中山さんは、タイトルにあるようにフルマラソンのごとくペース配分をしつつ、ネット業界でバランスよく挑戦し続ける姿がかっこいいパワーママ。
息切れしないためにも、そして後から後悔しないためにも、どうチューニングしていくのか。共感と気付きの多いインタビューです!
プロフィール
・氏名:中山理香
・会社名:楽天
・職種:マーケティング
簡単な経歴
大学卒業後、広告系ベンチャー「オックスプランニング」に入社して営業やサービス企画、編集、新規事業立ち上げなどいろいろ経験(5年在籍)
結婚・出産を機に育児に専念するため退職(専業主婦3年)
化粧品「ハーバー研究所」に入社して広報宣伝部に所属。光栄なことに前職のクライアント企業からお誘いいただいて。(2年在籍)
IT「サイバーエージェント」に入社。webプロデューサーとしてメール媒体、金融系比較サイトを企画運営。当時の子会社ボヤージュグループに出向してEC事業の責任者、人事の責任者、スマホのアプリのプロデューサーなど経験(11年在籍)
現在は「楽天」にてグループサービス全体のマーケティングに従事。
・ご自身の年齢:1970年生まれ
・お子様の年齢:1997年生まれ
現在のお仕事の内容、ワークスタイルを簡単に教えてください。
現在は楽天のグループマーケティングに従事しています。
平日1日のスケジュールを簡単に教えてください。
4:30起床 朝風呂しながら読書でまったり
6:00 自分の身支度と家事(洗濯やかんたんな掃除も)
7:00 息子を起してごはん&身支度
8:00 息子とほぼ同時に家を出る
9:00 出社
19:00 退社
20:00 帰宅して夕食の用意
23:00 夕食の後はそのままおしゃべりしたり、テレビを見たり、家事を済ませたり、仕事の残務にあてたりと日によってさまざま。だいたい23時頃に就寝。
出産して、何が一番変わりましたか?
(1)子供が好きになった。
独身時代は子供は好きじゃなかったし、自分の生活のペースも崩したくなかったから、一生子供を持つことはないんだろうと思ってました(笑)。
でもいざ結婚して子供ができたらすごくかわいくて、他人の子供も可愛らしいと自然に思えるように。自分と他人の間に明確に存在していた境目があいまいになって、むかしよりは愛情の深い人間になれたように思います(笑)。
(2)肝が座った
かつては、仕事でも何でもその気になればコントロールできると過信してた自分でしたが、育児を経験して、この世にはどうにもならない事があるんだとしみじみ実感しました。予測不能な子育てのあらゆることに比べたら、仕事はまだまし。人生の経験値も上がったので、不測の事態にも動じなくなったような気がします。
ワーママとして育児&仕事をしていて良かった~!と思うHappyなエピソードを教えてください。
仕事でしんどいことだって当然あるんだけど、家で子供と一緒に過ごすことで癒される。子育てでストレスを感じることがあっても、逆に仕事でリフレッシュできる。子を持つ親ならきっと経験があると思うんだけど。
育児&仕事をしていて大変なことはありましたか?それは何ですか?
自分はちゃんと子育てできているんだろうかという考えても答えがでない悩み。
それをどうやって解決していますか?
完璧主義を捨てる。
例えば、手作りの凝った料理を毎日食べさせたいと思うんだけど、それよりも子供と食事を楽しむ時間を確保する方を大事にしたかったので、お料理は手抜きでも時短を重視、たまにお惣菜、もうだめだって日は保育園の帰りに近くの食堂で外食…だけど親子で楽しくご飯の時間があることが大事だよね、って感じで。一番大事なところだけ抑えてたら、完璧じゃなくてもいいよねって思っています。
育児と仕事、それぞれで一番大事にしていることは?
子供が幼い頃は、いつもニコニコしている母親でいようと努めてきました。小学校ぐらいからは息子と将来の話なんかもするようになりますね。だからその頃からは、自分が楽しくかつ責任感もって仕事に取り組む姿をなるべくたくさん伝えようと努めてきました。一番身近な社会人である親を通して子供にとっての仕事観や社会観が形成されていくんだと思うので。社会に出ることに夢だって希望だって持って欲しいし、仕事の楽しさを感じて欲しいし。
だから適当なところで妥協した仕事なんてできない。私にとって仕事とは息子に見せる背中だから。その点では、子育てと仕事は対立する要素じゃなくて、子育てしてるから仕事がんばる、仕事がんばるから子も育つ、という両立するものなんだと思います。
チャレンジしながら、バランスも取っている中山さん。人生ポリシーがあれば教えてください。
子育てしながらする仕事ってフルマラソンのようなものだと思ってます。瞬間のラップじゃなくて、42.195キロ完走することが目的で、いちいち他人のペースに振り回されてたら最後まで持たないし、精神的に苦しい。だから自分だけのペース配分が大事なんだと思ってます。実際に子供が小さい頃は、横を追い抜いていくランナーを見送ることもあったけれど、今は子供の成長段階にあわせてペースを変えてるところ。ゴールまでは長いからエネルギーの充電もまだ必要だし。
「子供ができたら、『仕事で20年後にブレイクする』準備を始める」…これはある本(「ラクをしないと成果はでない」(日垣隆))の言葉なんですが、わたしの場合は息子が大学を卒業する2020年をその時と決めているので、2020年プランと勝手に呼んでその日を楽しみにしてます(笑)。
早帰りの事業責任者、どうこなしていたか教えてください。
・制約条件のなかでやりきるということにコミットした。
仕事をする時間は限られるので、時間内に収めるためにどんなペース配分で、何を優先するべきか…と考えることがマストになりました。自分がやるべきでない仕事をメンバーに振ったり、優先順位の低い仕事を削ったりして。仕事を振るとか、任せるとかが自然にできるようになったのは、子供ができてからです。
・時間を大事に使った。
会議に呼ばれても、内容を聞いてそこに自分が必要でないと思えば「それってわたしの参加必要ですか?」と聞いていました。あとは、ランチで一時間休憩するよりは、少しでも早く帰宅して家にいる時間を増やしたかったので、特に予定がない日はデスクでお握りたべながら仕事したりとか。
帰ったら息子さんがお料理作ってくれるとか。どうしたらそんな息子さんに育つのでしょうか?
自分が料理を楽しむってことだけだと思ってます。面白そうだからやりたいって思うから、あとは好きにやらせてたまに教えてあげてるだけです。子供ってすごいクリエイティブで、レシピとか勝手にアレンジして作ってます、見てて面白い。
ちなみに真面目な話、将来はきっと父親にもなるだろう息子には、料理ぐらいはこなして奥さんと家事を分担できる大人になって欲しいと思ってるから、必要だと思ってやってもらってます。
「晩メシ日記」を書いているくらい、夕食を息子さんととることを大切にしている中山さん。フルタイムで仕事してちゃんとご飯を作るために、どのように運用?しているのか教えて下さい。
毎週末に一週間分の献立を決めてネットスーパーで食材まとめ買い…これをパソコン上で一気に処理します。
具体的には、まずタブブラウザで「ネットスーパー」「レシピサイト」「グーグルカレンダー」を立ち上げてネットスーパーにログインします。
次に、レシピサイトで月曜日の献立を決めて、必要な食材をネットスーパーの買い物かごに入れる。献立は忘れないようにグーグルカレンダーに登録します。
月曜日の食材を確保したら、順に火曜、水曜…と一週間分の献立を決め、食材を購入を完了します。材料が日持ちするように生もの(お刺身や肉魚)は週の前半に集中させるとか、食材を使い切れるように計算して献立組むとか、旬の食材を多めにとか…工夫するのが楽しいです。無駄買いもしないから食費もかなり圧縮できて経済的なのです(笑)
習い事も始めたとか!オフの話も教えてください!
去年の夏から週に一回アトリエで油絵を描いてます。
ハイスピードで動くIT業界で仕事をしていると、時間がフロー状態でどんどん流れていくことに慣れてしまいます。でも油絵は一回描いたらまた重ね塗りして、さらにまた重ねて…ということを何度も繰り返して奥行きや深みを出していきます。その時間のストックを楽しむ感じが新鮮で、かつ精神的に落ち着くんです。普段と逆のことしているから、精神のバランスがとれて気持ちがいいんです。
お子さんが高校生になってからのネット系転職。希望を与えてくれました!
転職って、コツコツ積み重ねて来た信頼残高をリセットする行為だから、必要がないならしない方がいいって思ってきました。信頼があるからこそ大きな仕事や重要なポジションを任せてもらえるわけで、その信頼をリセットするなんて怖過ぎるし…。
でも今回はたまたま機会をいただいて、それが自分には必要だと直感したので、苦労を覚悟して飛び込んでしまいました。実際に、会社の規模が違う、仕事のスケールが違う、社風もマナーも違うしで、ただいま脳内チューニング中です。こんな別世界に飛び込むなんて、勇気あるよなと我ながら思います。でも、この緊張感は嫌いじゃないんですよね…。
中山さん、どんどん挑戦して進化していっていますよね。普段意識していることなどあれば教えて下さい!
座右の銘は林真理子氏の名言で
「やってしまったことの後悔はどんどん小さくなるけれど、やらなかったことの後悔はどんどん大きくなる。」
失敗しても死ぬわけじゃないんだから、とりあえずウジウジ悩むよりはやっちゃいます。
中山さんの目指す所を教えて下さい!
オバさんになっても常に前線にいること。いずれ「やり手ババア」とか呼んでもらって構わないです。
さらに「ヤリ手ババア、実際に会ってみたらぜんぜんババアじゃなかった」とか言われたらうれしい(笑)
最後に、オーディエンスのワーママ、未来のワーママにメッセージをお願いします。
「子供は3歳までに一生分の親孝行を済ませる」って聞いたことがあります。3歳までに子供が親に与えてくれる喜びや感動などの恩恵は、一生分の親孝行に相当するほど価値があるものだということらしいです。そして、事実それを実感しています。子供の存在そのものがありがたいというのはもちろんだけど、自分自信が子育てで苦労もして悩みもして、それで成長できるから。人は成長したから親になるんじゃなくて、子供が親にしてくれるらしいです。私もまだまだ未完成の親だけど、子育てってそんな感じです。
インタビューby 椿