今回のパワーママインタビューは、「タスカジ」や「cozreマガジン」の広報担当として活躍するフリーランスのPRプランナー、平田麻莉さん。
現在は2歳の男の子のママをしながらフリーランスでお仕事をされていますが、お子さんを保育園には預けずに働くという新たなスタイルを実践中でいらっしゃいます。PR会社勤務や大学院生、専業主婦などの経験を経て、平田さんがフリ-ランスでお仕事を始めた理由、また実践中の新たな働き方についても伺いました。
ご自身について教えてください。
・氏名:平田麻莉
・会社名:フリーランス
・職種:PRプランナー
・簡単な経歴:
大学3年の終わりに出来立てホヤホヤのPR会社に飛び込む。最初の仕事はオフィス探し。「24時間戦えますか?」な仕事人間生活。
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大学に出戻り。留学したり、様々なイベントを立ち上げたり、久々の学生生活を満喫。
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大学職員(広報、国際連携)と博士課程学生との二足のわらじ生活。
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妊娠、出産を機に退職・退学。在宅での書き仕事に絞って、しばらく子育てに専念。
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フリーランスのPRプランナーとして社会復帰。(イマココ)
・居住地:東京都中央区
・ご自身の年齢:32歳
・お子様の年齢:2歳の息子(2013年生まれ)
・ワークスタイル:フリー
現在のお仕事の内容を簡単に教えてください。
家事代行マッチングプラットフォームの「タスカジ」https://taskaji.jp/ 、パパママ向け子育てナレッジシェアメディアの「cozreマガジン」https://feature.cozre.jp/ の広報を担当しています。その他に、ビジネススクールで用いられるケースメソッドという教育手法を使った企業の経営幹部向け研修教材の制作や、経営学の書籍の翻訳といった書き仕事を、プロジェクトベースでお手伝いしています。
平日1日のスケジュールを簡単に教えてください。
5:00 息子が起床、半分寝ぼけながら一緒に遊ぶ
6:30 朝食、お風呂、身支度など
9:00息子をプリスクールへ送って仕事へ(移動時間はメールチェックやchatwork)
10:30 クライアントオフィスで打ち合わせ
12:00友人や知人とランチ
13:30 メディアとの打ち合わせやPCワーク
16:30 仕事を切り上げて、息子のお迎えへ
17:30 帰宅、夕食準備
18:00 夕食、息子シャワー
19:00 息子と遊ぶ
20:00 寝かし付け(だいたい一緒に寝落ち)
22:00 主人が帰宅、夫婦の会話
23:00 PCワーク
1:30 就寝
お仕事を続けられてきた中で、結婚や出産のタイミングは理想通りでしたか?
基本的に成り行き任せで「人事尽くして天命を待つ」という言葉が好きなので、もともと大した計画はなかったのですが、妊娠が分かった時は学生で、ちょうどこれから本腰を入れて学位取得まで4~5年ほど集中しなければというタイミングだったので、正直戸惑いが大きくて素直に喜べませんでした。今となっては、息子と引き換えにする価値のあるものなんて何もなかったというのが率直な実感ですが、当時は「これからの自分のキャリアはどうなってしまうんだろう、今が本当に産むべきタイミングなのだろうか」とモヤモヤしていました。今思えばマタニティブルーもあったのでしょうが、妊娠報告をした私の様子を見て心配した指導教官が、キャンパス附属のカウンセリングを勧めてくれて受診したくらいです。カウンセラーの先生の「出産は自分の世界を狭めるものではなく、むしろ拡げるもの」という言葉に救われ、また、その後妊娠初期の体調不良が緩和するにつれて、出産が楽しみになりました。
出産して、ご自身の内面では何が一番変わりましたか?
自分よりずっと大切なものができたということでしょうか。それまでは好奇心の赴くまま自分勝手に己の進む道を選択してきました。しかし、主人と結婚したことで「自分と同じくらい大切な存在」ができ、息子が生まれたことで「自分よりもさらに大切な存在」ができました。
お子さんを保育園には預けずにお仕事をされているそうですね!そもそもそうしたことを考えたのはどうしてですか?そして、実際にそうしたスタイルを続けてみていかがですか?
出産するまでは「サクッと産んでサクッと預けてサクッと復帰する」と周囲に宣言していたのですが、いざ産んでみると自分でも驚くほど価値観が変わりました。子どもと一緒に過ごすなんのことはない時間がとにかく幸せに感じられて…。もともと顔の見える誰かに必要とされることを遣り甲斐として仕事に夢中になってきたタイプなので、今は代替不可な存在として誰よりも自分を必要としてくれる家族に全力を注ぐことが、一番自然で幸せなことかもしれないなぁと。そういうわけで産後1年間ほど悩んだのですが、大学院を辞めて専業主婦の道を選びました。
しかし、1歳半を過ぎたころから息子の元気が爆発してきまして(苦笑)。幼稚園入園までの長い間、この子の好奇心と動きたい欲求を満たすだけの刺激を一人で与え続けるのは無理だと判断し、息子をプリスクールに通わせることにしました。つまり、お手上げです(笑)。保育園も一応検討しましたが、もともと学生→専業主婦でしばらくフルタイム勤務をしていなかったこともあり、区役所の窓口で「ほとんどポイントが付かないし待機も多いので難しいでしょうね~」と言われて諦めました。
ただ、息子がプリスクールに通うと、こちらは急に暇になってしまいます。有難いことに専業主婦宣言をしてからもお仕事の相談をちょこちょこ頂いていたので、登校開始のタイミングで在宅仕事以外もお受けすることにしたのが社会復帰のきっかけです。
今はまだ自分が子離れできなくて、週3で息子がプリスクールに行っている間(プラス息子が寝た後)にできる範囲の仕事に絞らせていただいて、週4は相変わらず息子と児童館や公園に行ったりママゴスペルの活動をしたりしています。日によってワーママと専業主婦の両方の気分を味わっているのですが、結局どちらの時間ももっと欲しくて、欲張りだすときりがありません。しばらくはこのバランスの中で肩ひじ張らずに頑張ろうと思っています。
なぜフリーランスという働き方を選択されたのでしょうか?またフリーランスになってよかったですか?
フリーランスの仕事は、自分の性格や現在の趣向にマッチしていて、幸せな環境だと日々感じています。性格面でいうと、やりたいことがたくさんありすぎて一つに絞れないことが多いので、社会性や意義を感じてお手伝いしたいと思ったサービスや企業を複数同時にお手伝いできる点が魅力です。PR会社時代も多い時は10社以上の案件を担当していたので、マルチタスクで集中力の矛先をちょこちょこ切り替えていくスタイルが性に合っているのかもしれません。また、仕事をする時間や場所にとらわれない柔軟さも、子育てしながら働く上で助かっています。息子が遊んでいるのを見守りながら、片手はスマホでchatworkやメール対応、原稿チェックなどしていることもしょっちゅうです。プリスクールの行事や両親の来京に合わせてスケジュールを組み立てられたり、病気の時に傍に居られたりするのも、クライアントの理解があってこそですが、本当に有難いことです。
この働き方を選択した理由ですが、母の姿を見てきて、自然な流れでこうなったような気がします。母は、転勤族の父と一緒に引っ越しを繰り返しながらも、行く先々でマイペースに社会との関わりを作っていました。2歳の私と0歳の弟を抱えて当時住んでいた福岡から東京に通ってフォークペインティングの講師資格を取得し、お教室や個展を開いたり。引っ越すたびにキャリアが変わるので、元バレリーナ、元ローカル局のキャスターという経験を活かして、テレビレポーターやラジオの仕事をしたり、バレエを教えていた時期も。子どもが親離れした後は地元でNPOを立ち上げ、現在は市議会議員をやっています。
絵の仕事で留学したり、海外ロケで出張したりといった時には、祖母やお手伝いさんに面倒を見てもらったこともありますが、基本的にはいつも「家族が第一」と宣言して出来る範囲の活動しかせず、洋服やおやつは手作り、中高の6年間も今でいうデコ弁を毎日作ってくれるような母だったので、母が働いているという認識をあまり持っていませんでした。当時はそういうワークスタイルが一般的でなく、「共働き(いわゆるお勤め)」か「専業主婦」という二択の表現しか知らなかったので、つい最近まで自分の母は単にじっとしていられない性格の専業主婦だと思いこんでいたんですね。友達に「お母さん働いてる?」と聞かれると何の疑いもなく「専業主婦だよ」と答えていました(笑)。でも、よく考えてみるとこれは現在で言うフリーランスのワーママの姿そのものですよね。なので、母が自分のロールモデルになっているんだと思います。
子育てとお仕事の両立にあたり、何か工夫していることはありますか?
ワーママの皆さんにとっては普通過ぎてあまりバリューのない情報かもしれませんが、私もITの恩恵を積極的に受けている一人です。たとえば、どこでも隙間時間で仕事ができるように、仕事関連のファイルはすべてDropboxやGoogle Driveに整理して、メールやカレンダーと共に、iPhone、iPad、PCで同期しています。そして、PCでしかできない仕事、移動時間や待ち時間でする仕事、家事や遊ぶ子どもの見守りをしながら頭の片隅で考える仕事というのを、ざっくり分けて意識しながら進めるようにしています。
また、仕事と育児に関すること以外は思い切って優先順位を下げて、仕事先はもちろん、家族を後回しにしないようにしようと決めています。実際には理想どおりにはいかず、息子にYoutubeを見せながら仕事をしたり、主人の話を半分聞きながらPCに向かったりしてしまうこともあるので日々反省なのですが、それ以外の家事やプライベートに関しては心苦しいながらもだいぶ疎かになってしまっています。友人同士のLINEなども返信が1週間以上遅れてしまうこともしょっちゅうで、この場を借りてお詫びしたいです(汗)。
ワーママとして育児&仕事をしていて良かった~!と思うhappyなエピソードを教えてください!
・育児では・・・寝かし付けの日課で、息子が「ギューっ(ハグ)、チューっ(キス)、ダイスキー、シアワセー」と言ってくれるのが至福の時です。
・仕事では・・・クライアントがスタートアップなので、メディアへの露出がダイレクトに事業の数字に反映されます。ユーザ数やアクセス数が急増したりする手応えが感じられて嬉しいです。
ご主人との家事・育児分担はどうしていますか?
主人はわりと平日の帰りが遅く、週末も仕事や趣味に忙しいのですが、毎朝息子をお風呂に入れるのと、夕食の後片付けと翌朝の炊飯セット、ゴミ捨ては主人が担ってくれています。また、書き仕事の締切り前や出張時など、本当に必要な時には必要なだけ集中する時間を作ってくれるので感謝しています。
育児&仕事をしていて一番大変なことは?
・育児では・・・やんちゃな息子を追い回すのが大変です。毎日のように全力疾走する場面が…。男の子兄弟を育て上げた方から「〇〇くんのお母さんは大変ね~」と同情?苦笑?されることもしょっちゅう。二人目が産まれたらどうなることやら、想像がつきません。
・仕事では・・・やはり出産前と比べるとどうしても不完全燃焼感があるのは否めません。稼働時間が限られているので、「現在は戦闘力30%なのだから」といつも自分に言い聞かせ、仕事量のコントロールは慎重にと自制しているのですが、本当はもっとやりたいのにやれない葛藤と常に戦っています。気になるタスクを巻き取れなかったり、楽しそうなお仕事の依頼を断ったりするのは辛いです。
それをどうやって解決していますか(していこうとしていますか)?
息子に関しては、早く文明化してくれるのを待つことくらいしかないのですが、仕事に関しては、以前にある方が仰っていた「一旦しゃがんでからジャンプしたほうが高く跳べる」という言葉を胸に刻み、今はしゃがむ時期なんだと思い起こすようにしています。
育児と仕事、それぞれで一番大事にしていることは?
・育児では・・・極力こちらが誘導したり手伝ったりはせず、本人の自主性や好奇心を尊重して見守るスタンスを心掛けています。転びそうになったりぶつかりそうになったりしても、危ないよと声をかけるだけで基本的には手を貸しません。転んで起き上がって学習してくれればいいかなと(笑)。
・仕事では・・・個人的な好みですが、単なるコンサルやアウトソーサーとして自分の職務領域を限定するのではなく、社員と同じように、落ちそうなボールを拾いあうスタートアップチームの一員でありたいと思っています。自分自身がもともとスタートアップで育って経理財務と法務以外のたいていのことを経験させてもらっていたので、広報に限らず経営全般が面白いし、何より創業期の濃密な空気が大好きなんです!なので、名刺もメールアカウントもそれぞれのクライアント企業のものを付与して頂き、社内の様々な情報網に入れてもらっています。たとえばタスカジであれば、広報以外でも、タスカジさんの採用教育、サービス設計、システム改善、資金繰りなど、様々な話題を4人のメンバーで毎日議論しています。契約内容からすると完全に余計なお世話ですし、そんなことをしているとあっという間に工数オーバーになるのでフリーランスの態度としては本来不適切かもしれませんが、やっぱりスタートアップが好きだし、このスタンスで関わらせてもらうのが幸せです。
これからの目標を教えてください。
・育児では・・・自分ならではの道を切り拓けるたくましさと、どんな状況でも幸せだと感じられる心(老子の言う「足るを知る」というか、ある意味で幸せの閾値が低いこと笑)を子どもたちが身に付けられるよう、支援していきたいです。
・仕事では・・・今後も先ほど話したようなスタンスで様々なスタートアップのお手伝いをしていきたいです。今は口を出すだけで広報以外の実作業を巻き取れないキャパの狭さが自分でも恨めしいのですが、息子が大きくなったらもっと経営全般にガッツリコミットして事業成長に貢献できるようになりたいなぁといつも思っています。そのために、家族を第一優先にロケーションフリーで仕事をしながらも、きちんとバリューを発揮できるだけの知識や経験を積んで精進していきたいです。
サイトをご覧の皆様(ワーママ仲間)にメッセージをお願いします!
私自身、まだワーママ歴4ヶ月程度でまさにいろいろ模索中&悩み中です。でも、私たちの子どもが大人になる頃には、女性が働き続けることは当たり前で、「ワーママ」という言葉はもはや死語になっているかもしれません。私たち世代の試行錯誤や発見が次世代の資産になると考えると、ワクワクしますよね。大変なこともたくさんあると思いますが、みんなで未来へ送る知見を蓄積していきましょう!
インタビューby 柴田 広夢