昨今のSDGsの推進やダイバーシティ経営に向けた社会的な高まりなどで社会における女性活躍への注目が改めて高まっています。大企業を中心に制度が整いつつある中で、モビリティデータプラットフォームやサービスを展開するスマートドライブ社(社員数約70名)の女性社員(10人)はどのような活躍をされているのでしょうか?今回は「パワーママプロジェクト」から高村がモデレーターとなり、スマートドライブの女性社員3人との本音を話し合う”座談会”を開きました。
登壇者プロフィール
岡桃子さん:株式会社スマートドライブ マーケティング
阿部茉梨藻さん:株式会社スマートドライブ セールスオペレーション
三輪麻美さん:株式会社スマートドライブ セールスオペレーション
(左から岡さん、高村、阿部さん、三輪さん)
高村:まずは私から自己紹介をさせていただきます。本業としては、株式会社デジタルホールディングスのグループ会社の「株式会社デジタルシフト」で営業やコンサルティングを行っています。もともとはデジタルマーケティング会社の株式会社オプトに新卒で入社し、同一の企業グループの中で営業や広報など職種変更もしていて、産休後の復職の大変さや仕事を変えていくときの大変さなどを経験しています。社外的な活動として、2016年より「パワーママプロジェクト」を主宰しています。同プロジェクトは多様性のあるママたちの等身大の記事をシェアしていこうという活動です。今日はスマートドライブさんの働き方などいろいろとお聞きできればと思っています。社員インタビューで皆さんの記事を拝見させていただきましたが、少しだけ自己紹介をお願いします。
三輪麻美さん:スマートドライブ初の女性社員として入社して6年目となりました。スマートドライブはママ・パパの区別なく双方を「親」としてとらえている会社だと思います。そんなスマートドライブの環境について今日はお話できればと思います。よろしくお願いします。
阿部茉梨藻さん:今日の3人の中で、一番社歴が短いです。前職では育休から復職した時に、周囲が「ママって家事や育児があるよね」と仕事の負担を減らそうと気遣いをしてくれましたが、一方でやりがいのある仕事を任せてもらえることが減り、思い悩んだ結果、転職をしました。三輪さんの言う通り、スマートドライブでは、ママだから気をつかわなくちゃ!という姿勢ではなく、パパにしろママにしろ親だから育児の負担がある、みんなに家事や家庭の都合だってある、というスタンスの会社です。スマートドライブ入社後は、資格を取って副業でヨガ講師もはじめました。いろいろと自分らしくやりがいを追及して働いています。よろしくお願いします。
岡桃子さん:スマートドライブ歴としては約3年です。前職は大手メーカー企業に勤めていて、制度や福利厚生が充実していました。大手企業のような環境ではないスタートアップ企業(スマートドライブ)に転職して感じた違いややりがいなどお話できればと思います。よろしくお願いします。
働き方の柔軟さに衝撃を受けた
高村:まず社内の環境について聞いてみたいと思います。社員の中で「子どもがいない層」と「子どもがいる層」では、スマートドライブさんではどちらが多数派ですか?
岡さん:社員の年齢層が高いので、必然的に結婚していたり、子どもがいたりする方が多いですね。
阿部さん:ですが、多数・少数派の区分は感じないですね。
高村:多数派がいないということですね。スマートドライブさんの話を聞いていると、勤務形態もフルフレックスに加え、出社もフリーな感じで副業もOK。そういう環境を重視して入社されたのでしょうか?どういったところに共感して入社しましたか?
阿部さん:私は働き方の制度のこだわりはなく、普通に一緒に働きたいと思える人と働きたいという気持ちがありました。入社前の面談で人事の永井から働き方の提案を受けてびっくりしたのを覚えています。前職で育休から復職した時にはリモートワークはなかったので「私は8時間働きたい意思表示をしなきゃいけない」と、16時に退社したいときには、7時に出社したりしてオフィスに8時間いる時間を捻出していました。スマートドライブでは、例えば7時間オフィスで働いて、ほかの1時間をどこかでカバーすればいい。そういった柔軟さに衝撃を受けましたね。
岡さん:前職では、産休後に復職した方は時短勤務の方が多かったです。私は会社が家から近いこともありフルタイムで復職しましたが、特に子どもが小さいうちは、「一日8時間会社で過ごさなければいけない」ということに難しさを感じることもありました。スマートドライブはアウトプットが出せれば、働く時間はそんなに関係ないと入社前から聞いていましたが、実際にその通りでした。子どもがいる・いないに関わらず、働きやすい環境だと思います。時期によって「今は仕事に打ち込みたい」と思う時もあれば、「家庭と向き合いたい」と思う時もあると思います。それを自分なりに選択できることが心のゆとりになるとも感じています。
高村:スマートドライブさんは育休や(子どもの送迎のための)早退も当たり前と聞きました。もともとそういう空気感があったのですか?
三輪さん:まず、子どものお迎えに行くことに対して誰も疑問に思わないですね。経営陣も含めて、みんながそういうものだと思っています。さらに言うと、女性だから、子どもがいるからということで制限があるという考えがないと思います。例えば男性が育休を取ったとしても、変だとも逆にすごいとも思わないと思います。過剰に誰も反応しない感じですかね。
高村:そうなのですね。そのカルチャーの種がどこにあるのかを探っていきたいと思うのですが、みなさんが言うように時間の縛り(がないということ)が影響しているのか?そもそもボードメンバーが多様性を持っているからでしょうか?
岡さん:精神的に自立している人が多いのは1つの理由かもしれません。自分で自分の仕事を考えられる人が多いです。無理はしない中で、できるところを状況に合わせて最大限にできている印象があります。それと経営陣の人柄もあると思います。よく「制度があっても、なかなか利用できない」といったことがあると思うのですが、そういった矛盾はなく、あるものは使うべきという空気がありますね。
阿部さん:年齢が高い人が多いので各人が自立している印象があります。年齢なりの経験や懐の深さというか、多様さに抵抗がない人が多いイメージです。
高村:阿部さんはさきほど、ヨガのインストラクターを副業でされているとおっしゃっていましたね。仕事と副業と家庭の両立はどうされていますか?パートナーの協力などもあるのでしょうか?
阿部さん:私は夫の協力もあり、週末の1日はインストラクターとしてヨガのレッスンを行っています。平日はフルフレックスということもあり、勤務途中で一旦仕事を切り上げて、副業をして、仕事に戻るなど柔軟に両立できています。
スマートドライブにいるからこそ、外部とギャップを感じること
高村:少し話を変えさせていただきます。皆さんの話を聞いているとスマートドライブさんではいい意味で「ママだから」や「女性だから」という区別がなく、働いていらっしゃるなと思いました。逆にそういった考えが浸透していない外部とのギャップについてお伺いできればと思います。例えば、私も夫が育児に協力的で、保育園の送り迎えに行く時があるのですが、保育園の先生から「お父さん偉いですね」など言われ、バイアスがかかっているなと感じることもあります。特にみなさんはスマートドライブさんと外部とのギャップをどう感じていますか?
三輪さん:夫の会社は男性が育児をすることにスマートドライブほど理解がなく、融通が利かないなと感じることはありますね。もちろんそういう会社もあると理解していますし、だからこそスマートドライブは恵まれていると思います。
阿部さん:フルタイムで仕事をして、育児、ヨガ講師していると「いつ育児をしているの?」とよく聞かれます。「旦那と完全に半々ですね」と答えると「いい旦那さんだね」とよく言われますね。
岡さん:一番バイアスを感じるのは小学校のPTA活動ですかね…。PTAは母親の会という印象がありますよね。母親は時間に余裕があるということが前提に成り立っている活動・組織で、さらに、委員はお母さんでなぜかその会長はお父さん。普段スマートドライブや周囲のママ友との会話では違和感はないですが、学校など、より広いコミュニティーではまだ昔ながらのいろんな人がいるなと感じます。
出産や転職前後で仕事での成長やスキルを身に着けていくことへの変化は?
高村:家庭や仕事といろいろあり、パートナーの協力もある中で、出産前・後の仕事での成長やスキルを身に着けていくことに対しての心境の変化はありましたか?
三輪さん:私は出産前からスマートドライブに在籍していましたが、制度が大手ほどしっかりしていない会社だからこそ、自分の経験も踏まえてこれから整えていければ良いかなという考えがあり、それほど不安はありませんでした。今は新型コロナウイルスの影響もあり、自宅勤務となり、フルタイムで働いていますが、。子どもの都合でスケジュールが変わることもあるので、出産前よりも効率よく働く意識は強くなったと思います。。
高村:阿部さん、岡さんは出産後に転職をしたと思うのですが、スマートドライブさんに入社して、こういったスキルが身についた、働き方を習得した例などはありますか?
阿部さん:(前職での)育休復帰から半年で転職をしました。「子ども生んで、子育てをしながら環境を変えて大丈夫なの?」と周囲からすごく心配されましたが先ほど話したようにスマートドライブは柔軟性があって、よりチャレンジできることが増えました。あと采配力が身についたと思います。前職では「ママ」になったことで周囲も気を使い、仕事の壁を感じていました。スマートドライブでは壁を感じることはなく、容赦なくいろいろ飛んできます。その中でできる・できないは自分で判断して、取捨選択する采配力がついたなと実感しています。
岡さん:前職は社員数が多いのもあり、ある程度、仕事の幅が決まっていることも多かったです。現在はスタートアップ企業ということもあり、(仕事の)環境が変わるスピードが速く、自分のスキルやその時々にやるべきことも変わるのが面白いところだと思います。今は3年目ですが、2年目に部署異動をしました。そういったことにも柔軟に速いスピードでうまく回っていると思います。
高村:皆さんの話を聞いているとすごく安心して働けているように感じます。今後、こうしたほうが良いとかありますか?
岡さん:成熟・自立している社員が多いのは良い環境ですが、会社が大きくなるにつれ、新入社員や若い人が入社してくると思います。新入社員などまっさらな若い人に対して「いきなり自立しなさいよ」は難しい。若い人に対して意識的に気を付ける必要があるのかなと感じます。
ほかの会社がスマートドライブみたいになるためには?
高村:ほかの会社がスマートドライブさんみたいな会社になるためにはどうしたらいいのでしょう?何から始めると、そのカルチャーを作る一歩になるのでしょうか?
阿部さん:私は大学でジェンダーを勉強していました。その経験も含め思うことはバイアスに気付くことが一番のポイントかなと思います。昔の意識では育児は女性しかできないことだと思われていましたが、今の時代で女性にしかできないことは妊娠することと出産することだけです。育児は身体の問題ではなく、ジェンダーの問題だと思います。バイアスに気付き、問題の切り分けをしていくとこが重要だと思います。
岡さん:当社CEOの北川が柔軟ということも大きなポイントかなと思います。北川は在学中に起業しており、逆に企業運営の常識がないので教えてくださいというスタンスです。男女の切り分けだけでなく、色々なことに対してもちゃんと伝えれば何かしら考えてくれる信頼感があります。それが良い環境を作っている部分もあるのではないでしょうか。
高村:皆さん、会社への信頼感がすごく強いですね。最後に伝えきれなかったことなどがありましたら、よろしくお願いします。
三輪さん:パワーママの座談会とお聞きして、私はパワフルでもないし、それほどママということを強く意識せず働いていたので、あまりお話しすることはないのかなと思っていました。ですが、パワーママプロジェクトのお話を伺ってすごく活動に共感しました。ママだけでなくパパにもこういった活動を知ってほしいと思います。今回阿部さんと岡さんの話も聞いて、それぞれやりがいを感じて働けているのは、この環境を自分たちで工夫しながら作ってきているからだろうなと感じました。「ママだからこうじゃないといけない」と思っているまじめなママもいるかもしれないですが、私みたいに「適当なママもいるよ。それでもやりがいをもって働けているよ」と今日の座談会を通じて発信できればと思っています。
阿部さん:「ママが働きやすい」など働きやすさを打ち出している会社は多くありますが、スマートドライブの場合は「働きやすさはみんなに提供されるのが当たり前」という前提があります。あとはやりがいを追求するだけです。さらに親だからということで勝手に定義されないので、そこはすごく大きいと思います。働きやすさで何かを決めたいとか子供がいるから働きやすい場所を選ぶのではなく、やりがいのある会社を選びたいと思う人には自分のキャリア形成について自由が利く会社だと思います。
岡さん:こういうテーマを絞って話すこともなかなかないので、貴重な機会でした。冒頭で高村さんにお話いただいたパワーママプロジェクトの「ケーススタディーを増やしたい。そういうメディアに」というところに、すごく共感しました。自分がやっている事を外に発信している人はまだまだ少ないと思います。悩んでいる人も多いと思いますので、今後も応援しています。
高村:ありがとうございます。私たちの活動はケーススタディーという点にこだわり、さらに「これがいいよね」と定義せず、「みんないいよね」というところもポイントです。これからもパワーママプロジェクトの活動をしていきますので、今後ともよろしくお願いします。今日はありがとうございました。