今回のインタビューは、フィンランドやマレーシア、北京など世界中で東洋伝承医学を学んでセラピストとして独立されている池田早紀さん。私個人的にも、世界最古の医学とされているアーユルヴェーダに非常に興味があり、特にワーママの皆さんには身体と心との健康を保っていつも自分らしく笑顔でいられるために、アーユルヴェーダの考え方はとってもおすすめです。
早紀さんご自身はめちゃくちゃ癒し系でお話しているだけでとろけそうになります(笑)。お仕事や育児の合間に肩の力を抜いて読んでいただけると嬉しいです。
プロフィール
・氏名:池田早紀
・職種:セラピスト
・居住地:東京都杉並区
・ご自身の年齢:31歳
・お子様の年齢 :2012年9月生まれ、1歳
・ワークスタイル:個人事業主
・簡単な経歴 :
2003年上智大学教育学科在学中にダブルスクーリングで、東洋伝承医学研究所 日本アーユルヴェーダ・スクール(現・NPO法人日本アーユルヴェーダ スクール)の本科一期生入学。ホリスティック医療としてのアーユルヴェーダの勉強を開始。→中医学の施術の資格を北京中医藥大学、上海にて取得。→婦人科のクリニックにてアーユルヴェーダ・カウンセラーとして勤務。ヨガスタジオでの講師を務め る。→ロータリー財団奨学生としてフィンランド ヘルシンキに留学。白夜の国で季節性躁鬱病(SAD)とアーユルヴェーダにおける可能性を研究。ヘルシン キにて独立。→ラトビア、SIA “L.A tikes doktorats” 病院にて施術。→マレーシア、康民薬所にて研修・施術。→2010年:東京の温熱療法施設 還元陶板浴虎杖伝説の里本店にて専属セラピスト&カウンセラーとして勤務開始。代替医療の観点からがん患者さん、その他不定愁訴に関わる。
現在のお仕事の内容を簡単に教えてください。
アーユルヴェーダという東洋の伝承医学のセラピストをしています。主にサロンでのオイルと温熱を使ったボディートリートメント&カウンセリング、また講師活動や親子向けのホリスティック医療としてのイベントを最低月に1回展開しています。(早紀さんのサロンはこちら)
平日1日のスケジュールを簡単に教えてください。
(毎日、全く異なるスケジュールで動いています。施術のある日の一例です。)
6:30 起床、ヨガ、PCメールのチェック、朝食準備、その間パパと娘は絵本タイム
8:00 娘を託児へ
9:00 サロンへ出勤、お客様の施術
13:00 娘お迎え、公園へ
16:00 帰宅、洗濯、家事、夕ご飯作り
18:00 打ち合わせ兼夕食へ外出
20:00 娘と遊ぶ、一緒にお風呂
21:00 主人が帰宅したらトークタイム
22:00 就寝
パパやご両親などとの家事・育児分担はどうしていますか?
私の住んでいる杉並区は保育園入園激戦区につき、保育園を利用しないままワーママに突入。よって平日は近所に住む義母、休日は両親、また早朝、夜の仕事や 講演の場合は主人が娘を見ています。打ち合わせやイベントなどの仕事はほぼ娘同伴。家事は、得意分野をそれぞれが担当しています。料理は私。体力と瞬発力のある主人は布団干し&買い物担当(笑)。後は洗濯、掃除、おむつ替え、お風呂、絵本の読み聞かせも余裕がある方がやる、とかなりフレキシブルです。
ちなみに私よりも主人の方が絵本の読み方が上手いので、娘の中では絵本=パパ、おっぱい=ママ、といった担当になっているよう。最近では私が絵本読んでと娘にせがまれる事はなくなってしまいました(笑)。
出産して、ご自身の内面では何が一番変わりましたか?
「母」への敬意。
自身の母親だけでなく、世の中に存在する子どもをもった全ての女性に対してほんとうに「凄い!」と畏敬の念を持ちました。こんな大 変なことを当たり前のようにしていたなんて・・・。(ましてや2人、3人、などなど。)肉体的な大変さ、忙しさもそうなのですが、それ以上にこんなにも大 きな愛情を、当たり前のように与えて子どもを育てていっていたんだなあ!と自分がしていたセラピストという仕事の枠をあっさりと超えるような慈しみの行為の実情に脱帽しました。
ワーママとして育児&仕事をしていて良かった~!と思うhappyなエピソードを教えてください!
・育児では・・・「子どものため」を理由に平日の緑地公園を散歩していたある日、木漏れ日の中をゆっくりと歩きながら、いつの間にか心のそこから穏やかな気持ちに。育児をさせてもらえているおかげで改めて、自分が心身共にナチュラルで健やかになれたと思います。
・仕事では・・・赤ちゃん連れの親子講座など、より多くの人に対しての発信ができるようになったこと。楽しい仕事が増えたこと!以前に増して、自分に嘘がつけなくなったこと。
育児&仕事をしていて一番大変だったのは?
時間の調整。本当に好きな事を仕事にさせていただいている個人事業なので、24時間仕事に充てることもできる一方で、育児の為に仕事を途切れさせてしまうこともできます。また育休/産休など制度や保証のない中での自営業なので、如何に自分の仕事を確立していくか。それがいつも課題です。
それらをどうやって解決されたのですか?
家族の大切さも含め、何を優先順位にするか=“どのように生きていきたいのか”、を常に自分に問うようにしています。
アーユルヴェーダに興味をもたれたきっかけや出来事があれば教えてください。
五体満足で身体的には何不自由ないのに、なぜか苦しい人がいる。逆に怪我をしていても病気をしていても、すごく元気な人もいる。病院で治せるのは怪我や病気という目に見える事象のみ。じゃあ前者の人はどうしたらいいんだろう?という疑問が小さな頃からあり、見えない病と治癒に興味を持ちました。中学生の頃に、精神科医か心理学の道を歩もうと決意。大学に入り、念願の心理学を学び始めたのですが、そこに身体性が欠如していることに不完全さを感じ・・・そんな 時に偶然出会ったのがアーユルヴェーダという世界最古の医学、医療哲学でした。
たまたま20歳の時に訪れたインドでのアーユルヴェーダの滞在型治療施設では、爽やかな風に揺れる緑の樹々、太陽の明るい光が降り注ぎ、遠くに光る海が見えて・・・。食べ物は美味しく、職 員の方もみな笑顔でゆったりと働いていて、日本での「病院」の暗くて辛いイメージを吹き飛ばすような衝撃的な光景。「こんなところに来たら大抵の病気は 治っちゃうよ。だって心地良くないと人は治らないだろ?」と施設長に言われたときに、私の一生の仕事はこれだ!と確信。専攻していた心理学から一転、ホリスティックな医療としてのアーユルヴェーダを志しました。
早紀さんご自身、アーユルヴェーダと出会って何が一番変わりましたか?
うーん、何でしょう。。逆に、出会っていなかったらどうなっていたのか、全く想像ができません。
育児にアーユルヴェーダの考えは反映されたりしていますか?その場合、子どもや育児観にどう影響しているのか教えてください!
すごくしていると思います。特に、人間には生まれながらにして体質(個性)がある、という点。他人と自分、それから他の子どもと自分の子どもを比べずにすむことは本当にストレスフリーで、心から子どもの人格と向き合うことができて、とてもよかったなーと思っています。
毎日いそがしく育児&仕事をしているママたちに心身の健康のために一番伝えたいことは何ですか?
頭よりも「身体」感覚を優先に。
オトナは「頭」で身体を統制できるけれど、子どもはそうじゃない。身体の欲求優先で生きているから。まずはそれを納得してそして観察、時々同じことをしてみると自分自身の健康のカギが見えてくるはずです。
例えば、疲れたら寝る(笑)!単純なことですが、目の前の洗濯物を畳まなくちゃ、、という頭の声よりも、優先すべきことは眠たいという「身体」の声。オトナ だけの時間では気付くことができなかった、身体感覚を重視する生活を少しでも取り入れてみると、実際に余裕がでてきます。子どもは生命のありのままなので、かなりお手本です。
アーユルヴェーダに興味をもっていても、なかなか施術を受けに行く時間やタイミングがないという方も多いと思います。日常のなかで手軽にアーユルヴェーダを取り入れるコツや方法があればぜひ教えていただきたいです!
まずは疲れたな、なんだか身体が重いな、と感じたときは、朝起き抜けにお白湯を飲む事。便秘や肩こりなどの解消にも役立ちますよ!また日常のカフェラテや 紅茶にドライジンジャーのパウダーやシナモンなどスパイスを加えるだけで、消化力や代謝を上げ、不調を減らすことができます。今流行のオイル美容もアーユ ルヴェーダ的にはぜひ取り入れて。また、自分はどんな身体の傾向があるのか、ストレスが溜まるとどうなりやすい体質なのか、予め自分の体質を知ることもアーユルヴェーダの一つです(ドーシャ理論)。アーユルヴェーダは日常と季節の過ごし方の智慧の宝庫なので、本当にどんな状態でも取り入れられてオススメ です。
育児と仕事、それぞれで一番大事にしていることは?
・育児では・・・大人の都合ではなく、子どもの目線で物事を見る事。
・仕事では・・・子どもがいることを言い訳にしないこと。
これからの目標を教えてください。
・育児では・・・多くの人と会い、多くの機会を与えてあげたい。身体を動かす遊びをたくさんさせてあげたい。
・仕事では・・・セラピストという職業枠にとらわれず、セラピストの本質(生命そのものと向き合う、人を癒す)を家庭で、社会で、様々な形で広く表現していきたいと思っています。また、女性にとって色々な働き方の形態、選択肢がある社会にしていきたいという目標があるので、自分の子どもが成人した頃の社会を見据えて、現役ワーママとして今どんなことができるのか、新たなことにチャレンジしつつ、これからもパワフルに動いていきたいです!
最後にメッセージをお願いします!
女性が社会で活躍するのが困難だった時代から、ワーママとしてキラキラ輝く女性がたくさんいる今日の日本を思うだけで胸が熱くなります。そして私たちの子どもが成人になるこれからは、もっともっと女性のライフサイクルに沿った「多様な働き方」が生まれてくることでしょう。
私は出産してから仕事に充てられる時間が1/3以下に落ち込んだことで、一時期とても焦り、ワーママであることをハンデだと思ってしまった時期がありました。そのようなジレンマの中で女性の移り変わるライフステージと仕事とのバランスについて、もっとフレキシブルであってよいのだな、と今は思います。
(経 済的な)対価を得る仕事ができる才能と同様に、女性には見えない財を築いていける豊かな才能があると思います。それがママとしてのパワー!とにかく女性として働いていること、ママであることをライフステージの変化と共に、とことん楽しんでいきましょう。子育てって究極、自分を育ててくれるものだと思うので。
インタビュー : 千田 絵美