自分のありのままの姿でいいといつしか思うようになりました。例えば、お菓子は自分でおいしいと思えるものを選び家族と一緒に食べて、掃除は掃除サービスに頼むなど。子供にとっての母親像は人それぞれの選択でいいと思います。私にとってはそれが仕事を辞めないことでしたが、その結果いいこともありました。
- 経済的に余裕ができるので子どもがやりたいことをさせてあげる環境を作ることができていること。(ダンスのレッスン料や衣装って、本当にお金がかかるんです!)
- 夫に対して対等の立場に立てるため、発言権を持つことができる
- 子どもたちが「ママは仕事をしていてかっこいい!」と認めてくれる(ようになった)
迷うことはあっても、自分を信じて進めばきっと大丈夫だと思います。
育児と仕事、それぞれで一番大事にしていることは?
子供といる時には子供の事だけを、仕事をしている時には仕事の事だけを考えるようにしています。必要な時には人の手も借りるなどして、育児も仕事のどちらにもそれを言い訳にしない。それで上手くいかない時には最初の案に固執せず、諦めてほかの案を考えるようにしています。流動性も必要だと思っています。
お子さんをバイリンガルで育てる際に、工夫されていることなどあったら教えてください
バイリンガルに育てるのは実は案外難しいです。「日本語環境で生活し、英語環境の学校に行通っていれば自然に覚える」というほど単純ではありません。
テレビなど、できるだけ子供の気持ちをそそるもので、日本語を聞く習慣を持続させるようにしています。
これからの目標を教えてください。
子供が自分の目標に向かって進み続けられるように精神面、財政面で手を貸し続けること。それはどんな道であっても間違ってさえいなければ、何でもいいです。
最後に、サイトを覧の皆様にメッセージをお願いします!
子供が小さい時には何かとつい人と比べてしまいがち。子供に何かがあると母親である“自分のせい”にしてしまいそうになりますが、子供が成長するにつれ、それも減っていきます。子供自身の持っている強さと個性を常に見つめるようにすればきっとうまくいきます。家庭の形も子供の成長の仕方も人と同じである必要はありません。
永遠に思えるような育児も実はそれほど長い時間ではありません。育児のいいところは一年待てば状況がすごく変わること。今が大変でも来年は今よりは楽なはず。
小さいお子さんがいながらお仕事をしている方、くじけず頑張ってください!
インタビュー by 安原愛