今回のインタビューは、経営コンサルタント(中小企業診断士)の小紫恵美子さん!
主婦を経て、お子様二人が幼稚園生の時に経営コンサルタントとして独立された小紫さん。今では全国を飛び回り多忙な日々を送っていらっしゃいます。その中での家庭とプライベートとのバランスの取り方、そして周りが絶賛される情報収集スキルについて伺いましたが、すぐに実践できることばかりで必見です!また、現在は11歳と13歳のお子様のママとなった小紫さんからの力強いメッセージには、多くのワーママがほっと心が安心して力が湧いてくるはず。文中の記事( 日本は「良いお母さん」のレベルが高すぎる。 )も併せてぜひご覧ください。(千田)
プロフィール
・氏名: 小紫 恵美子
・会社名: 株式会社チャレンジ&グロー
・役職名: 代表取締役
・職種: 経営コンサルタント(中小企業診断士)
・簡単な経歴: 東京大学卒業後、NTT 入社。主に法人営業に従事。勤務中に中小企業診断士の資格を取得、結婚、退職、その後10 年ほぼ専業主婦ののち、中小企業診断士事務所OfficeCOM(オフィスコム)を開業。2015年11月に(株)チャレンジ&グローを設立。
・居住地: 東京都
・ご自身の年齢 : 43 歳
・お子様の年齢 : 13,11 歳
・ワークスタイル: フルタイム
現在のお仕事の内容を簡単に教えてください。
経営コンサルタントとして独立して 8 年経ちました。ずっと個人事業主でしたが、昨年秋に(株)チャレンジ&グローを立ち上げました。
仕事は一言でいうと、「伝える」ことです。3つのスタイル(コンサルティング、講義、文章)で、その時々に相手の方が求めていることを探り、自分の専門知識と経験、思いを伝えるお仕事をしています。
経営全般が対象となりますので、専門分野は主に「数字、ヒト」に関すること(財務管理会計、マ ーケティング、ロジカルシンキング、人材育成など)です。また、2014 年から、これらに加えて女性活躍推進や働き方に関するお仕事を引き受けることが格段に増えました。こつこつと記事を書き、途中から東洋経済オンラインやプレジデントウーマンオンラインにも記事を掲載していただいたり、ラジオで働き方について対談をさせていただいたりしました。
自分自身が大企業⇒専業主婦⇒独立⇒会社設立、という様々な仕事のスタイルをとりつつ、その間に出産育児もしてきたので、特に女性のライフステージごとの気持ちの揺れ、不安などに共感しながら、活き活きと働き続けるために必要な「マインドとスキル」を身につけるお手伝いをしています。
今まで専門家として知識と経験を積んできたマネジメントに加えて、自分自身が働き方を模索 (あるいは悪戦苦闘・・・)してきたことで誰かの役に立てる、ということをとても嬉しく思っています。
平日1日のスケジュールを簡単に教えてください。
(毎日ばらばらです(笑)が、一例として、ある平日)
5:00 起床(瞑想、座禅など)
6:00 長男のお弁当準備等開始
8:00 子どもたちを送り出し、メール/ニュースチェック等
~18:00 クライアント先でコンサルティング/講師業、orテキスト作成、執筆その他
※集中的に打合せを入れる日と、じっくり思考/作業する日にできるだけ分類しています
※合間に次男の「塾弁」をつくる日もあります
18:00~ “家モード”にチェンジ、夕飯等家事スタート
夕飯時間は長男部活、次男の塾等の時間によりばらばらですが、とりあえずよくしゃべっ ています。
22:00~ フリータイム
24:00 前には就寝するようにしています。
出産して、何が一番変わりましたか?
時間の使い方と食事ですね。
まず、時間の使い方については、子どもの成長とともに変わります。乳幼児期は、きっと自分の時間なんてもう私は持てないんだわ、と思っていましたが、子どもが成長するにつれて、仕事の時間や 「自分のための時間」がとれるようになってきました。
食事は規則正しい食事、内容もなるべく身体にいいものをという思いが強くなりました。ただ、毎日のことなので無理をせず、自分ができる範囲で人から教えていただいたいいものを取り入れるようにしています。この夏休みにぬか漬けを始めました!
ワーママとして育児&仕事をしていて良かった~!と思うhappyなエピソードを教えてください!
これも彼らが成長するにつれ、なのですが、自分の仕事場(事務所)を見せたり、あるいは私が書いた記事を彼らが読んでくれたりしていることで、私の仕事の内容や、仕事に対する想いについて 理解が進んだことはお互いによかったと思います。
以前私の仕事について彼らに聞いたときに長男は「たくさんの人と関われるからいいなと思う」、次男は「僕はもっと寝たいからやだなあ」(今はずいぶん当時より寝るようになりました 笑)と言ってい て、まあよく見ているなあと思うとともに、周囲の仕事をしている大人と話す機会を多く持って、彼らなりの「仕事観」を育てていってほしいなと思っています。
周りの仕事仲間が子どもたちを大人扱いしてしっかり接してくださることにもとても感謝しています。
育児&仕事をしていて大変なことはありましたか?それは何ですか?
独立時の両立でしょうか。二人とも当初は幼稚園に通わせていたため、日中は幼稚園ママとして公園に連れていったり、バザーなどの行事準備をしたりといろいろしていました。結構楽しかったんですよね。何十年ぶりにミシンを出したりして、縫物したり、ケーキを焼いたり。それに、自分が体調を崩したりした ときも含め、どれだけ家族や周りのママ友に助けられたか。本当にありがたかったです。
仕事は最初平日の夜と土日にしていたのですが、独立したてで何をするにも時間がかかり、しかも子どもたちもまだ小さかったので、昼間の小さな男児二人のママ業だけで相当へとへとだったことを思い出します。起業して 1 年目は何度もソファーや PC の上で目覚めたことがあります。今思うと・・・絶対肌に悪いですね(苦笑)。
それをどうやって解決していましたか?
子育てを一人で抱えなかった、ということかなと思います。行政機関のサービスをこまめにチェックしていたのと、ママ友との情報交換を大事にしていたことによって解決しました。仕事をするにはどうしたらいいかしら、と思って探していると、「派遣型保育」が行政で始まっていることをママ友から聞いたり、子どもがお泊りできる託児所ができていたりして、本当に助かりました。
とにかく子育てを手伝ってくれる周りの大人の人たちにたくさん頼って、なんとか仕事を続けることをしてきたように思います。ありがたいことに、その大人の方たちがとても彼らをかわいがってくださって、私もおおらかな気持ちで子育てができたように思います。
ご家族との家事育児分担、アウトソース利用等はどのようにされていますか?
現在は息子たちが成長してきたので、彼らへの教育に重点を置いています(笑)。持ち帰った自分のお弁当は自分で洗うように、お米は研いで炊飯器で炊けるように、洗濯機を回してアイロンは自分でかけられるように、程度まで仕込みました。しかし、片付けが・・・。
仕事でどうしても遅くなる時は、私の留守中に火を使わ ずにすむように、朝お弁当を作りながら夕飯まで仕込んだりすることはあります。塾のお弁当を塾が用意してくださるものに頼ることもあります (体に優しい食材を使ってくれていてとても助かります)し、時々は市販のものを買って持たせたりもします。「毎日のことだからこそ、ムリはしない」のはここでも同じです。
最近、家事代行の会社さんに登録だけしたので、今度トライしてみようかと思っています。
ご出産後、主婦をされながら勉強をされていたとのこと。当時はどのようなタイムスケジュールの日々だったのでしょうか?また、当時大変だったこと、逆にとても良かったことを教えてください。
基本的に子どもを見てもらっている間、彼らが寝ている間に勉強、ですが・・・日々是決戦、みたいな感じでしょうか。子どもが小さいときって、スケジュールがたてられないんですよね。もう、世界で一番愛おしく、世界で一番思い通りにならないクライアントみたいなものです(笑)。それこそスケジュールは無視だし、納期(たとえば家を出る時間)が迫っているのにとんでもないことをしていたりするし。こ うしたことの繰り返しで「想定外」に動じなくなった気がします。
ただ、そんな中よろよろとした歩みであっても、「働けるように」と意識して勉強を続けていたことは今とても役に立っています。まず独立当初に、勉強していた会計や税務関連のテーマを主として仕事が できたことは大きかったです。
また、自分自身が実はこの分野について「つまらないなあ」というところからスタートしているため、今、教える側にたったときに、どこがわかりづらいか、どこがつまらない原因なのか、どこがわかると「面白い」と思えるのかがわかるようになったことでしょうか。
各地を飛び回りながらも、情報収集力がすごい!と伺っています。小紫さんの「情報収集術」をぜひ教えてください。
ええと・・・そんなにすごいかわかりませんが、3つほど。
- 日経新聞やオンラインのビジネス誌数誌を毎朝ばばっとPC、あるいは移動中にスマホで見て、記事をクリッピング。気になるものは DB にします。あらかじめ登録したキーワードの記事をメールで送ってくれるサービスなども活用します。あまり完璧主義は目指さず、記事を読んだ自分の印象を大事にしています。
- ママ友はじめ友人や仕事仲間との情報交換。
- 思いついたことをすぐにノートにメモ(小さいメモ、ふせんを持ち歩く)
1 は、自分の仕事について常に最新情報を得ることを目的としています。以前はとにかく早く反応することを心がけていましたが、今は、日々流れ込んでくる情報をストックしつつ流されずに、2にあるように人とディスカッションしたり、可能なら直接話を聴いたりします。その上で自分の意見に落とし込み、 クライアントの問題発見/解決に役立てるため、文章を書くために背景、歴史、全体の中の位置づ け等も合わせて考える時間をとるように努めています。
アイデアを思いついたら3、ですね。即時性が求められることに加え、自分の見解をもう一歩深めて考えたい、と思うようになりました。
1から3の番外編で。最近あなどれないのが、新聞好きの次男が毎朝こども新聞の内容を要約して口頭で伝えてくれることです(笑)。私の仕事を知っているので、「働き方」についての記事の時には特にちゃんと教えてくれます。
出張が多いとのことですが、うまく家庭と両立する考えや方法を教えてくださいませ。
おかげ様で出張は以前より増えてきました。息子たちは最初さみしいかと思いましたが、案外私がいないほうがちゃんと勉強していたりして、なんだかなあと思うこともしばしばです。しっかりしないと、とかって思うのかもしれません。 うまく両立、という観点からすると、楽しそうに行くこと、安心させることですね。そのためには、何の仕事で出張に行くのか、どんな人たちに会うのか、ということを事前に話します。
私は息子たちが呆れるほど新幹線好きなので、そのネタも合わせて。フェイスブックにはたまに「鉄子」ネタの新幹線写真をアップします。
実用的な部分としては、行く前に大好物(今は大量の唐揚げ)のおかずをつくりおきしていくこと、 出張先から朝晩は電話かメールをして、おはようとおやすみは伝えることくらいでしょうか。あと、お土産は絶対です!買わないと怒られちゃいます(笑)。
いわゆる「自営」だと、プライベートと仕事の区別がつかなくて大変なことはありませんか?
はい、起業してしばらく、とても苦労したところです。そもそも子育てに休みがないですし、独立当初は休んでいるとかえって不安になる、なんていうことも。でも人間ですし、休まないと体力も持ちません。年齢を重ねると確実に体も変化しますし、いつもベストなパフォーマンスを出すために、自分の心身の状態を整えておくことは大事な仕事のひとつだと考えるようになりました。私なりにしている工 夫としては、頭と体を休ませる時間を短くても捻出すること、休むときはしっかり休む、の 2 点に気を付けることでしょうか。
たとえば平日でも午前中には仕事をすませて午後はオフにする、といった取り方でもいいですし、あるいは仕事のすきま時間に 2 時間美術展を見に行く、という休み方もしたりします。どう休息をとって いくかを決められることも自営業の強みです。今後もいろいろな方法を試そうと思っています。
休むときには電子デバイスから遠ざかることが多いですね。普段都心にいるからこそ、自然に触れられる環境に身を置いたりすることもします。瞑想や座禅もとても休まりますよ。
育児と仕事、それぞれで大事にしていることは?
育児では、とにかく子どもに本気で向き合うこと。仕事では、誠実であること。
今後の目標やプランを教えてください。
仕事:健康で長く楽しく働き続けること。子どもたちのためにも、大人が活き活き働ける社会を残していきたいと思うようになりました。そのため仕事の中心テーマを「働き方」に据えています。各企業、 各職場では現状、それに対する打ち手は千差万別です。そこに講義やコンサルティングの形でかかわり、じわじわと変化が出てくるように取り組みたいと思っております。「笑顔で働ける職場」を増やしていきたいのです。
子育て:成長してくるにつれて子どもたちもどんどん変わってくるので、その変化も楽しみつつ、後ろからついていって、彼らが振り返ったら必ずいる、そんな安心させられるような親でいたいです。
最後にこちらのインタビューをご覧になっている方に向けてメッセージを。
特にお子さんが小さいときには、育児と仕事双方を進めていくことは、本当に大変なことが多いと思います。私も、涙したことも多々ありました。特に、日本では「お母さん」はすごく求められるものが多く て、こんなことじゃ母親失格かもと思ってしまうこと、ありますよね。そうした私自身の思いから、書いた記事があります。
でも、子どもはお母さんが元気で笑っているだけで安心することが多いようです。どうか、一人で抱え込まずに、できるだけほかの人の手を借りてください。行政サービスも年々進化していますので、ぜひチェックを。「助けて」 と言えることが大事だと思います。
それと、完璧主義ほど母親業に向かないものはありません。私はとっくに放棄いたしました(笑)。 子どもの寝顔をみて、「今日もつつがなく育てられてよかったなあ」と思って自分もぐっすり眠る(=寝落ち)、くらいでちょうどいいのだと思います。イライラしたり、「きいいいいっ」となったりしたら、一回後ろを向いて、深呼吸して、おいしいものを食べて飲んで笑って、気持ちをたて直して、また進めばいいんです、きっと(笑)。
大変な「今」はずっとは続きません。私も、七転び八起きでここまで何とか来た感じです。これからも、 子どもと一緒に成長していくつもりで、頑張りすぎず、楽しめたらいいですよね。
インタビュー : 千田 絵美